むし歯・歯周病だけじゃない! 「口呼吸」が全身に及ぼす影響とは【歯科医が解説】
口呼吸をしていると、口腔内にとどまらず全身に悪影響を及ぼすことはご存じですか? 今回は、口呼吸のリスクについて「佐藤歯科医院」の佐藤先生に解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【「口呼吸」はむし歯になりやすい! 口呼吸の原因や治し方を歯科医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修歯科医師:
佐藤 正賢(佐藤歯科医院)
編集部
むし歯や歯周病のほかにも、口呼吸によって起こるトラブルはありますか?
佐藤先生
口の粘膜も唾液に保護されているため、口呼吸で唾液が少なくなると痛みが出やすくなったり、口内炎ができやすくなったりします。同様に、舌が赤い・ヒリヒリするといった舌痛症などの粘膜の炎症リスクも高まります。さらに、お子さんの場合、口呼吸を続けていると歯並びが悪くなる恐れがあるため注意が必要です。
編集部
口呼吸によって歯並びが悪くなるのはなぜでしょうか?
佐藤先生
口呼吸によって、口周りの筋肉と舌の筋肉のバランスが悪くなってしまうからです。歯は唇や頬の筋肉と舌の筋肉から受ける力のバランスによって、U字型の歯列を保っています。しかし、口呼吸で口が開いている時間が長くなると、唇の筋肉の抑えが弱くなって歯が外側へ動いていきます。そうすると出っ歯などの不正咬合になりやすいわけです。
編集部
口呼吸は、全身の健康にも悪影響があるのでしょうか?
佐藤先生
口呼吸が多いと、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるとされています。人は鼻で呼吸するのが正常で、鼻から吸った空気は口の上にある「副鼻腔」を通過して肺に届きます。この副鼻腔にはフィルターの役割があり、吸気に含まれる細菌やウイルス、異物を排除してくれるおかげで、綺麗な空気を肺に送ることができるわけです。しかし、口呼吸の場合はフィルター機能が働かないため、細菌やウイルスがそのまま肺に入ってしまい、感染リスクを高めてしまいます。