服用する際に注意が必要な薬を薬剤師が解説! 睡眠薬・市販の風邪薬・治療薬など
高齢者の薬のトラブルで多いのは、ふらつきや転倒と言われていますが、ほかにも薬を服用する際に注意すべき点はあるのでしょうか? 注意が必要な薬の種類や注意ポイントについて、薬剤師の上野さんに解説してもらいました。
監修薬剤師:
上野 園子(薬剤師)
編集部
睡眠薬でのトラブルについて、注意点について詳しく教えてください。
上野さん
睡眠薬には、筋肉をゆるめたり、飲んだあとの記憶が飛んだり、翌日も意識がぼーっとしてしまうなどの副作用があります。トイレを済ませて布団に入る直前に服用する・晩酌の時は薬を飲まない・夜中に目が覚めても自己判断で追加しないようにしましょう。ただ最近では、より自然な眠りに近く安全性の高い睡眠薬(オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬)も出てきています。
編集部
睡眠薬以外にも注意が必要なお薬はありますか?
上野さん
うつやアレルギーのお薬も、ふらつきや意識がぼーっとする、眠気が出る場合があるので注意が必要です。アレルギーに効く成分は、市販の風邪薬の中にも入っていることがあり、本人に自覚なく眠気やだるさを感じているケースもあります。
編集部
ふらつきや転倒以外の副作用で、注意する薬もあるのでしょうか?
上野さん
循環器用のお薬で、特に注意が必要なのは、脳梗塞や心筋梗塞の予防で処方される抗血栓薬です。胃など消化管からの出血、脳出血のリスクが高まりますので、少し頭をぶつけただけの場合も、軽く考えず受診するようにしてください。高血圧の薬では、利尿薬、α遮断薬、β遮断薬は、慎重に使う薬です。また、糖尿病の薬は、低血糖に注意が必要です。低血糖の症状は、手の震え・動悸などがありますが、高齢者では症状が出ないまま、重症化してしまうことも多いので気を付けなければなりません。
編集部
副作用が気になって、飲んで大丈夫なのか心配になりそうですね?
上野さん
大事なのは、持病を悪化させないために薬を飲んでいるということです。副作用は、お薬を使用したら必ず現れるものではなく、出る可能性もあるぐらいに思っておく必要があります。副作用を恐れるあまり、自己判断で飲まずに病気が悪化してしまったというのは避けたいですよね。自己判断でのトラブルというのも非常に多いのです。大事なのは、変化を感じた際に患者さんから自発的に医療者にお伝えいただくことです。