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狭心症の症状・原因・治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

狭心症(読み方:きょうしんしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
品川弥人 医師(しながわ内科・循環器クリニック 院長)

狭心症とは

狭心症とは、冠動脈の狭窄によって胸が激しく痛む心臓病の一つです。
心臓は、全身に血液を送る筋肉のポンプとして働いています。心臓の筋肉自体に酸素や栄養を供給するのが冠動脈です。この血管だけとりだして見ると、冠(かんむり)に似ていることから冠(状)動脈といいます。

この冠動脈の内側にコレステロールがたまり血管が狭くなると、血液の流れが悪くなります。そして、心臓に十分な酸素を供給できなくなると、胸の痛みや圧迫感があらわれます。

狭心症の症状

狭心症の自覚症状は、ときどき起こる胸痛発作です。いったん発作が起きても、血流が回復し酸素の需給バランスが戻れば、症状は治まります。
狭心症発作の典型的な症状は、胸がきゅっと絞めつけられるような痛みです。数分から10分間程度続きます。突然強烈な痛みに襲われるのではなく、徐々に痛みが強くなるのが特徴です。胸よりも、みぞおち、左肩、左手、あごなどに強い痛みを感じることもあります。これを放散痛といいますが、放散痛が強い場合には、狭心症を虫歯や胃潰瘍などと間違うこともあります。

品川弥人 医師 しながわ内科・循環器クリニック 院長ドクターの解説
狭心症とは、胸部圧迫感が主症状の心疾患です。狭心症には、体に負荷がかかった時に胸部に圧迫感を感じる「労作性狭心症」と、安静時に胸部に圧迫感を感じる「安静時狭心症」の2種類があります。労作性狭心症の場合、階段の上り下りや運動などの労作によって症状が生じ、安静にすると治ります。対して、安静時狭心症の場合、運動などに関わらず発症します。特徴的な症状としては、胸全体が締め付けられるような胸部圧迫感ですが、他に冷や汗などの症状が出ることがあります。

狭心症の原因

狭心症の原因は、多くは動脈硬化であるといわれています。
動脈硬化とは、動脈の内側にコレステロールなどがたまり、血管が詰まったり硬くなったりして弾力性を失った状態です。血管の老化現象なので、歳をとると誰にでも起こる可能性があります。しかし、加齢のほかにも動脈硬化を早めてしまう原因となる疾患として、脂質異常症、高血圧、糖尿病などが挙げられます。これらの疾患を複数有していると、動脈硬化の進展が早いといわれています。その他、タバコ、肥満、高尿酸血症、遺伝的要素、外傷なども動脈硬化を早める原因といわれています。

狭心症の検査法

狭心症の主な検査方法を解説します。
心電図検査
心電図とは、心臓の電気的な活動をグラフの形に記録する検査です。
被験者の胸に電極を付け、安静にして心電図をとります。この検査をすると、心臓の拍動の状態(収縮・拡張している状態)が把握でき、過去に心筋梗塞を起こしていなかったか、なども分かります。
狭心症では発作が起きてから、病院に行くまでに患者が元の状態に戻ることが多いため、正常に測れないことがあります。そのため、狭心症が疑われる場合は、発作時の状態を調べるために、運動をしてもらって心電図を測る、「負荷心電図」を行うことがあります。

心エコー検査
心エコー検査というのは、超音波(エコー)を使って心臓の状態を探るものです。超音波というのは、人の耳には聞こえない高い周波数の音波で、これを体に当て、体内の臓器や血液が流れる様子を映し出します。放射線ではないので被曝の心配がなく、妊娠中の女性でも受けられます。

運動負荷試験
安静時ではなく、運動をしてもらいながらとる心電図検査です。実は、安静時にとる心電図は、心筋梗塞では特徴的な変化が現われるのですが、狭心症では、発作が起きていないときは、ほぼ正常であることが少なくありません。発作中であれば異常が現われるのですが、病院に受診するころには、正常な状態に戻っていることが多いのです。それで、狭心症が疑われる場合は、運動をしてもらいながら心電図をとります。被験者は、トレッドミル(ベルトコンベアー状のベルトの上を歩行する器具)や自転車エルゴメータ(スタンド式自転車のペダルをこぐ器具)などを使って運動します。

ホルター心電計
ホルター心電計とは、携行用の小型心電計です。胸に電極を貼り付けたままにして、日常生活における心臓の状態を把握します。これを装着すれば、深夜から早朝までの普段測れない時間帯を含めた、24時間の心電図をとることができます。

血液検査
血液検査で心筋梗塞を確認することができます。狭心症では血液検査をしても異常は現われないのですが、心筋梗塞では、心筋が壊死する際に心筋細胞から酵素が血液中に漏れ出るので、それを調べます。
代表的なものの一つにクレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)という酵素があります。心筋梗塞の発作後、4~5時間経ってから血液中に増えてきます。
最近、よく測定に使われるようになったのがトロポニンという酵素です。心筋梗塞の程度により、発症後2~3日から5~6日間、高い値を示します。90~95%の精度で心筋梗塞の診断ができます。

また、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンの血中濃度を測定するのも、心不全(心臓が衰えた状態。心筋梗塞もその原因の一つ)の病態を知るのに有用です。BNPは主に心室から分泌され、心筋を保護する働きをします。心臓に負担がかかったり、心筋が肥大したりすると血中濃度が増します。自覚症状が出る前から濃度が上がるので、心機能低下の早期発見に役立ちます。

冠動脈造影検査
冠動脈をX線撮影する検査です。股の付け根や手首等から、動脈にカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、冠動脈にまで持ってゆき、これを通じて造影剤を注入し撮影します。

冠動脈CT検査
CT検査の一種です。以前、心臓は、動きが激しいためCTで撮影することができなかったのですが、機器が進化し、ごく短時間で心臓の断面を撮影し、三次元画像で表わすことが可能になりました。造影剤を注入して撮影する点はカテーテルを使った「冠動脈造影検査」と同じですが、カテーテル検査では入院が必要なのに対し、こちらは外来で受けられます。

心筋シンチグラム検査
放射性同位元素を体内に注入し、それを標識として心筋の血液の流れを計測するコンピュータ断層撮影です。心臓核医学検査ともいわれます。

品川弥人 医師 しながわ内科・循環器クリニック 院長ドクターの解説
狭心症になりやすい人は、生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病など)がある人やたばこを吸う人です。特に喫煙は罹患率がかなり高くなる傾向にあります。また、中年以降の男性、閉経後の女性は罹患率が高くなるので、注意が必要です。日頃から生活習慣病に気を付け、また、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。

狭心症の治療方法

狭心症の治療には、薬物治療とカテーテル治療、外科治療の3つあります。
薬物治療
狭心症の治療に使用される薬は、発作を抑える薬と血栓(けっせん:血の固まり)が出来ないようにする薬があります。
発作を抑える薬には、硝酸薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬」などがあります。
血栓が出来ないようにする薬は、「抗血小板薬」、「抗凝固薬」などがあります。
また、下記の経皮的冠動脈形成術(PCI) や冠動脈バイパス術などと合わせて使われることもあります。

手術治療
・経皮的冠動脈形成術(PCI)
冠動脈カテーテル治療は,冠動脈の狭くなった部分を拡げる治療です。
これによって冠動脈の血流が増えて,症状の改善や心臓の筋肉を助けることができます。
体への負担が少ないため、短期間の入院で、血流を改善する効果が高い治療法です。

・冠動脈バイパス手術
経皮的冠動脈形成術で治療ができない患者さんは、冠動脈バイパス手術を行います。

品川弥人 医師 しながわ内科・循環器クリニック 院長ドクターの解説
狭心症の診断には、CT・心臓カテーテル検査・運動負荷試験、また、24時間の心電図を記録して解析・観察する検査などが用いられます。その結果、「労作性狭心症」と診断された場合は、心臓の血管を広げる心臓バイパス手術やカテーテル手術での治療が行われます。「安静時狭心症」と診断された場合は、基本的には通院による内服薬での治療が行われ、場合によっては手術での治療となります。

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