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「乳がんが骨転移した場合の症状」はご存知ですか?転移しやすい部位なども解説!

 公開日:2026/02/28

乳がんは女性において頻度の高いがんの一つであり、早期発見・早期治療が進む一方で、進行するとほかの臓器に転移することがあります。骨は乳がんの最も一般的な転移部位であり、進行乳がん患者さんの約70%に骨転移が認められます 1)。患者さんの生活の質(QOL)に大きな影響を与える可能性があります。この記事では、乳がんの骨転移について、そのメカニズムから症状、治療法、そして患者さんが知っておくべき注意点まで、詳しく解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「乳がんが骨転移した場合の余命」はどれくらいかご存知ですか?治療法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

石橋 祐貴

監修医師
石橋 祐貴(医師)

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【経歴】
奈良県立医科大学卒業
2013年に東大病院整形外科・脊椎外科教室に入局。
整形外科の腫瘍領域である『骨軟部腫瘍』を専攻し、都立駒込病院、東京大学病院助教・特任臨床医として勤務。

【診療科目】
整形外科全般、がん骨転移、骨軟部腫瘍領域、緩和ケア領域など

【資格等】
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
がん治療認定医
認定骨軟部腫瘍医

乳がんの骨転移とは?

乳がんの骨転移とは?

乳がんの骨転移とは、乳がんの細胞が血液やリンパの流れに乗って骨に移動し、そこで増殖する状態を指します。

乳がんが骨に転移するメカニズム

乳がん細胞が骨に転移するメカニズムは複雑ですが、主に以下のステップで進行すると考えられています。2.3)

  • がん細胞の遊離
    原発巣である乳房から、がん細胞が剥がれ落ちます。
  • 血管・リンパ管への侵入
    遊離したがん細胞が、近くの血管やリンパ管に侵入します。
  • 血流・リンパ流に乗って移動
    がん細胞は血流やリンパ流に乗って全身を巡ります。
  • 骨への定着
    骨の内部には、がん細胞が定着しやすい微小環境(ニッチ)が存在すると考えられています。特に、骨の代謝に関わる骨芽細胞や破骨細胞が分泌するサイトカインなどが、がん細胞の増殖を助けるといわれています。
  • 骨での増殖と骨破壊/形成
    骨に定着したがん細胞は増殖し、周囲の骨を破壊したり(溶骨性病変)、異常な骨を形成したり(造骨性病変)、あるいはその両方を引き起こしたりします。

乳がんで骨転移しやすい部位

乳がんが骨転移しやすい部位には特定の傾向があります。主に、血流が豊富な体幹の骨に転移しやすいとされています。

  • 脊椎(背骨)
    頻度が高く、痛みや神経症状の原因となることがあります。
  • 骨盤
    股関節周辺の痛みなどを引き起こすことがあります。
  • 肋骨
    呼吸時の痛みや、触れると痛むなどの症状が出ることがあります。
  • 大腿骨(太ももの骨)
    特に上部(股関節に近い部分)に転移しやすく、病的骨折のリスクが高まります。
  • 上腕骨(腕の骨)
    肩に近い部分に転移しやすく、腕の痛みや挙上困難などを引き起こすことがあります。

乳がんが骨転移した場合の症状

骨転移の症状は、転移した部位や病変の進行度によって異なりますが、代表的なものには以下のようなものがあります。

痛み

一般的な症状です。初期は鈍い痛みや違和感程度ですが、進行すると持続的な強い痛みになることがあります。夜間や安静時に痛みが強くなることも特徴です。

病的骨折

骨転移により骨が脆弱になり、転倒や軽い外力でも骨折しやすくなります。これを病的骨折と呼び、強い痛みや機能障害を引き起こします。

神経症状

脊椎に転移した場合、脊髄や神経根が圧迫され、手足のしびれ、麻痺、排尿・排便障害などの神経症状が出ることがあります。

高カルシウム血症

骨が破壊されることで血液中のカルシウム濃度が上昇し、倦怠感、吐き気、意識障害などの症状が現れることがあります。重症化すると命に関わることもあります。

骨髄抑制

骨髄に転移が広がることで、血液を作る機能が低下し、貧血、白血球減少(感染しやすくなる)、血小板減少(出血しやすくなる)などが起こることがあります。

乳がんについてよくある質問

ここまで乳がんを紹介しました。ここでは「乳がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

骨転移した乳がんが完治することはありますか?

現在の医療では、骨転移した乳がん(ステージIV)の完治は難しいとされています。しかし、これは治療法がないという意味ではありません。治療の目的は、がんの進行を抑制し、病状を長期にわたってコントロールすること、そして患者さんのQOLを維持・向上させることです。

乳がん骨転移の初期症状を教えてください。

乳がん骨転移の最も一般的な初期症状は痛みです。特に、安静時や夜間に痛みが強くなる、特定の動作で痛みが生じる、といった特徴があります。また、骨折しやすい、手足のしびれ、麻痺、倦怠感、吐き気などの症状も現れることがあります。


まとめ

まとめ

乳がんの骨転移は、患者さんの生活に大きな影響を与える可能性がありますが、治療法の進歩により、がんと共存しながら良好なQOLを維持できる期間が延びています。主治医や医療チームと密に連携し、ご自身にとって適切な治療とケアを選択していくことが、充実した日々を送るための鍵となります。

関連する病気

  • 多発性骨髄腫
  • 前立腺がん
  • 肺がん

関連する症状

  • 持続する骨の痛み
  • 原因不明の骨折
  • 手足のしびれや麻痺

この記事の監修医師

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