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「大腸がんから転移しやすい場所」はご存知ですか?転移後の症状も医師が解説!

 公開日:2025/11/23
大腸がんから転移しやすい場所とは?Medical DOC監修医が大腸がんから転移しやすい場所を解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「大腸がんから転移しやすい場所」はご存知ですか?転移後に現れる症状も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

和田 蔵人

監修医師
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

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佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

「大腸がん」とは?

大腸がんは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんです。腺腫という良性のポリープが癌化して発生するものと、正常な粘膜から発生するものがあります。大腸がんは、年々増加傾向にあります。ただし、症状があまりないことが多く、大腸がん検診などの受診で早期に発見することが大切です。

大腸がんから転移しやすい場所

大腸がんは、血液の流れに沿って肝臓、肺、脳などに転移を起こすことがあります。これらの大腸がんの転移しやすい場所について解説いたします。

肝臓

大腸から肝臓へ流れ込む門脈という血管を通って、大腸がんは肝臓への転移がおこります。大腸がんの多くは、まず肝臓に転移し、その後他の臓器へ転移します。 患者さんの状態にもよりますが、大腸がんの原発巣と肝転移の病巣が切除可能であれば、根治を目指し切除します。しかし、転移の範囲や場所により手術で切除ができない場合には、化学療法を選択することもあります。 大腸がんになった人の約11%が肝転移をすると言われており、肝転移は少なくありません。これは、大腸からの血液の流れに乗り、がん細胞が肝臓に転移しやすいためです。多くの場合、自覚症状はほとんどありません。腹痛、だるさ、腹水、黄疸など症状が出る場合には早めに消化器内科で相談しましょう。

大腸がんの肺転移の多くは、肝臓への転移後に肺への血液の流れに伴って起こります。肺への転移が起こると、息苦しさ、咳、血痰などがみられるようになります。これらの症状が1週間以上長引く時には、まず内科を受診して精密検査を受けた方が良いでしょう。息苦しさが強い時にはすぐに病院を受診してください。また、血痰が出る場合には何か肺で異常が起こっている可能性が高いため、早急に受診することをお勧めします。 大腸がんに肺転移を伴う場合には、転移の範囲などにより治療法が異なります。切除可能な場合には外科手術を行い、切除が不可能な場合などは抗がん剤や放射線療法などを行うこともあります。患者さんによって治療法が異なるため、主治医から治療についての説明を聞きましょう。

腹膜

大腸がんが進行すると、がん細胞が腸管から外に出てしまうようになります。腸管を破り外に出たがんは、腹膜をつたって広範囲に転移します。これが腹膜転移です。 腹膜転移の症状は、初期はわかりづらいことが多いです。しこりが発生し、大きくなって初めて気がつく、あるいは、腸管を圧迫するようになってようやく気がつく場合もあります。腸管が圧迫され、腸閉塞を起こすこともあります。腸閉塞が起こると、吐き気や痛みが出ます。このような場合には、早めに病院へ行きましょう。

大腸がんが血液にのり、脳に転移することも多いです。脳転移をすると、転移した場所にもよりますが、麻痺や痙攣、目の見えづらさ、ろれつが回らない、ふらつきなどの症状が現れます。放置すると、頭痛や吐き気、意識障害などがおこります。これらの症状が現れた場合には、まず主治医に相談をしましょう。 脳転移に対しては、手術治療とガンマナイフという放射線治療を行うことが多いです。

大腸がんが、骨へ血行性に転移することもあります。骨に転移すると、痛み、骨折、麻痺などの症状が出ます。 骨転移への治療としては、放射線治療や化学療法を行うことが多いです。

「大腸がんから転移しやすい場所」についてよくある質問

ここまで大腸がんから転移しやすい場所などを紹介しました。ここでは「大腸がんから転移しやすい場所」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんはどこの部位に転移しやすいですか?

和田 蔵人和田 蔵人 医師

大腸がんは、肝臓、肺、脳、腹膜に転移をしやすいです。これらの場所を中心に定期的に再発がないかチェックをする必要があります。

大腸がんは転移する確率が高い疾患なのでしょうか?

和田 蔵人和田 蔵人 医師

大腸がんは他のがんと異なり、転移の広がりが遅いのが特徴と言われています。他のがんでは一か所転移が見つかると、すでに全身に転移していることが多いですが、大腸がんでは、ある程度のがん転移があったとしても切除可能であれば長期生存も期待できると考えられています。しかし、転移の広がりが遅いことが一因となっているためか、手術後ある程度の期間がたってから転移が見つかることも珍しくありません。大腸がんは手術で完全に切除しても、一定の割合で再発が起こるため転移する確率が高い様に思われるのかもしれません。5年程度の定期的な検査で再発、転移がないかを調べることが非常に重要です。

大腸がんが再発しやすい人の特徴を教えてください。

和田 蔵人和田 蔵人 医師

大腸がんの進行が進むにつれて再発しやすくなります。粘膜内癌であれば転移は起こりません。がんを完全に切除できれば再発は起こりません。しかし、粘膜下層まで浸潤していると再発率は約1%、固有筋層まで浸潤すると再発率約6%、ステージⅡの再発率で約13%、ステージⅢの再発率は約30%となっています。このため、がんの進行が進んでいる場合には、完全にとりきれたと思っても注意が必要です。また、再発の約85%は手術後3年以内に、95%以上は術後5年以内に見つかります。手術をして5年以内の方は、再発の可能性を考えて定期的に検査を受ける必要があると言えます。

まとめ 大腸がんの転移は、完全に切除しても注意が必要!

大腸がんは、転移の広がるスピードが他のがんと比較してゆっくりであると考えられています。このため、完全にがんを取りきれたと思っても、術後に転移が見つかることも少なくありません。転移が見つかっても、大腸がんの場合には、切除可能であれば早期に外科手術で切除し、根治を目指すこともできると考えられています。手術をして5年以内には再発、転移が見つかることも多く、なるべく早く発見されれば根治を目指す治療が可能です。主治医の指示に従って、定期的に再発の可能性がないかチェックすることが大切です。

「大腸がんから転移しやすい場所」と関連する病気

「大腸がんから転移しやすい場所」と関連する病気は5個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経科の病気

  • 転移性脳腫瘍

消化器科の病気

  • 転移性肝がん
  • 腹膜播種

呼吸器科の病気

整形外科の病気

  • 転移性骨腫瘍
大腸がんは術後に転移が分かることも少なくありません。定期的な検査を受けることで早期に転移を見つけることができます。転移がとり切れる状態であれば、外科手術をします。また、切除が難しい場合には化学療法や放射線療法を行うこともあります。いずれにしても、主治医の指示に従い定期的な検査を受け、治療が必要な場合には説明を聞きましょう。

「大腸がんから転移しやすい場所」と関連する症状

「大腸がんから転移しやすい場所」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 麻痺
  • 頭痛
  • 血痰
  • 呼吸困難
  • 黄疸
  • おなかの張り
  • 骨の痛み
転移した場所により多彩な症状がみられるため、これらの症状になくともいつもと違う症状が続いている場合には注意が必要です。大腸がんの転移の症状からくるものなのか、まず主治医と相談してみると良いでしょう。

この記事の監修医師

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