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サルコイドーシスとは?原因や症状、治療方法

 更新日:2023/03/27
サルコイドーシス

サルコイドーシスとはどんな病気なのでしょうか?目の症状を中心に、その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

サルコイドーシスとは

サルコイドーシスとは、体のさまざまな部位(皮膚や肺、目、心臓、脳・神経、表在リンパ節、唾液腺、筋肉、骨など)に類上皮細胞肉芽腫(肉のかたまり)ができる病気です。

発症率は、日本人では約10万人に1.8人程度ですが、がんのような悪性の疾患ではありません。発症率は、肺が約90%と高く、目の発症率は約50%です。罹患率は女性が男性の2倍、年齢では20歳代と50歳代に多く、男性では若年、女性は高齢者に多く発症します。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説

この病気は、おもに類上皮細胞やリンパ球などの集合でできた「肉芽腫」という結節が、リンパ節、目、肺などの、全身のさまざまな臓器にできてくる病気です。「サルコイド」はラテン語で「肉のようなもの」という意味で、「サルコイドーシス」はそれが全身にできる疾患であるという意味です。発病時の臨床症状が多彩で、その後の臨床経過が多様であることが特徴の1つです。

20代と60代に緩やかなピークを持つ分布を示し、特に50代以降は女性に多く、全体として女性が男性の約2倍です。
サルコイドーシスは、自然寛解することが多い反面、1-2割は難治化するため、特定疾患(難病)に指定されています。

サルコイドーシスの症状

目のサルコイドーシスの症状は、肉芽性の炎症により眼球の裏側の壁となっているぶどう膜という部位の炎症(ぶどう膜は虹彩と毛様体、脈絡膜の3つの部位の総称)、網脈絡膜炎です。この炎症の程度により目の中の水が濁り、その影が映ることにより視野の中に虫のようなものが見える、飛蚊症の症状が見られます。

さらに混濁がひどくなると、目がかすみ、視力が低下します。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説

サルコイドーシスは眼以外に肺、皮膚、心臓、リンパ節、唾液腺、神経、肝臓、脾臓、筋肉、腎臓、胃と非常に多彩な臓器に肉芽腫性病変を起こします。眼に現れる症状のぶどう膜炎は日本人の場合は60~70%に見られ、目の症状をきっかけに発見されることが比較的多いことが特徴です。

ほとんどの場合、目のぶどう膜という部分に炎症がおこり、ものがかすんで見えたり(霧視)、まぶしくなったり(羞明)、蚊が飛んでいるように見えたり(飛蚊症)、目が充血したり、視力が低下したりします。ブドウ膜炎をおこす病気として、サルコイドーシスが一位になっています。

患者さんは目の症状ですから眼科を受診されますが、そこで「ぶどう膜炎」と診断されたら、サルコイドーシスなどほかの病気である可能性を考えて内科にも受診して、全身検査をする必要があります。合併症として、白内障、緑内障、ドライアイなどがあり、全体の約3%が失明したという統計がありますので、はじめから適切な治療をすることが大切です。

サルコイドーシスの原因

サルコイドーシスの原因はプロピオニバクテリウム アクネス(アクネ菌)という説が有力になっていますが、現段階では不明とされています。全身的な病気のため、眼科、内科での診察、治療が必要です。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説
原因は不明です。原因として、プロピオニバクテリア(アクネ菌=ニキビの原因となる菌)や結核菌などの微生物が候補として挙げられています。遺伝要因として、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子などが推定されています。

サルコイドーシスの検査法

サルコイドーシスの検査は、全身の症状、検査所見、病理初見から診断します。サルコイドーシスを疑う診断結果として、

  • 眼底検査で、目のかすみ、まぶしさ、飛蚊症などの症状があり、ぶどう膜炎と診断される
  • 血液検査で、血液中のアンジオテンシン変換酵素(ACE)やリゾチーム値が上昇する

などから診断します。

体に肉芽腫ができる原因は、サルコイドーシス以外の感染症や環境要因などさまざまですので、肉芽腫の形成だけでサルコイドーシスと診断することはできません。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説

眼科的検査としては、細隙灯顕微鏡検査や眼底検査などの眼科検査を行います。前眼部病変としては豚脂様角膜後面沈着物や虹彩結節、隅角には隅角結節・テント状周辺虹彩前癒着、後眼部病変としては塊状硝子体混濁、眼底には網膜血管周囲炎・血管周囲結節、蝋様網脈絡膜滲出斑・網脈絡膜萎縮病巣が見られます。

全身検査としては、胸のX線写真、血液検査、ツベルクリン検査の陰性化などは重要な所見です。
また、ガリウムシンチグラムや気管支鏡検査なども行います。サルコイドーシスは結膜や皮膚などに結節をつくるので、その組織をとって病理検査をして診断を確定することになります。

サルコイドーシスの治療方法

サルコイドーシスの治療は、主にステロイドで行います。重症度に応じて、ステロイドの点眼薬、内服薬、テノン嚢下注射などを使用します。虹彩が炎症を起こした場合は、散瞳剤を点眼し、虹彩と水晶体の癒着を防ぎます。また、硝子体混濁や網膜の合併症には、硝子体手術を行います。

薬を減らしたり中止したりするとすぐに炎症が再発し、ぶどう膜に新しい肉芽腫が発生し、網膜の損傷により永久的な視力障害になる場合もあります。症状がない場合でも、2~3ヶ月に1回程度の受診が必要です。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説
原因不明であるため根治療法はありません。症状が軽く自然改善が期待される場合には、無治療で経過観察とします。
臓器障害のために日常生活が障害されている場合や、現在の症状が乏しくても将来の生命予後・機能予後の悪化のおそれがある場合には積極的に治療します。
全身的治療薬は、副腎皮質ステロイドホルモン剤(以下ステロイド)と免疫抑制剤(メソトレキセートなど)で治療するのが一般的です。
局所的治療は、眼病変、皮膚病変ときに呼吸器病変に対して行われます。
ぶどう膜炎の治療は、ステロイド薬・散瞳薬の点眼、眼底病変が強い場合はステロイド薬の内服を行います。炎症が強い場合には続いて緑内障も生じやすいため、注意を要します。

サルコイドーシスの予防方法

現在のところ明確な原因が不明ですので、特別な予防方法は見つかっていない状況です。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説
特別な予防方法はありません。女性の患者さんは、出産後にサルコイドーシスの病状が悪化することがあるため、注意が必要です。
ステロイド薬を使用している場合は、妊娠してよいか医師に相談したほうが良いでしょう。メトトレキサートなどを使用している場合は、中止後6か月間は妊娠をしないようにします。

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