「歯周病」の検査では何をするかご存じですか? 検査内容や手順を歯科医が解説!

歯周病の検査では、歯周ポケットの深さや出血の有無で進行度を確認し、レントゲンで骨の状態や歯石の付着具合を把握します。これらの検査を通じて病状を把握し、早期治療や予防につなげることが重要です。今回は、歯周病検査の内容について「デンタルクリニックアレーズ銀座」の中村先生に解説していただきました。
編集部
歯周病では、具体的にどのような検査を行うのでしょうか?
中村先生
検査内容は歯科医院によって様々ですが、一般に広く行われているのは「歯周ポケット検査(プロービング検査)」「レントゲン検査」「プラーク付着率の検査」「動揺度検査」の4つだと思います。
編集部
歯周ポケット検査(プロービング検査)は、どのような検査なのでしょうか?
中村先生
歯と歯ぐきの間にできる「歯周ポケット」の深さを測る検査です。プローブという細い金属製の器具を歯周ポケットの中にゆっくり挿入して、プローブの目盛を読んで深さがどれくらいかを見ています。それと同時に、プローブを挿入した際に出血するか・しないかも確認しています。
編集部
その検査で、歯周病の何がわかるのでしょうか?
中村先生
歯周病によって、どのくらい歯ぐきや骨が破壊されているかがわかります。歯周病は進行するにしたがって骨の破壊も大きくなるので、歯周ポケットが深いということはそれだけ歯周病が重度に進行していると判断できます。出血に関しては、まさに今その部分に炎症が起きて、体が戦っている様子を示しています。プロービング時の出血については近年、日本歯周病学会も重要視しており、出血する部位はより歯周病のリスクが高いと判断しています。
編集部
レントゲン検査では、歯周病の何がわかるのでしょうか?
中村先生
レントゲン検査にもいくつかの種類があり、小さいレントゲンや大きなレントゲン、さらにCT検査など、それぞれで見えるものや情報量が異なります。主に確認できるのは歯を支える骨の状態で、骨がどこにどの程度残っているのか、どのような形状で破壊されているのかが把握できます。さらに、レントゲン検査では、力による炎症の問題が生じていないかもある程度確認することが可能です。歯周病の進行は「力」とも関係しており、噛み合わせや歯並びによって特定の部位に過度な力がかかると、それが原因で重症化してしまうことも少なくありません。特に力が修飾因子として働いているであろう部位は、そこだけ周囲と比べて垂直的に骨が吸収している所見が認められます。そのほかに、歯石の付着具合もレントゲンでわかることがあります。
編集部
「プラーク付着率」「動揺度」はそれぞれどんな検査なのでしょうか?
中村先生
プラーク付着率の検査は、いわゆる「磨き残し」がどのぐらいあるかを調べる検査です。プラークが染まる薬液を使って、どこが磨けていないかを患者さんにも確認してもらいます。自分では磨いているつもりでも意外と磨けてないことは多いので、正しいブラッシング法を指導して、それをセルフケアに活かしてもらいます。動揺度検査はピンセットなどを使って歯をゆすりながら揺れ具合を調べる検査です。揺れ幅や揺れる方向で3段階の評価をし、歯周病の重症度の目安にします。
編集部
以上の検査のほかに、歯周病の病状を知るうえで有益な検査はありますか?
中村先生
クリニックによっては「細菌検査」を行っているところもあります。歯周病の原因菌はいくつか存在しており、なかでも「レッドコンプレックス」と呼ばれる菌は悪性度が高い菌として知られています。自身のお口にどの種類の菌が住み着いているかで、重症化のリスクや将来的なリスクがわかるのが細菌検査の特徴です。そのほかに、お口の中の写真を撮って歯ぐきの腫れ具合や治療による改善具合を診たり、歯型模型で歯並びの状態を確認したりします。

監修歯科医師:
中村 竜彦(デンタルクリニックアレーズ銀座)
※この記事はメディカルドックにて【「歯周病の検査はなぜ重要なのか」ご存じですか? 検査内容と大切さを歯科医師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




