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俳優・中尾彬さんが「心不全」で逝去 5つの原因となりやすい人の特徴を医師が解説

 公開日:2024/05/22

俳優の中尾彬さん(81)が、2024年5月16日に「心不全」で死去していたことが明らかになりました。急死とみられ、所属事務所が本日中に正式発表する見通しとのことです。

この記事では、心不全の原因や症状、なりやすい人の特徴を医師が解説します。予防法や何科へ受診すべきかなども紹介しているので、心不全が疑われる場合は、迷わず病院を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて【「心不全の主な5つの原因」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

小正 晃裕

監修医師
小正 晃裕(医師)

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京都大学医学部卒業。循環器内科・臨床不整脈を専門とし、これまで関西電力病院、京都大学医学部附属病院などで勤務。主にカテーテルアブレーション、不整脈デバイス診療に従事。現在は大手企業の専属産業医、複数クリニックで内科外来業務に従事しながら医療DX推進に向けて複数事業を運営中。日本内科学会認定内科医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医、日本医師会認定産業医。

「心不全」とは?

心不全とは、さまざまな原因によって心臓が全身に十分な血液を送り届けることができなくなる状態を指します。心不全には心臓のポンプ機能が弱くなり、十分な血液を全身に送り出せない場合(収縮不全)と、心臓が硬くなって正常に拡張できず、十分な血液を心臓に取り込めない場合(拡張不全)の2種類が存在します。
心不全は単一の病気ではなく、心臓病、高血圧、肥満などほかの健康問題が長期にわたって心臓に負担をかけ続けることで徐々に進行します。症状としては、息切れや疲労感、脚のむくみなどがありますが、初期の段階では症状が出ないこともあります。心不全は重大な健康問題であり、早期の診断と適切な治療介入が重要です。また、生活習慣の改善によって予防することも可能となるため、この記事を読んで心不全についての知識を身につけておきましょう。

心不全の主な原因

冠動脈疾患

主に動脈硬化を原因にする冠動脈の狭窄で心臓への血流が減少し、心筋が十分な酸素を得られない状態です。症状としては、胸の痛みや息切れがあります。受診すべき診療科は循環器科です。痛みが激しい場合や休息しても改善しない場合は、緊急でも受診するようにしてください。

高血圧

長期間にわたる高血圧は心臓に負担をかけ、心不全を引き起こすことがあります。高血圧の症状としては、頭痛やめまいなどが認められることもあり、管理は主に内科で行われます。コントロール不良な高血圧が続くような場合には心不全リスクも高くなるため、内科あるいは循環器科を受診することが重要です。

心筋症

心不全の原因として、拡張型心筋症や肥大型心筋症など、心筋の障害を起こす疾患が基礎疾患として存在することもあります。症状としては、心筋症の種類によっては胸痛や息切れを起こすことがあります。これらの症状を認める場合には精密検査を受けるようにしてください。

弁膜症

心臓の弁が正常に機能しない状態で、これにより血液が逆流したり流れが悪くなったりして心臓の負担が増大し、心不全を引き起こすことがあります。症状としては、息切れや胸の痛みがあります。心臓弁膜症の診断と治療は主に循環器科で行われ、弁膜症も進行性の場合が多いため定期的な検診が必要です。

不整脈

心臓のリズムが乱れる不整脈が持続することで、心不全を引き起こすことがあります。代表的なものとしては心房細動や心房粗動などがあり、その症状としては動悸やめまい、ふらつきを自覚することがあります。こうした症状を認めた場合には、精密検査を受けて心不全を起こしていないか確認してもらうようにしましょう。

心不全の代表的な症状

息切れ

心不全では、心臓が効率的に血液を全身に送ることができず、運動時だけでなく安静時でも息切れが起こることがあります。初期対応としては、十分な休息を取り、夜間にしんどい場合には頭を高くして横になることが有効です。こうした症状が持続する場合は、心不全の可能性が高くなるため内科や循環器科の受診が必要です。特に急激な悪化が見られる場合には緊急性が高く、早めに受診してください。

足のむくみ

心臓のポンプ機能が十分に機能しないと、体液が下半身に滞りやすくなり、特に足にむくみが現れます。むくみがひどい場合の一時的な対応としては足を高くして休むことで改善する場合もありますが、症状の持続や悪化が見られる場合には、早めに内科や循環器科を受診してください。

易疲労感(疲れやすさ)

心不全により身体組織への血流が減少すると、全身の酸素不足から常に疲れやすくなります。そのような場合には十分な休息を取ることが重要です。もし症状が日常生活に影響を与える場合には、内科や循環器科を受診して異常がないか調べてもらうことが望ましいです。

急激な体重増加

心不全では、ポンプ機能不全による体液の滞留により急激な体重増加が起こることがあります。食生活が大きく変わっていないのに体重が増えている場合には、心不全の可能性やその他疾患についても内科や循環器科で精密検査を受けることが推奨されます。

夜間の咳こみ

夜間、特に横になったときに咳が出たり、呼吸がヒューヒューと笛のような音を立てたり、泡のような痰がたくさん出ることがあります。これは肺に液体が溜まっている兆候であり、こうした症状が認められる場合にも治療が必要となることが多いです。早めに医療機関を受診して検査を受けるようにしてください。

心不全になりやすい人の特徴

高齢者

男女ともに65歳以上の高齢者は心不全のリスクが高まります。この年齢層ではさまざまな併存疾患の影響もあって動脈硬化や高血圧症により心臓のポンプ機能が低下しやすいです。また、肥満や体重の過多は心不全リスクを高める傾向にあります。逆に、積極的に運動を行い、バランスの取れた食生活を送る高齢者は心不全のリスクが低いです。

慢性疾患

高血圧、糖尿病、肥満、高脂血症などの慢性疾患を持つ人は心不全になりやすいです。これらの疾患は、男女や年齢層を問わず心臓に負担をかけるため、心不全への進行リスクが高まります。特に若年でこれらのリスク因子を多く持っている方は、将来の心不全リスクを減らすためにも健康的な生活習慣を心がけ、これらの慢性疾患を適切に管理していきましょう。

不健康な生活習慣

喫煙や運動不足、不健康な食生活、過度のアルコール摂取などの生活習慣を持つ人は心不全になりやすいです。これらの習慣は心臓に負担をかけ、動脈硬化や心臓病のリスクを高めます。逆に、禁煙を徹底し、定期的な運動を行い、健康的な食生活を送る人は心不全のリスクが低くなります。

心不全を予防する方法

バランスの良い食生活

塩分や脂質、糖質を控えめにし、野菜、果物、良質なたんぱく質を多く含むバランスの良い食事を心がけることが重要です。このような食生活は、体重管理を助け、高血圧、高脂血症、糖尿病などの心不全のリスク要因を低減します。また、健康的な食生活は動脈硬化の進行を予防し、心不全のリスクを減少させます。

定期的な運動

定期的な運動は高血圧や肥満、脂質異常症や糖尿病の改善に働き、心不全の予防に大きな役割を持ちます。できるだけ毎日中等度の運動(例えば早歩きで散歩、軽いジョギング、水泳など)を20-30分は行うようにしましょう。また、運動はストレス解消にも有効で、ストレス負荷からくる高血圧や心負荷も解消して心不全の予防につながります。運動習慣のない人は、まずは無理のない運動から習慣にしていきましょう。

慢性疾患の適切な管理

高血圧、糖尿病、高脂血症などの慢性疾患は動脈硬化や心不全のリスクを高めるため、これらの疾患を適切に管理することが非常に重要です。定期的な検査を受け、医師の指示に従って薬を服用し、生活習慣を見直すことがこれらの病状をコントロールし、心不全のリスクを減少させます。

「心不全の原因」についてよくある質問

ここまで心不全の原因などを紹介しました。ここでは「心不全の原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心不全を悪化させる原因について教えてください。

小正 晃裕小正 晃裕 医師

心不全を悪化させる要因としては、他の疾患のコントロール不良や不適切な生活習慣などが挙げられます。高血圧や糖尿病、脂質異常症などを放置すると動脈硬化が進行して心機能障害にもつながりやすく、また喫煙や過度のアルコール摂取、不規則な睡眠や偏った食生活などは慢性疾患のコントロール悪化につながり、結果的に心不全を増悪する要素となります。心不全は進行性の病気でもあるため、悪化を防ぐためにはほかの疾患の適切なコントロールと生活習慣の改善がとても重要です。

編集部まとめ

心不全とは、さまざまな原因によって心臓のポンプ機能が低下し、心臓が血液を効果的に全身に送り出すことができない状態を指します。高齢者や慢性疾患を持つ人、不健康な生活習慣を持つ人は特にリスクが高いとされています。
心不全の代表的な症状には息切れや足のむくみ、疲労感、体重増加、咳や喘鳴などがあり、これらの症状が現れた場合は早期に医療機関を受診することが重要です。
心不全の予防には、健康的な食生活、定期的な運動、慢性疾患の適切な管理が有効です。特に、高血圧、糖尿病、高脂血症などの慢性疾患は心不全のリスクを高めるため、これらの疾患を適切に管理することが重要です。また、不健康な生活習慣は心不全の症状を悪化させる原因となるため、禁煙や過度のアルコール摂取の制限、バランスの取れた食事を心がけるように心がけましょう。

この記事の監修医師