「セラミック治療」を受ける前にこれだけは! 押さえるべきポイントを歯科医が伝授
「セラミック治療」を受ける前に押さえておきたいポイントについて、「赤坂ひろデンタルsmile design & works」の西原先生に解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【「セラミック治療」を受ける前に知っておいた方がいい確認事項を歯科医が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修歯科医師:
西原 宗信(赤坂ひろデンタル smile design & works)
編集部
セラミック治療で気になるのはやはり「費用面」ですが、おおまかな費用の目安はどのぐらいでしょうか?
西原先生
費用については受診する歯科医院によって異なるため一概には言えませんが、だいたいの目安としては、詰め物(インレー)で6~9万円前後だと思います。被せ物(クラウン)は10~15万円前後が目安で、前歯など見た目をより重視したい場合は20万円前後かかることもあります。
編集部
セラミックの詰め物・被せ物は、何年ぐらいもつのでしょうか?
西原先生
基本的にセラミック本体が劣化することはありませんが、詰め物や被せ物を入れた歯がむし歯になると使えなくなるため注意が必要です。ある論文では「10年経った段階で1~2割近くがむし歯になっている」というデータが発表されています。ほかにも、歯の根っこが割れる「歯根破折」や「歯周病」なども、間接的にですがセラミックの寿命を短くする要因になります。
編集部
では、セラミックを長持ちするためにどのような点に注意したらいいのでしょうか?
西原先生
歯磨きなどの基本的なケアを続けるのはもちろんですが、歯科医院で定期的にチェックを受けるのと受けないのとでは「セラミックのもち」がだいぶ変わります。したがって、治療が終わっても定期検診を継続することが、セラミックの寿命を延ばす大きなポイントでしょう。
編集部
セラミック治療にもリスクはあるのでしょうか?
西原先生
通常より歯を多めに削るセラミック治療は、治療後に歯がしみたり、神経を取る治療が必要になったりするリスクがゼロではありません。また、普段から歯ぎしりや食いしばりのある人は、セラミックが割れるリスクが普通の人より高くなります。そのため、「治療後に歯ぎしり防止用のマウスピースを使う」あるいは「割れにくいジルコニアを選ぶ」などの対策が必要です。
編集部
ほかに、セラミック治療を検討するうえで注意しておきたいことはありますか?
西原先生
先述したように、「セラミック」と一口にいっても様々な種類があり、硬さや耐久性などの特徴にも違いがあります。どのセラミックを使っているかも歯科医院ごとに異なりますから、そのあたりも注意が必要ですね。
編集部
具体的に、どのような点に注意したらいいでしょうか?
西原先生
例えば、セラミック治療では「ハイブリッドセラミック」という素材もよく目にします。セラミックよりも安価なので「安いからこっちでいいや」と選ばれることも多いようです。ところが、セラミックという名前はついているものの、一部にプラスチックが含まれているのでセラミックよりも汚れはつきやすいですし、劣化や変色も起こります。このような違いを理解したうえで選択する場合は問題ありませんが、「セラミック」という名称だけに囚われないよう注意していただきたいと思います。
編集部
ほかにも、知っておきたいセラミックの種類はありますか?
西原先生
近年は従来のセラミックに加えて、「ジルコニア」という素材も広く使われるようになっています。ジルコニアは人工ダイヤモンドと同じ素材でセラミックに分類されていますが、金属と変わらない強度を持っているのが特徴です。従来のセラミックにある「割れやすい」という欠点がないため、奥歯やブリッジなどにも使用できるほか、歯を削る量も抑えることができます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
西原先生
セラミック治療は「高額」というイメージがありますが、お金に変えられないメリットがたくさんあると考えます。すでにワールドスタンダードになっているセラミックのメリットを、この記事を通して知っていただければ幸いです。一方で、どんな治療にもデメリットやリスクはありますので、良い面・悪い面をしっかり理解して、納得したうえで治療を受けていただきたいと思います。