【闘病】現医学では完治しない全身性エリテマトーデスだけど「後悔ない人生を送りたい」
難病である全身性エリテマトーデス(SLE)との闘病生活を続ける陽子さん(仮称)。治療と向き合いながら、自分の経験を生かしたいという思いから、看護師を目指して新たな道を歩み始めました。命の大切さを実感しながら日々を前向きに生きる陽子さんの姿をお届けします。
体験者プロフィール:
陽子さん(仮称)
東京都在住、1997年生まれ。診断時は大学3年生。2017年に全身性エリテマトーデス(SLE)を発症。2018年に確定診断を受け治療を開始する。ステロイドパルス療法を受け、ステロイドの内服を開始。その後、寛解・再燃を繰り返す。また、SLEに合併し抗リン脂質抗体症候群(APS)を発症。現在はSLEに対する治療を受けながらも、看護学生として勉学に励んでいる。
記事監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
編集部
現在の体調や治療の状況はどうですか?
陽子さん
ステロイドのほかに免疫抑制剤・生物学的製剤を併用していますが、なかなか病状は安定せず、さまざまな薬物治療を受けながら寛解を目指しています。APSは軽症であるため、今のところ治療はおこなっていません。
編集部
病気を抱えながらの生活は大変ではないですか?
陽子さん
SLEは、今の医学では完治できない病気ですし、もちろん楽ではありません。ただ、薬に頼らないと生きていけない身体ですが、その中で就職について考えたとき、「せっかくの人生を無駄にしたくない、後悔しない人生を送りたい」と強く思うようになりました。
編集部
看護師を目指していると聞きましたが。
陽子さん
はい。自分自身のこの経験を役立てる仕事がしたいと思ったので、看護学校の受験を決め、無事に合格することができました。家族からの反対もありましたが、大学を卒業してから看護学校に入学して、勉学に励んでいるところです。
編集部
看護学校と治療の同時進行の生活はどうですか?
陽子さん
学校と治療の両立は決して簡単ではありませんが、周りの人に支えられながら勉学に励むことができています。病気になったことでつらいことも多かったですが、その一方で考え方が大きく変わりましたね。命について、生きることについてよく考えるようになって、時間も大切にし、たくさんの人に支えられて今の自分がいることを忘れず、悔いのない人生を送りたいと考えるようになりました。
編集部
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
陽子さん
内臓機能の病気は外見からはわからず、理解してもらえないことが多いのが現実です。熱や倦怠感など、ただの疲れや風邪と間違われやすいのですが、それはSLEの特徴的な症状です。自分の身に少しでも異変を感じたり、それが長く続いたりするようであれば、躊躇せず病院を受診してほしいですね。
※この記事はMedical DOCにて《【闘病】まさか自分が全身性エリテマトーデスに 思えば高校生の頃から皮膚症状が…》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年7月取材。