自己免疫性肝炎(AIH)の原因・症状・治療方法
自己免疫性肝炎(読み方:じこめんえきせいかんえん、別名:AIH)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
河島 祥彦 医師 (医療法人河島医院 理事長)
自己免疫性肝炎(AIH)とは
自己免疫性肝炎は、通常は慢性に経過する肝炎で肝細胞が障害されます(血液検査にてASTやALTが上昇します)。自己免疫性肝炎が発病するのには免疫の異常が関係していると考えられています。中年以降の女性に好発することが特徴です。原因がはっきりしている肝炎ウイルス、アルコール、薬物による肝障害、および他の自己免疫疾患による肝障害を除外して診断します。また、治療では副腎皮質ステロイド (※注1)が効果的です。英語ではAutoimmune hepatitis と呼ばれ、頭文字からAIH と略して使われることがあります。
引用:難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/113
自己免疫性肝炎(AIH)の症状
通常は自覚症状がなく、健診などで偶然発見されることが多いようです。急性肝炎として発症する場合は、倦怠感、黄疸、食欲不振などの症状がみられますが、自己免疫性肝炎に特徴的な症状はありません。病気が進行した状態で発見される場合もあり、肝硬変へ進行した状態では、下肢のむくみ、腹水による腹部の張りや吐血(食道・胃静脈瘤からの出血)などの症状がおきることがあります。
引用:厚生労働省難治性疾患政策研究事業 難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究
http://www.hepatobiliary.jp/modules/disease/index.php?content_id=1
自己免疫性肝炎(AIH)の原因
原因は不明です。血液検査で自己抗体(抗核抗体や抗平滑筋抗体)が陽性で免疫グロブリン、ことにIgGの血中濃度が高く、副腎皮質ステロイドによる治療によく反応することなどから、自己免疫が関与していると考えられています。肝臓の組織検査でもリンパ球が多数肝内に存在し、肝細胞が障害されている像が認められます。ウイルス感染や薬剤服用、妊娠・出産後に発症する場合もあり、これらが発症の引き金となる可能性が報告されています。
引用:厚生労働省難治性疾患政策研究事業 難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究
http://www.hepatobiliary.jp/modules/disease/index.php?content_id=1
自己免疫性肝炎(AIH)の検査法
AIHでは血清中のAST、ALTの上昇、IgGの上昇が特徴的で、抗核抗体、抗平滑筋抗体、肝腎ミクロゾーム抗体(抗LKM-1抗体)などの様々な自己抗体が血清中に出現します。これらは診断の指標として有用で、出現する自己抗体の種類に基づくAIH分類もなされています。抗核抗体は最も高頻度に検出されますが、全身性エリテマトーデス(SLE)など他の自己免疫疾患でも高率に検出されるため、抗核抗体陽性だからといってAIHとは診断できません。抗平滑筋抗体はウイルス性慢性肝炎でも検出されますが、通常SLEでは検出されないため、SLEに合併した肝障害とAIHとの鑑別に有用です。抗KLM-1抗体はII型AIH患者に特異的に検出されるため、II型AIHの診断に有用です。
自己免疫性肝炎(AIH)の治療方法
治療の基本は、副腎皮質ステロイドによる内服です。副腎皮質ステロイドであるプレドニゾロンを発症時に0.6 mg/kg/日以上の量を目安とし、また病状が重い場合には0.8 mg/kg/日以上で内服を開始します。肝機能検査値の推移を見ながらゆっくり漸減し、数値が安定する最低量のプレドニゾロンを維持量として長期間、内服して頂きます。引用:難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/113