過敏性腸症候群(IBS)の症状や原因・治療方法のご紹介
過敏性腸症候群(読み方:かびんせいちょうしょうこうぐん、別名:IBS)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
川本 徹 医師 みなと芝クリニック 院長
過敏性腸症候群とは
お腹の痛みや調子がわるく、それと関連して便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く状態のときに最も考えられる病気です。もちろん、大腸に腫瘍や炎症などの病気がないことが前提になります。およそ10%程度の人がこの病気であるといわれている、よくある病気です。女性のほうが多く、年齢とともに減ってくることがわかっています。命に関わる病気ではありませんが、お腹の痛み、便秘・下痢、不安などの症状のために日常生活に支障をきたすことが少なくありません。
引用:日本消化器病学会ガイドライン
http://www.jsge.or.jp/guideline/disease/ibs.html
この症状に罹患されている方は、実際に受診される方以上に多いのではないかというのが最近の印象です。
過敏性腸症候群の症状
IBS(過敏性腸症候群)には、その症状によって「下痢型IBS」、「便秘型IBS」、「混合型IBS」、3つに分類できない「その他」の4タイプがあります。便の形状によって分類されます。
引用:アステラス製薬 IBSネット
http://ibsnet.jp/geri/ibs/
「便秘型」の場合は便通がなくお腹が張る状態ですが、ただこの場合でも単純な便秘とは異なり、どこかで下痢をするということがあります。
このほか、便秘と下痢を繰り返す「混合型」があります。
過敏性腸症候群の原因
IBSになる原因はわかっていません。しかし、細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかった場合、回復後にIBSになりやすいことが知られています。
引用:日本消化器病学会ガイドライン
http://www.jsge.or.jp/guideline/disease/ibs.html#q2
過敏性腸症候群の検査法
過敏性腸症候群の人のほとんどは健康に見えます。診断は症状の特徴に基づいて下されます。また、ローマ基準と呼ばれる過敏性腸症候群を診断するための症状に基づく標準化された基準も使用されます。同様の症状を引き起こすことがある一般的な病気を診断するために検査が行われることもあり、特に年齢が40歳以上の場合や、発熱、体重減少、下血、嘔吐などの警戒すべき徴候がみられる場合に行われます。
以下の2つ以上とともに、過去3カ月で腹痛や不快感が月に3日以上ある場合に過敏性腸症候群と診断されます。
・排便すると軽減する痛み
・各発作が開始する際に伴う排便頻度の変化(便秘または下痢)
・便の硬さの変化引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/過敏性腸症候群-(ibs)/過敏性腸症候群-(ibs)
実際は、まず過敏性腸症候群用のお薬を飲んでいただき、それでも改善しない場合に、大腸内視鏡検査を受けられる方が多いようです。
過敏性腸症候群の治療方法
下痢型IBSの治療は、食事療法や運動療法をはじめとするライフスタイルの改善からはじまりますが、それでも十分な効果が得られない場合は、お薬による治療(薬物療法)が行われます。
引用:アステラス製薬 IBSネット
http://ibsnet.jp/geri/treatment/
また、過敏性腸症候群のお薬が副作用などで合わない方の場合は、漢方薬の使用も検討します。
うつや不安神経症が背景にあってこの症状がある場合は、まず精神科領域の治療をすることも必要です。
日常生活においては、暴飲暴食や不規則な生活は病状を悪化させるので避けたほうがいいでしょう。
適度な運動は、ストレスを取る、リラックスするといった意味で効果があると思います。
高齢の方(70歳頃)に過敏性腸症候群の方は少ないです。自律神経や環境、ストレスからの解放、食べ物の嗜好の変化(脂っこいものをだんだん取らなくなる)などの影響があるかもしれません。予後に関しては、加齢に従い、軽快することが多いと思われます。