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嚥下障害の症状・原因・治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

嚥下障害(読み方:えんげしょうがい)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
石島 健 医師(石島耳鼻咽喉科 院長)

嚥下障害とは

「物を食べる」ことは、食べ物を「認識し」「口に入れ」「噛んで」「飲み込む」までの一連の動作からなります。このうちの「飲み込む」という動作が「嚥下(えんげ)」にあたります。

引用:日本気管食道科学会
http://kishoku.gr.jp/public/disease04.html

石島 健 医師  石島耳鼻咽喉科 院長ドクターの解説
嚥下障害は、食べ物や飲み物を飲み込む際、のどにつかえてしまう疾患です。

通常は咀嚼したあとの食物は咽頭から食道を通って胃へと移動しますが、咽頭に残る時間が長くなったり、食べること自体に時間がかかってしまいます。

食べ物をうまく摂取することができないので、栄養不足に陥ってしまいます。

また、脱水症状になる場合もあります。この疾患は、のどの筋肉量に深く関係しており、とくに高齢者の方に症状が多く見られます。

また、喉の反射能力が低下することでも引き起こされます。脳血管障害により嚥下障害を発症するケースもよくあります。「ものを食べる」という本来の楽しみ自体が、嚥下障害により半減してしまうので、適切な治療で改善していくことが大切です。

嚥下障害の症状

食べ物がのみ込みにくくなったとの自覚(嚥下困難)や、食事の時のむせ(誤嚥)が現れます。声も嚥下機能の参考になります。嚥下困難の訴えがない場合もありますが、食事の状態で判断することもできます。固いもの、ぱさついたもの、まとまりのないもの、固形物と水物の混合したものは飲み込みにくい食べ物であり、食事に時間がかかるようになります。

引用:日本気管食道科学会
http://kishoku.gr.jp/public/disease04.html

石島 健 医師  石島耳鼻咽喉科 院長ドクターの解説
食べ物や飲み物が以前よりも飲み込みにくくなったという自覚症状があらわれます。

また、食事の際に食べ物や飲み物が気管に入って、むせてしまうこともあります。

この気管に入ることを誤嚥(ごえん)といいます。食べ物を体内にうまく取り込めないので、低栄養状態になり、脱水症状があらわれることもあります。

物をうまく噛んで飲み込むことができないことから、固いものよりも麺類などの柔らかく顎に負担がないものを好んで食べるようになるため、栄養バランスが偏ってきます。また、食後に声がかれたり、かすれたりして、声を思うように出せなくなることもあります。

嚥下障害の原因

摂食・嚥下障害の原因は唇顎口蓋裂(こうがいれつ)などの生まれつきの病気、耳鼻咽喉科手術の術後、脳性麻痺、認知症、脳血管障害、神経筋難病、呼吸器疾患、お薬の影響(例:利尿剤、パーキンソン病治療薬、精神安定剤)、加齢などさまざまです。

引用:テルモ株式会社
http://www.terumo.co.jp/consumer/guide/symptom/enge/about/index.html

嚥下障害の検査法

精神・身体機能も含めた全身状態をチェックします。次に口腔・咽喉頭の所見から、おおよその嚥下機能を判断します。舌の運動性は口腔期の食べ物の移動に、咽頭の知覚は咽頭期を引き起こすのに重要です。口腔から咽頭にかけては比較的簡単に観察できますが、下咽頭や喉頭の機能を確認するには、喉頭ファイバーなどの内視鏡検査が必要になります.実際に食物などを嚥下させて誤嚥などを検出する検査には嚥下内視鏡検査があります。また、実際に食べ物がどのようにのみ込まれるかを調べる方法としては、造影剤を用いて嚥下状態をX線透視下に観察する嚥下造影検査があり、現在では最も信頼性の高い方法と考えられます。

引用:日本気管食道科学会
http://kishoku.gr.jp/public/disease04.html

石島 健 医師  石島耳鼻咽喉科 院長ドクターの解説
嚥下障害の検査法では、喉に残った食べ物の残渣を確認する内視鏡検査と、レントゲンにて造影剤を使って状態を確認する方法があります。

X線検査は、最も信頼度が高いとされています。

内視鏡検査では、色のついた検査水を用いて、検査水がどのように流れていくのかを確認することがあります。

検査水を用いずに、内視鏡のみで判断することもあります。

造影剤での検査では、造影剤を含んで、その後の動きを観察していきます。

咽頭や食道などに極端に狭くなった箇所はないか、形状は正常か、また、造影剤が通る速度は問題ないかなどを確認していきます。

嚥下障害の治療方法

嚥下障害が軽度な場合には、誤嚥が起こりにくい様に、食べ物の形態を工夫します。水のようなものは誤嚥しやすいためトロミを付けることなどが、その代表例です。しかし、ある程度以上の障害があると、経口のみでは栄養摂取が不十分になるため、他の栄養補給法に頼らざるをえません。

引用:日本気管食道科学会
http://kishoku.gr.jp/public/disease04.html

嚥下障害の改善や誤嚥防止を目的として、手術治療が行われることもあります。誤嚥をできるだけ少なくして経口摂取を可能にしようとする嚥下機能改善手術と、誤嚥をなくすことを主眼とした気道と食道を分離する誤嚥防止術に大別されます。

引用:日本気管食道科学会
http://kishoku.gr.jp/public/disease04.html

石島 健 医師  石島耳鼻咽喉科 院長ドクターの解説
嚥下障害の治療法は、まずは、不足している栄養素を取り入れることから始まります。

一般的に高カロリーの点滴をしていきます。症状が進行している場合は、外科手術が行われます。栄養不足状態を打破する目的で、食べ物が食道に入りやすくなるように食道を開く手術です。

また、気管切開といって、気管にカニューレを入れることもありますが、この治療法の場合、ものを食べれるようになる半面、しゃべれなくなるというデメリットが生じます。

嚥下障害は、症状を今以上悪化させないことも大切です。そのための一環として、リハビリが行われます。

リハビリでは、お粥のようなとろみのついた食べ物で、嚥下訓練をしていきます。食物を体の中に取り込む際、実は固形の食べ物よりも水分の方が飲み込みにくいという性質があります。ですので、水にとろみをつけて飲み込む練習をしていくのです。

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