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「大腸がんステージ2」に進むとどんな症状が現れる?【医師解説】

 公開日:2025/11/09

大腸がんは初期症状が出にくいため、自覚症状が現れる頃には、がんが進行している状態が多く見られます。 がんは進行状態に応じてステージで区別され、大腸がんも同様です。 がん治療ではステージをよく耳にするものの、それぞれのステージでがんがどの程度進行しているのか疑問を持たれる方もいるでしょう。 そこで本記事では、大腸がんのステージ2を取り上げ、ステージ2の特徴について解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「大腸がんステージ2」の症状・治療法はご存知ですか?他のステージの特徴も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

大腸がんとは?

大腸がんは、大腸の粘膜にがんが発生する病気です。大腸は結腸と直腸で構成され、それぞれの粘膜にがんが発生します。がんは粘膜に発生しますが、進行すると大腸の壁に侵入していきます。大腸の壁は1層ではありません。粘膜・粘膜下層・固有筋層・漿膜下層・漿膜の5つの層から成り立っています。
がんは粘膜や壁に留まらず、進行すると壁の外側まで広がっていきます。大腸がんは食生活の変化に伴い、発症が増えてきました。食生活の欧米化だけが原因ではなく、運動不足・喫煙・飲酒も発症の原因に含まれます。

大腸がんのステージ2の特徴

大腸がんの進行度合いは、ほかのがんと同様にステージで分類されます。ステージは、がんの大きさ・深層度・リンパ節やほかの臓器への転移の有無から総合的に判断されます。
大腸がんのステージ2はどのような特徴があるのでしょうか。ここでは具体的にその特徴を解説します。

がんが固有筋層を超えて浸潤している状態

大腸がんのステージ2では、粘膜に発生したがんが粘膜下層と固有筋層を超えて広がっている状態です。
ステージ2では、まだ大腸の壁の外にがんは出ていないものの、粘膜から数えて3層目まで進行している状態になります。

大腸がんステージ2の症状

大腸がんは初期症状がほとんど現れず、症状が出る頃にはがんがある程度進行している状態です。大腸がんステージ2の主な症状は次のとおりです。
  • 血便・黒っぽい便
  • お腹のしこり
  • 貧血
  • 腹痛やお腹の張り
  • 便秘
上記の症状は、がんの発生部位や大きさによって現れ方が異なります。肛門から遠い右側の大腸は、一般的に症状が出にくく、がんが大きくなりやすいです。
しこりとして現れたり、腹痛やがんの出血による貧血が発生したりします。また、黒っぽい便が出ることが特徴です。肛門に近い左側の大腸に発生すると、便秘・血便・腹痛・便が小さくなるなどの症状が現れます。

大腸がんステージ2の5年相対生存率

がんに罹患すると気になる点は、治癒が可能か生存率がどの程度かではないでしょうか。大腸がんステージ2で5年後に生存している率は、約80%とされています。ただし、がんが発生する部位によって生存率は多少異なります。
上記は大腸がん全体での数字になりますが、直腸にがんが発生すると結腸よりも生存率が少し悪化する傾向です。

大腸がんステージ2についてよくある質問

ここまで大腸がんステージ2の特長・治療方法・その他のステージの特徴などを紹介しました。ここでは「大腸がんステージ2」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんステージ2は完治が望めますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

お大腸がんは早い段階で手術などで適切に治療を行えば、治癒が望めるでしょう。先述したように、5年相対生存率は80%程度です。手術で患部を摘出し、補助療法として化学治療を取り入れることで、再発は防ぎやすくなります。

どのような検査でステージが決まるのですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

大腸がんのステージは精密検査を行い、がんの進行の深さ・リンパ節転移の有無・ほかの臓器への転移を総合的に診て決定されます。大腸がんの疑いがあると、次のような精密検査が行われます。
  • 注腸造影検査・大腸内視鏡検査
  • CT・エコー・MRI
注腸造影検査と大腸内視鏡検査は、大腸内を詳細に観察するための検査です。両方行う必要はなく、どちらかで検査が進められることがほとんどです。ただし、病理検査を行い、がんの確定診断が下せる検査は大腸内視鏡になります。CT・エコー・MRIは、ほかの臓器への転移を画像で確認するために行う検査です。これらの精密検査を経て、がんの進行度合いが決定されます。なお、大腸がんのステージは大腸癌取り扱い規約に基づいて総合的に診断されます。

編集部まとめ

大腸がんは近年増加しているがんの1つです。 大腸がんのステージ2のように、適切な治療を受ければ、再発しにくいケースもあります。ただし、ステージが進行してしまうと、手術を受けられないケースもあります。 大腸がんは初期症状が出にくく、定期検査を受けていないと、初期段階で治療を受けることは難しいかもしれません。 少しでも疑わしい症状が出た場合は放置せずに、すぐに病院を受診してください。

大腸がんと関連する病気

「大腸がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 転移性肺腫瘍
  • 癒着性腸閉塞
大腸がんは肺に転移しやすいです。治療後にも転移する可能性はあり、肺に転移すると転移性肺腫瘍になります。また、癒着性腸閉塞が手術後に発生しやすいです。

大腸がんと関連する症状

「大腸がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記の症状は一見すると、単に体調を崩していると思い込んでしまうかもしれません。しかし、これらは体調不良や大腸がんで現れる症状に限らず、潰瘍性大腸炎や虚血性腸炎に罹患している可能性があります。

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