レイノー症候群の症状や原因、治療方法とは?
レイノー症候群(読み方:れいのーしょうこうぐん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
野中 親哉 医師(野中内科クリニック院長)
レイノー症候群とは
レイノー症候群(レイノー現象とも言います)とは、低温やストレスのせいで、体の一部が麻痺したり冷たく感じられたりする状態をいいます。体の不調により血管の収縮が起きて、短時間ですが血流が局所的に少なくなるような状態が引き起こされます。これを血管攣縮と呼びます。血管攣縮の間は皮膚への酸素供給が欠乏するので、皮膚の色が青白くなり、やがて紫がかってきます。血管の緊張がゆるみ、血流が復活すると、今度は皮膚が赤くなります。影響を最も受けやすいのは手足ですが、鼻、唇、頬、耳たぶに起きることもあります。
引用:小児がん治療開発サポート CureSearch日本語版
http://www.childrenscancers.org/761
レイノー症候群は、フランスの医師レイノーにより定義されたので、彼の名前がついている疾患です。自己免疫疾患の1種で、「レイノー病」とも呼ばれています。レイノー症候群は、主に2つに分類され、「原発性」という原因を特定できないものと、「続発性」というなんらかの原因があるものに分かれます。この疾患は手足の末端部分の血流が滞ることにより、起こる疾患です。患者さんは、40代以前の女性に多いと報告されています。
以前は、農作業などで農耕機械を使用すると、機械の振動でレイノー症候群になるということが言われていました。農作業従事者に多く見られる疾患でした。
レイノー症候群の症状
手足の指の細い動脈の収縮が急速に起こり、その最も一般的な誘因は寒さにさらされることです。数分から数時間にわたって持続することがあります。手足の指が青白くなり、通常はまだら状に変色します。この現象は、1本の指だけにみられる場合も、複数の指に部分的にみられる場合もあります。通常は手足の指が痛むことはありませんが、しびれ、チクチク感、灼熱感がよくみられます。発作が終わると、患部が通常よりも赤くなったり青みを帯びたりすることがあります。手や足を温めると正常な皮膚の色と感覚が回復します。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/06-心臓と血管の病気/末梢動脈疾患/レイノー症候群
症状として、手の指先が蒼白化します。指先の色が紫色や白色に変色するのです。この指先部分の変色を何度か繰り返します。まだら状に変色することもあれば、一本の指のみ変色することもあり、症状の出方はさまざまです。身体の中心から一番遠い中指に症状が現れることが多いと言われています。指先が変色している最中、通常は痛みを伴うことはありませんが、稀にチクチクとした痛みを感じることもあります。
また、症状が長引いている場合、疼くような痛みと共に、感染症を引き起こし感染性潰瘍が生じてしまう事もあります。その場合、組織が壊疽してしまう危険性もあります。
レイノー症候群の原因
根底にある病因ははっきりとしていないが、末梢アドレナリン受容体の活性異常、特に後シナプス側 alpha 2 受容体の過剰発現もしくは機能亢進による平滑筋収縮の増加が示唆されている。レイノー症候群には原因が明らかでない原発性レイノー症候群(レイノー病)と他の疾患に伴って起こる続発性レイノー症候群(レイノー現象)がある。続発性の原因疾患としては強皮症 [DS:H01492]、全身性エリテマトーデス [DS:H00080]、関節リウマチ [DS:H00630]、シェーグレン症候群 [DS:H01502] がある。
引用:KEGG DISEASE Database
https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?ds_ja:H01620
レイノー症候群の検査法
レイノー症候群自体は臨床的に診断される。肢端チアノーゼ( 肢端チアノーゼ)でも寒冷刺激に反応して指趾の変色が生じるが,肢端チアノーゼは持続的で容易には回復せず,また栄養障害性変化,潰瘍,疼痛を引き起こさない点でレイノー症候群とは異なる。
原発性か続発性かの鑑別は臨床的に判断し,血管の臨床検査および血液検査により裏付けられる。血管の臨床検査には指の脈波の形態および圧の評価が含まれる。最も重要な血液検査は,膠原病性の血管疾患に対するパネルである(例,赤沈またはC反応性タンパク,リウマトイド因子,抗DNA抗体,抗核抗体,抗CCP抗体の検査)。
引用:MSDマニュアル プロフェッショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/04-心血管疾患/末梢動脈疾患/レイノー症候群
レイノー症候群の治療方法
軽症のレイノー症候群は、頭、体幹、腕、脚を寒さから守ることによってコントロールできます。興奮したときに症状が現れる場合は、弱い鎮静薬やバイオフィードバックが役立つことがあります。ニコチンは血管を収縮させるため、この病気の人は禁煙しなければなりません。
原発性レイノー症候群は通常、ニフェジピンやアムロジピン、ジルチアゼム、ベラパミルなどのカルシウム拮抗薬で治療します。プラゾシンが効果的な場合もあります。
病気が進行して生活に支障が出てきたのに他の治療法が効かない場合は、症状を軽減するため、特定の交感神経を一時的にブロックしたり、交感神経切除術という手術で切除することもあります。しかし、この手術がうまくいっても、効果はせいぜい1~2年しか持続しません。この手術は通常、続発性レイノー症候群の人よりも原発性レイノー症候群の人に効果的です。
続発性レイノー症候群の場合、原因の病気を治療します。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/06-心臓と血管の病気/末梢動脈疾患/レイノー症候群
なによりもまず、身体を冷やす寒い環境から温かい環境へと移動することがいちばんです。レイノー症候群は、血流不足により引き起こされるとされているので、症状が出た部分を早急に温めていきます。患部が温まり欠陥が拡張し、血流が改善されると、変色していた指先が元の状態へと戻ります。
興奮状態などの際に症状が引き起こされる場合は、弱い鎮痛薬を服用すると同時に、バイオフィードバックを行います。バイオフィードバックとは、脈拍や血圧など体の状態を測定して、ご自身の身体の状態を数値で確認し客観的に観察することで、身体を通常の状態に戻す方法です。
症状がなかなか治まらない場合は、神経ブロックという神経注射を行いますが、たいていは患部を温めることで症状は改善していきます。