「腹膜癌」は健康診断では分からない?検査法や腹膜播種との共通点を医師が解説!

腹膜癌は、臓器ではなく臓器を覆っている「腹膜」という組織から発生するがんです。腹膜のがんと聞くと、胃・大腸・女性器など臓器のがんに比べて、どのような症状が出るのか想像しにくいという方もいるのではないでしょうか。この記事では、腹膜癌の検査方法について紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「腹膜癌の症状」はご存知ですか?治療法・検査法についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
腹膜癌とは?
腹膜とは臓器全体を覆っている組織で、この腹膜と臓器のあいだにある空間を腹腔といいます。
日本国内で罹患者の多いがんといえば大腸・胃・肺などいずれも臓器のがんですが、腹膜癌は、腹膜が発生源と考えられる罹患者数の少ないがんです。
この腹膜癌の多くは卵巣がんと同じ「漿液性(しょうえきせい)腺がん」というタイプに分類されます。
そのため、腹膜癌は病気の進行度・性質・治療への反応が卵巣がんに似ているとされるがんです。腹膜癌が進行すると女性器・リンパ節・大網(胃腸を覆っている脂肪組織)などに転移する可能性があります。
腹膜癌の検査方法
腹膜癌は、消化器のがんのように消化管内視鏡で確認できず、健診も確立されていません。もし腹膜癌が疑われる場合には、どのような検査を行うのでしょうか。
血液検査
血液検査の中には、がんの存在を確認するための「腫瘍マーカー」という項目があります。腹膜癌のスクリーニングに使用されるのは、この中のCA125という項目です。CA125は卵巣がん・女性器の良性疾患・腹膜炎などで高値を示す項目です。
腹腔鏡検査
腹膜癌では、診断・腫瘍摘出のため腹腔内の観察が必要です。しかし、開腹による観察は患者さんの身体への影響が大きいため、観察のみが目的の場合は腹腔鏡を使用します。腹腔鏡検査では、腹部に数カ所の穴をあけて内視鏡を挿入し、腹腔内の腫瘍の有無などを目視します。
経皮的検査
経皮的検査とは、穿刺して体液を採取し、その性状・内容を調べる検査です。腹膜癌になると、腹膜だけでなく腹腔内にがん細胞がみられるため、腹水を採取してがん細胞の有無・細胞型を確認します。検査の結果、漿液性腺がんが確認された場合は腹膜癌が強く疑われます。
腹膜播種とはどのような状態か?
腹膜播種(ふくまくはしゅ)とは、臓器にできたがんが進行することで腹腔内に腫瘍細胞が散らばり、腹膜に着生した状態のことです。
がんのタイプ(細胞型)は腹膜癌と異なる場合もありますが、腹膜播種・腹膜癌ともに「腹膜にがんができている状態」という点では同じです。腹膜が機能低下を起こし腹水が貯留するという症状や、治療において腫瘍減量術が効果的と考えられる点・化学療法が推奨される点など共通点が多いといえます。
腹膜癌についてよくある質問
ここまで腹膜癌の症状・治療法などを紹介しました。ここでは「腹膜癌」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
腹膜癌の末期の症状について教えてください。
中路 幸之助(医師)
腹膜癌が進行すると、腹水が大量に溜まることで消化器・横隔膜が圧迫されます。そのため、腹痛・吐き気などの消化器症状のほか、息苦しさを感じる患者さんが多いです。また、がん性腹膜炎による腹痛・発熱を繰り返す場合もあります。加えて、腹膜癌が臓器に転移した場合は各臓器のがんに特有の症状が現れるでしょう。
どのようなメカニズムで腹水が溜まりますか?
中路 幸之助(医師)
健康な方でも腹腔内には50ml程度の腹水があります。この腹水を生産・吸収して、腹水を適量に保っているのが腹膜です。しかし、腹膜癌などの病気により腹膜が機能低下をきたすと、生産と吸収のバランスが取れずに腹水が腹腔内に溜まります。
編集部まとめ
腹膜癌は、初期症状がほとんどなく症例自体も少ないため、早期の発見が難しいとされるがんの1つです。
そのため進行した状態で発見されることが多いですが、手術・抗がん剤治療のほか、腹水による不快な症状を緩和する「腹水濾過濃縮再静注法」など複数の治療方法があります。
気になる症状を感じたら、まずは医療機関を受診してみましょう。原因を知ることが早期治療への第一歩となります。
腹膜癌と関連する病気
「腹膜癌」と関連する病気は3つあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- がん性腹膜炎
- 難治性腹水
- 腹膜播種
腹膜にがんが発生すると、がん性腹膜炎を合併することがあります。また、腹膜癌により腹膜の機能が低下することで腹水の貯留を繰り返す場合が多いでしょう。腹膜播種は腹膜癌とは異なる病気ですが、治療法・症状などに共通点があります。
腹膜癌と関連する症状
「腹膜癌」と関連する症状は3つあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 発熱
- 腹部膨満感
- 体重減少
がんになると、感冒症状がないのに熱が下がらない場合があります。また、腹膜癌が進行し腹水が溜まることでお腹が張り、消化器が腹水に圧迫されることで食欲低下・消化機能の低下が起こり体重が減少する場合もあるでしょう。