目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 病気の事典
  3. 真菌性角膜炎(角膜真菌症)の症状・原因・治療方法

真菌性角膜炎(角膜真菌症)の症状・原因・治療方法

 更新日:2023/03/27

真菌性角膜炎(角膜真菌症)(読み方:しんきんせいかくまくえん、別名:かくまくしんきんしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
小島 孚允 医師 小島眼科医院 院長

真菌性角膜炎(角膜真菌症)とは

真菌(カビ)によって炎症を起こした状態です。ソフトコンタクトレンズの連続装用、手術後に免疫が落ちたときなどに発症します。
抗真菌性点眼薬や内服薬などを使用し、治療は約1~6ヵ月など時間がかかることがあります。

引用:井上眼科病院グループ
https://www.inouye-eye.or.jp/eyecare/keratitis/

小島 孚允医師 小島眼科医院 院長監修ドクターのコメント
角膜感染症のひとつであり、真菌に感染することで発生します。真菌は細菌と同様病原性の微生物ですが、生物学的には異なるジャンルに属し、カビや酵母の仲間です。まれな病気ですが、発症すると治療に抵抗し長引くことがあります。

真菌性角膜炎(角膜真菌症)の症状

眼痛、充血、角膜の混濁や視力低下が生じるのも細菌感染と似ています(図1)。進行はやや緩やかなことも多いのですが、早い場合もあるので油断はできません。

引用:医療社団法人 広辻眼科
http://hirotsuji-eye.com/eye/e110

小島 孚允医師 小島眼科医院 院長ドクターの解説
眼の異物感、痛みが感じられ、結膜(白目)の充血がみられます。目やにと涙がたくさん出ます。症状が進行すると角膜の混濁がみられ、それに伴い目がかすんで視力が低下します。

真菌性角膜炎(角膜真菌症)の原因

真菌とは病原性カビの一種であり、これによる角膜感染症を真菌性角膜炎と呼びます。健康な角膜には真菌が進入するということはほとんどなく、この病気自体まれなものです。しかしもともと目に持病があり、抵抗力が落ちているような人では発症しやすいといわれています。また植物の枝で目を突いてしまったとか、土埃のついた異物が飛入したといった原因で起こることもあります。

引用:日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/kakumaku_kansen.jsp

小島 孚允医師 小島眼科医院 院長ドクターの解説
角膜の外傷やコンタクトレンズの不適切な使用などで傷ついた角膜に真菌が感染して発症します。高齢者、糖尿病患者、ステロイド使用中など抵抗力が弱い状態にあると発症のリスクが高くなります。

真菌性角膜炎(角膜真菌症)の検査法

確定診断には角膜病変の一部をこすりとって、顕微鏡で観察したり培養したりして真菌の感染を確認します(専門病院でないとなかなかできませんが)。

引用:医療社団法人 広辻眼科
http://hirotsuji-eye.com/eye/e110

小島 孚允医師 小島眼科医院 院長監修ドクターのコメント
細隙灯顕微鏡による検査を行います。角膜に混濁を伴った潰瘍が形成されているのが観察されます。結膜(白目)には充血がみられます。目に異物の飛入や外傷があったかどうか、コンタクトレンズを使用しているかどうかを確認します。また糖尿病など全身病の有無、ステロイドや他の免疫抑制剤の使用の有無の確認も必要です。細菌性角膜炎との見分けが困難なことが多く、診断を確定するには、顕微鏡検査や細菌・真菌培養を行う必要があります。細菌性角膜炎の診断で抗生物質を使用しても改善しない場合は真菌症を疑う必要があります。

真菌性角膜炎(角膜真菌症)の治療方法

治療は、カビに効果のある抗真菌薬の点眼や内服、場合によっては点滴を行いますが、治癒するまで長期間要することもあります。

引用:日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/kakumaku_kansen.jsp

小島 孚允医師 小島眼科医院 院長監修ドクターのコメント
真菌には通常の抗生物質では効果がないので、適合する抗真菌薬を用います。点眼薬と必要に応じて抗真菌薬の内服を併用します。病状によっては入院し、点滴治療を要することもあります。治療中は、コンタクトレンズの使用は中止する必要があります。治療が長引き、治癒しても角膜に混濁が残ることもあります。十分休養と睡眠をとり、体力・免疫力の回復に努めることも大切です。

この記事の監修ドクター

この記事の監修医師