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【嚥下障害】食事中の注意点まとめ 食べ物の大きさ・事前に知っておくべきこととは

 公開日:2025/02/06
食事中の注意点

高齢者の食事介助をしていると、「上手く飲み込めない」「食事中にむせる」といったことが多く起こります。高齢者の方が、食事を安全に楽しんでもらうにはどのような点に注意すればいいのでしょうか。言語聴覚士の大井さんに伺いました。

編集部編集部

嚥下障害のリハビリや食事で注意することはありますか?

大井純子さん大井さん

嚥下障害のリハビリや食事で注意するのは、口腔ケアや誤嚥です。口の中の衛生状態は、誤嚥性肺炎の発症リスクに大きく関係します。嚥下障害があると睡眠中に唾液を誤嚥しやすくなり、口腔内が汚れていると、誤嚥性肺炎の発症リスクが大きく高まります。そのため、食事のあとはもちろん、食事を食べていない方にとっても、定期的な口腔ケアが大切です。また、食べ物を用いた訓練や普段の食事では誤嚥のリスクがあります。窒息や誤嚥性肺炎を予防するためにも、全身状態や呼吸の変化、飲みこみの状況などをよく観察して誤嚥の兆候に気を配る必要があるのです。

編集部編集部

食べ物の大きさはどのように選ぶのでしょうか?

大井純子さん大井さん

嚥下機能や咀嚼の力などを見て、総合的に判断します。食事形態の目安には、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類が用いられます。嚥下食は、0~5の6段階に分かれ、それぞれの特徴は以下の通りです。

0. ゼリーやとろみ状
1. ゼリー状の嚥下食
2. なめらかなミキサー食やペースト食
3. ざらつきのあるミキサー食やペースト食
4. 舌でつぶせるやわらかさでまとまりやすい食事
5. 箸やスプーンで簡単に切れるやわらかさでまとまりやすい食事

番号が小さい方が一般的に飲み込みやすい食事で、重度の嚥下障害の方は段階0から始めることが多いのですが、事前の検査で飲み込みの機能が良いと判断されたら、もう少し上の段階からスタートすることもあります。

※参照:日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食分類 2021」
https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2021-manual.pdf

編集部編集部

飲み物にもとろみをつけると聞いたことがあるのですが、なぜでしょう?

大井純子さん大井さん

嚥下障害の方は、お茶やみそ汁などの液体を飲む際に、特に誤嚥しやすくなります。なぜなら、液体はのどに流れるスピードが速くて、飲み込むのが間に合わなくなるからです。飲み物にとろみをつけると、のどに流れる速度がゆっくりになり、誤嚥のリスクを軽減できます。とろみの濃度は嚥下障害の程度によって変えることが多く、以下の3種類が基本です。

薄いとろみ……スプーンを傾けるとすっと流れ落ちる
中間のとろみ……スプーンを傾けるととろとろと流れる
濃いとろみ……スプーンを傾けてもある程度性状が保たれ、流れにくい

重度の方は濃いとろみから始めて、段階的に薄いとろみ、とろみなしを目指します。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

大井純子さん大井さん

嚥下障害はさまざまな原因で起こります。栄養状態や全身状態にも関わるので、症状が疑われたら医療機関を受診しましょう。リハビリテーションでは、飲み込みの機能の維持や向上などを目指して、その方に最適なプログラムを組みます。専門家に相談したうえで取り組まれるとよいでしょう。

大井 純子

監修言語聴覚士
大井 純子(言語聴覚士)

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北里大学医療衛生学部卒業。大学卒業後、回復期リハビリテーション病院、総合病院に勤務したあと、訪問看護ステーションで訪問STとして勤務している。「症状で悩む方の役に立つ記事をわかりやすく説明する」ことを目標に執筆活動に励む。

※この記事はMedical DOCにて【嚥下障害のリハビリはどんなことをする? リハビリの内容と注意点を言語聴覚士が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修言語聴覚士

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