【闘病】「摂食障害」 体重は30kgを切って入院『食べることが怖かった』
痩せたいという気持ちで始めたダイエットが、摂食障害へとつながることもあります。三輪春弥さんも、高校時代に過度な食事制限を続けた結果、心身に深刻な影響が及び、摂食障害(拒食症)と診断されました。日常生活に支障をきたすほどの症状に至りながらも、入院治療を経て少しずつ回復への道を歩んできた三輪さん。病気が判明した経緯、治療の過程、そして当時の心境や現在の生活について、話を聞かせてもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年2月取材。
体験者プロフィール:
三輪 春弥
1996年生まれ・女性。石川県在住。2011年に「摂食障害(拒食症)」と診断される。現在は摂食障害を乗り越え、結婚・出産を果たし、第2子の出産も控えている(取材時)。
記事監修医師:
秋谷 進(東京西徳洲会病院小児医療センター)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
編集部
最初に不調を感じたのはいつですか?
三輪さん
中学3年生の部活引退後から、ダイエットとして食事制限を始めました。夜ご飯に炭水化物を食べないことから始まり、次に肉や魚を食べなくなり、最終的には油が入っている料理(スープや出汁に油が入っているだけでもNG)も食べなくなりました。高校入学後もそんなダイエットが続き、高校1年生の夏休みに自宅の階段を昇れなくなったことや、頭が常にぼーっとして集中できないことなどから、違和感を覚え始めました。
編集部
受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。
三輪さん
高校1年生の夏休み、周りから「こんなにご飯が食べられないのはおかしい」と言われ、母親に連れられて精神科へ行きました。病院では身長・体重の計測を行い、診察・問診(「自分は痩せすぎだと思うか?」などの質問がありました)を受けた結果、「摂食障害(拒食症のみ)」と診断されました。初めて病院へ行った時は身長162cm、体重44kg、BMIは「16.5〜17.0」くらいだったと思います。
編集部
診断、告知された時はどのように感じましたか?
三輪さん
担当のお医者さんと私が向かい合い、母が私の隣に座っている状態で診断・告知をされました。診断された時は「このくらいのBMIならどこにでもいるのに大袈裟すぎる」「ダイエットの邪魔をしないでほしい」と思いました。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
三輪さん
治療方針の話をする時に、私は診察室から出されて母と担当のお医者さんの2人で話していたのでよくわかりません。診察の最後に「また2週間後に来てください」と言われました。いま思えばそんな見方をしてはいけないと思いますが、訪れた病院は精神科専門の病院だったため、院内には変わった行動を取る人や奇声を上げる人などが沢山いて、15歳だった当時の私は本当に怖かったです。「なんでこんなところに来なきゃいけないんだろう」と、待っている間ずっと思っていました。
編集部
治療はどのように進められましたか?
三輪さん
2回目以降は担当医と「身長・体重の測定」「食べられる物と食べられない物の確認」「最近何があったか」などを話す治療が続きましたが、体重は減っていく一方でした。先述の通り夏休み中盤には階段が昇れなくなり、食べられるものはスイカ、きゅうり、トマト、そして栄養補助食品のみとなり、夏休み終盤になると体重が40kgを切り、自分一人では頭も支えられず、動けなくなっていました。
編集部
それは生活に支障をきたしますね。
三輪さん
私自身、頭が支えられなくなったあたりから「自分はおかしいのかも」と思い始めて「何か食べなくては」と思い始めたのですが、ネットで「拒食のみの人は、リバウンドや過食・嘔吐が発症しやすい」という情報を見ると、やはり太ることが怖くなり、結局食べられませんでした。
編集部
それは大変でしたね。
三輪さん
そうしているうちに私を心配した親が、通っている病院へ連絡をしてくれて、もっと大きい大学病院に入院することになりました。自分が動けなかったため、父親にお姫様抱っこをしてもらって車で病院まで運んでもらったのをよく覚えています。夏休み〜翌年3月までの約半年入院しました。入院した時はほとんど記憶がないのですが、体重が30kgを切っていて、食べ物もほとんど食べられていなかったのでずっと点滴を打ってもらっていました。その後、流動食→低カロリー食→普通食という流れで食事をしていき、退院する時には1日で合計2000kcalになる病院食を完食できるようになっていました。
→(後編)【闘病】「細さ(痩せ)にこだわる必要はない」と思えるようになるまで
※この記事はMedical DOCにて《【闘病】「摂食障害」で体重30kgを下回る… 一人で頭も支えられず歩けない状態》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。