肛門がんの症状や原因、治療方法とは?
肛門がん(読み方:こうもんがん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
東 光邦 医師 東肛門科胃腸科クリニック 院長
肛門がんとは
肛門がんは、肛門の組織の中にがんができる疾患です。肛門がんのうち、扁平上皮がん(類表皮がん)が大部分を占め、残りは総排泄腔腫瘍(類基底細胞腫瘍)が占めます。ヒトパピローマウイルス感染とのかかわりがあるとされています。
引用:国立がん研究センター 希少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/anal_cancer/index.html
肛門がんの症状
痔核の出血は、鮮血が紙についたり、ポタポタ落ちたり、シューと走るように便器を真っ赤によごしたりしますが、肛門がんの場合はやや赤黒い血液が分泌物と一緒に出て、下着を汚したり、紙につく程度の静かな症状です。
裂肛の場合は鋭く脳髄にひびくような痛みが多くなりますが、肛門がんでは強い痛みが長く続く傾向にあります。
それと同時に肛門管やその周辺に硬いしこりのある潰瘍ができたり、肛門が狭くなってきたら要注意です。
とくに、痔瘻がんの場合は肛門周辺からゼリー状の分泌物が出てくるので、これだけで診断がつくほどです。引用:松田病院
https://www.matsuda-hp.or.jp/library_detail.php?eid=00026
周囲の皮膚のびらんや発赤などの変化から見つけられることもあります。また慢性化した痔瘻からできたがんの場合は、膿のたまった硬結が硬く大きくなるなどして見つかることもあります。
肛門がんの原因
肛門がんの原因は不明ですが、肛門性交の受け手側でリスクが高く、同様に慢性瘻孔(ろうこう)のある人、肛門の皮膚部分に放射線療法を受けた人、白板症(はくばんしょう)の人、特定の種類の性感染症(特にヒトパピローマウイルス[16型HPV]感染症、鼠径リンパ肉芽腫)の人でもリスクが高まります。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/消化器系の腫瘍/肛門がん
肛門がんの検査法
肛門がんの診断を下すために、医師はまず肛門周囲の皮膚に異常がないかを視診します。次に手袋をして肛門と直腸下部を触診し、肛門内面に周囲と感触が違う部分がないかをチェックします。診察の補助として、肛門鏡(光源を備えた細く硬い管状の機器)を肛門に数センチメートル挿入して観察することがあります。
異常な部分があれば組織サンプルを採取して顕微鏡で調べます(生検と呼ばれる)。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/消化器系の腫瘍/肛門がん
肛門がんの治療方法
切除が可能であれば、手術療法が原則です。肛門がんには腹会陰式直腸切断術(ふくえいんしきちょくちょうせつだんじゅつ)による治療が行われていましたが、手術不能症例や進行症例については化学放射線療法(フルオロウラシルおよびマイトマイシンC(MMC))など、肛門括約筋(こうもんかつやくきん)の温存などを目指す治療を行う場合があります。手術療法後に残存腫瘍が認められた場合には、化学放射線療法を実施することもあります。
引用:希少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/anal_cancer/index.html
肛門がんの多くは扁平上皮がんというもので、これは放射線治療や化学療法によく反応するものなので、手術前に放射線治療や化学療法を行い、腫瘍を小さくしてから手術を行うこともあります。