帯状疱疹の症状や原因、治療方法とは?
帯状疱疹(読み方:たいじょうほうしん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
春名令子 医師(はるなクリニック副院長)
帯状疱疹とは
帯状疱疹とは、痛みを伴う発疹で、体の左右どちらかに帯状にブツブツが生じる病気です。
水疱瘡(みずぼうそう)にかかったことがある人は、帯状疱疹になる可能性があります。ウイルスが身体の中に潜んでおり、ストレスや疲れなどによって免疫力が低下することでウイルスが再活性して発症するのです。
帯状疱疹は周囲に感染することはありませんが、これまで水疱瘡にかかったことのない人は感染する可能性があります。その場合には、水疱瘡として発症します。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹の症状の特徴は痛みを伴う発疹であるということです。やがてその痛みを感じる部位に紅斑(少し盛り上がったような赤い湿疹)ができ、続いて水疱ができて破れ、皮膚がただれ、かさぶたができます。その間も、痛みが続きます。軽い痛みで済む方もいますが、強い痛みを感じることが多く、中には夜眠れないほどの痛みに悩まされる方もいます。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹の原因はウイルスの感染です。とはいっても、外部から新たに入り込んで感染したわけではなく、既に身体の中に潜んでいたものが再び活動を始めたものなのです。
原因のウイルスは、実は、小児期にみずぼうそう(水痘)を引き起こす水痘帯状疱疹ウイルスであり、ほとんどの人が既に感染しています。このウイルスはその後、知覚神経が脊髄から出たすぐのところにある後根神経節(顔面の場合は三叉神経節)という部位に遺伝子のみの形で潜伏しており、再び活性化する機会をうかがっています。この状態では宿主に症状は現れず、薬剤も無効です。そして、加齢、ストレス、過労などにより宿主の免疫力が低下したときに、潜伏していたウイルスが再び活動を始め、神経を上行して皮膚に到達することで帯状疱疹が発症します。これを回帰感染や再帰感染といいます。
帯状疱疹の検査法
帯状疱疹の場合は、まず水疱瘡(みずぼうそう)へかかった経験があるかどうか確認が必要です。
そして、帯状疱疹の特徴的な症状である帯状の発疹を確認することで診断されます。ただし、単純ヘルペスなどのような帯状疱疹と似た病気もあるため、帯状疱疹の診断を確定させるために血液検査や病理検査を行う場合もあります。
また、神経痛の症状はあるものの発疹はまだ出ていない初期症状の場合には、血液検査によって帯状疱疹であるかどうかを調べます。
帯状疱疹の治療方法
帯状疱疹の治療では、いくつかの抗ウイルス薬が使用されます。よく使用されるのはファムシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬で、特に高齢者や免疫機能が低下している人に投与されます。ときにアシクロビルが使用されますが、一般的にはファムシクロビルかバラシクロビルが好まれます。これらはいずれも経口薬です。
このような薬は、帯状疱疹が疑われた場合に直ちに、できれば水疱が現れる前に投与を開始します。水疱が出てから3日が過ぎた後に投与した場合は、効かない可能性が高くなります。これらの薬は病気を治すわけではありませんが、帯状疱疹の症状を緩和し、症状の持続期間を短縮するのに役立ちます。
眼や耳に症状がある場合は、適切な専門医(眼科医または耳鼻咽喉科医)の診察を受けます。
湿布をすると痛みは和らぎますが、しばしば鎮痛薬が必要になります。非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)やアセトアミノフェンを使用することもありますが、ときにオピオイド鎮痛薬の服用が必要になることもあります。
細菌による二次感染症を予防するには、患部の皮膚を清潔に保ち、水疱をひっかかないようにすることが大切です。