耳硬化症の症状や原因、治療方法とは?
耳硬化症(読み:じこうかしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
中島 規幸 先生 なかじまクリニック 院長
耳硬化症とは
中耳の中の音を伝える耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)が固着して動きが悪くなり、内耳に振動が伝わらなくなり、難聴が出現します。主にアブミ骨が固着する場合をいいます。 白人に多く有色人種には少ないとされていたのですが、最近では日本でも増加する傾向にあります。
耳硬化症の症状
主な症状は難聴と耳鳴りですが、障害が内耳に波及するとめまいが生じることもあります。耳硬化症では難聴を訴えて病院を受診する方がほとんどなので、当科の統計では難聴は100%、耳鳴は2/3の67%、耳が塞がったように感じる耳閉塞感が1/3の33%、めまいは約10%の方に見られています。
引用:慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000224.html
初期時は低い音を聞くことが難しくなります。ここで放置すると、かなりの難聴になってしまいます。その他、めまいや耳鳴りなどの症状が出ることもあります。
耳硬化症の原因
中耳腔の鼓膜から内耳に音が伝えられるときに耳小骨(じしょうこつ)が音を内耳に運びます。この耳小骨の内耳に接する部分がアブミ骨底板です。
この底板が新たにできた骨で固まり、アブミ骨の音に対する振動が制限されて内耳に音が伝わりにくくなるのがこの病気です。
耳硬化症の検査法
耳硬化症は臨床的および病理学的に活動型と非活動型に分類されます。一側(片側)ないし両側の伝音難聴として発症した後、徐々に難聴が進行します。耳硬化症の難聴は進行性であり、比較的若年期より発症し、徐々に進行、アブミ骨が完全固着することで伝音難聴は固定します。耳硬化症における難聴の進行率は平均すると2~3dB/年と考えられていますが、個人差が大きく、また左右の耳でも進行の度合いが異なることも多くみられます。さらに内耳性難聴が進行し、時には高度感音難聴まで悪化することがあります。耳硬化症は臨床経過および聴覚検査所見から診断しますが、側頭骨CT検査で「内耳骨包の脱灰像」という特徴的な所見がみられれば、診断はほぼ確定できます。
引用:慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000224.html
診断に関しては、視診では医師が目視します。鼓膜の真ん中の周囲だけ透けて赤く見えるといったことが特徴です。
聴力検査では、気導聴力と、骨導聴力を検査します。高い音の部分(2,000Hz)での骨導低下がみられます。また、聞こえ自体は低音部のほうが悪くなりやすいです。
その他、
・CT検査
エックス線を使って耳の内部をコンピュー処理して画像化します。
・耳小骨筋反射検査
耳小骨の動きを調べるための検査
・ティンパノメトリー
鼓膜の動きを知るための検査
等の検査が行われることがあります。
耳硬化症の治療方法
耳硬化症の治療の基本は手術治療です。手術の適応時期を決めるために、聴力レベル、進行度、年齢、職業などを考慮する必要があります。手術の後 はある程度の運動制限が必要ですので、若年者などのスポーツをよく勤しむ場合はご相談になると思います。また女性で妊娠されている方の場合、妊娠中に手術をすることはなく、出産後も半年もしくは1年ほどは待ったあとご相談によって決めていくことになります。
手術は全身麻酔で寝ていただき、硬くなったアブミ骨を摘出します。摘出したアブミ骨の代わりに人工のアブミ骨をつないで骨伝導を再建します。ただ、合併症として術後の聴力低下、めまい、耳鳴などが起こる可能性もあります。引用:徳島大学医学部
http://www.tokushima-u.ac.jp/med/culture/jibiinko/info/2011093000196/
もし、耳の聞こえが悪いなどといった症状がでてきた場合は、速やかに専門の医療機関(耳鼻咽喉科等)を受診するのが望ましいでしょう