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がんの免疫療法薬「オプジーボ」 命に関わることもある副作用とは どんな症状が出たら注意するべき?

 公開日:2024/12/26
注意すべき人の特徴とは

薬を服用すると、多くの場合で「副作用」が起こります。そのなかには命を落とす可能性があるものも……。がんの免疫療法薬「オプジーボ」にはどのような副作用があるのでしょうか。命に関わる副作用もあるのか気になります。そこで今回は、薬剤師の長岡さんに「注意すべき副作用」について伺いました。

長岡 志帆

監修薬剤師
長岡 志帆(薬剤師)

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薬剤師、認定スポーツファーマシスト、健康食品管理士。2021年に出産を経験し、現在は子育てをしながら薬剤師として勤務。薬膳が好きで育休中にくらし薬膳アドバイザーも取得。医療や医薬品に関する不安・疑問を解決するよう、わかりやすい情報提供を心掛けて執筆している。

編集部編集部

命に関わる副作用もあるということですよね。

長岡志帆さん長岡さん

その通りです。重大な副作用として、間質性肺炎や重症筋無力症、横紋筋融解症、1型糖尿病、重篤な血液障害などが挙げられます。これらの疾患は一部で、添付文書にはほかにも様々な副作用が記載させています。頻度はごくわずかとされていますが、患者さんに症状が表れたら、早急に処置する必要があるので、体調で気になることが出てきたらすぐに診察を受けましょう。

編集部編集部

重大な副作用の中にある間質性肺炎とは何でしょうか?

長岡志帆さん長岡さん

肺の奥にある空気の交換をする「肺胞」の薄い細胞膜の炎症や損傷で壁が厚く硬くなってしまい、空気の交換が正常にできなくなる状態です。悪化すると肺全体が硬く委縮してしまい、死に至る病気です。間質性肺炎はオプジーボ以外の別薬剤、化学物質が原因で発症することもあれば、合併症、原因不明で発症することもあります。最初は無症状ですが、痰が出ない渇いた咳(空咳)や息苦しさで発見されることがあります。以下の条件に該当する方は間質性肺炎が起こる可能性が通常よりも高いので注意しましょう。
50歳以上の方
肺疾患にかかったことがある
呼吸機能が低下している
酸素投与中
肺に放射線治療をしたことがある
抗がん剤投与中
腎障害

間質性肺炎と診断されたら、オプジーボの投与を中止して適切な処置が必要となります。咳が続く、息苦しさを感じたらすぐに診察を受けましょう。

編集部編集部

重症筋無力症についても教えてください。

長岡志帆さん長岡さん

重症筋無力症は、神経から筋肉への指令が伝わらなくなることで、力が入りにくくなる疾患です。全身の筋力が低下し、目の症状が起こったり重症化すると呼吸困難に陥ったりこともあります。下記のような症状が出ている場合、速やかに受診するようにしましょう。

昔に比べて運動で疲れやすくなった
まぶたが重い
足や腕に力が入らない
筋肉痛が頻繁に起こる
ものが二重に見える
吐き気・動悸がする

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

長岡志帆さん長岡さん

オプジーボは世界的にも注目されている抗がん剤で、従来の抗がん剤とは違い免疫細胞を回復させることで悪性細胞を攻撃する薬です。薬代は高額ですが、高額療養費制度を利用して治療を受けることができます。抗がん剤の治療は、投与後すぐに副作用が起こる場合もあれば、時間が経ってから起こる場合もあります。ご自身とご家族で日々体調をチェックすることが早期発見につながります。また、がん治療に限りませんが、主治医と一緒に治療することが大切です。少しでも不安なことがあればしっかり相談して治療を受けましょう。

※この記事はMedical DOCにて【がんの免疫療法薬「オプジーボ」とは 作用・副作用を薬剤師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修薬剤師

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