【薬剤師解説】「睡眠薬(睡眠導入剤)」と「睡眠改善薬」の違いは?
「睡眠薬」は不眠症の治療のために医師が処方する薬ですが、「睡眠改善薬」は医師の処方箋なしに薬局で買うことができるそうです。具体的な効果・効能の違いや睡眠薬の選び方について、薬剤師の小田桐さんにお聞きしました。
監修薬剤師:
小田桐 功武(薬剤師)
睡眠薬にはどんな種類があるの?
編集部
不眠症を改善させる薬には、どんな種類がありますか?
小田桐さん
大きく、「睡眠薬(睡眠導入剤)」と「睡眠改善薬」の2種類に分けられます。これらは作用の機序が違うため、使用方法や入手手段が異なってきます。
編集部
「睡眠薬(睡眠導入剤)」と「睡眠改善薬」はどのように違うのですか?
小田桐さん
「睡眠薬」は、不眠症の治療のために医師が処方する薬です。大きく4種類に分類され、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬が挙げられます。「睡眠導入剤」という言い方がありますが、これは睡眠薬のうち、一部の薬のことをいいます。催眠効果が早く現れたり、薬の血中濃度が早く低下したりする睡眠薬を指し、「入眠障害」を訴える人によく処方されます。一方で、「睡眠改善薬」は医師の処方箋なしに薬局で買うことができます。これらは、抗ヒスタミン剤を主成分としており睡眠薬に比べて簡単に手に入ります。ですが、効果はさほど強くなく効き目も長持ちする訳ではありません。
編集部
副作用に違いはありますか?
小田桐さん
程度の差はありますが、副作用の症状はどちらも似ている傾向にあります。代表的な副作用は眠気、ふらつき、転倒などです。ほかにも睡眠薬では、精神運動機能の低下や睡眠薬服⽤後の出来事を覚えていない前向性健忘、頭痛、消化器症状を呈する場合もあります。また、睡眠薬の成分が残ったまま運転をしてしまい、事故を起こす事例も発生しており注意が必要です。服薬量に依存する傾向も見られますので、医師の指示する用法・用量を守らずに自己判断で服用することや、市販の薬を連日服用するということは避けるようにして下さい。