がん治療薬の「オプジーボ」 どの部位のがんに効果的かご存知ですか?【薬剤師監修】
公開日:2024/12/23
昨今、様々ながんに対する治療法が登場し、不治の病と言われることが少なくなってきました。今回はがん治療薬の一種である「オプジーボ」について、“どんながんに効果的なのか”薬剤師の長岡さんを取材しました。
監修薬剤師:
長岡 志帆(薬剤師)
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薬剤師、認定スポーツファーマシスト、健康食品管理士。2021年に出産を経験し、現在は子育てをしながら薬剤師として勤務。薬膳が好きで育休中にくらし薬膳アドバイザーも取得。医療や医薬品に関する不安・疑問を解決するよう、わかりやすい情報提供を心掛けて執筆している。
編集部
オプジーボは新しい抗がん剤と聞きましたが、何が違うのでしょうか?
長岡さん
従来の抗がん剤治療(化学療法)で使われている薬は、「細胞障害性抗がん薬」と言われ、がんの原因である悪性の細胞を攻撃して死滅、減少させる薬です。この薬の欠点は、悪性細胞だけではなく、正常細胞にも攻撃してしまう点です。他方、オプジーボの作用機序である「免疫チェックポイント阻害薬」は、がん細胞によって働きが抑制されているT細胞と呼ばれる免疫細胞の免疫チェックポイントを阻害します。これによりT細胞の免疫力が回復し、悪性細胞を攻撃して死滅させる効果が認められています。
編集部
悪性黒色腫以外には、どのようながんに使用されていますか?
長岡さん
現在オプジーボが適用されるがんは以下のものです。
・悪性黒色腫(メラノーマ)
・切除不能な進行・再発の非小細胞性肺がん
・根治切除不能または転移性の腎細胞がん
・再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
・再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん
・治療切除不能な進行・再発の胃がん
・切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
・がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん
・根治切除不能な進行・再発の食道がん
・食道がんにおける述語補助療法
・原発不明がん
・尿路上皮がんにおける術後補助療法
・悪性黒色腫(メラノーマ)
・切除不能な進行・再発の非小細胞性肺がん
・根治切除不能または転移性の腎細胞がん
・再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
・再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん
・治療切除不能な進行・再発の胃がん
・切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
・がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん
・根治切除不能な進行・再発の食道がん
・食道がんにおける述語補助療法
・原発不明がん
・尿路上皮がんにおける術後補助療法
編集部
すごく高い薬と聞きましたが、どうでしょうか?
長岡さん
そうですね。オプジーボの成人用法用量は、「1回240mgを2週間間隔または1回480mgを4週間間隔で点滴静注」で、薬価で計算すると、1ヶ月で約73万円します(※1)。患者さんによって負担割合は違いますが、一般的な医療費3割負担で計算すると、薬代だけで1ヶ月約22万円かかります。年間では薬だけで約264万円となり、患者さんの負担は大きくなっています。しかし、高額療養費制度を申請すれば、月負担額は一定額以上免除され、負担は軽減されます。
※1.オプジーボ点滴静注240mg薬価:36万6405円/バイアル(2023年4月現在)
1ヶ月480mg投与のため、36万6405円×2バイアル=73万2810円
※この記事はMedical DOCにて【がんの免疫療法薬「オプジーボ」とは 作用・副作用を薬剤師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。