異所性妊娠(子宮外妊娠)の症状や原因、治療方法とは?
異所性妊娠(子宮外妊娠)(読み:いしょせいにんしん、別名:しきゅうがいにんしん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
江川 晴人 医師 産科・婦人科 江川クリニック 院長
異所性妊娠(子宮外妊娠)とは
正常妊娠では受精した卵は子宮の内膜という場所に付着しますが、異所性妊娠とは卵が通常とは違う場所に付着して起こる妊娠をいいます。一般には「子宮外妊娠」のほうがなじみやすいかもしれません。代表的な症状は無月経に続く下腹部痛と性器出血ですが、流産との区別がつきにくいことがあります。全妊娠の約1%に起こり、その多くは卵管での妊娠です。
引用:徳洲会グループ
https://www.tokushukai.or.jp/treatment/gynecology/ijyou-ninshin.php
なお、医学的には「異所性妊娠」という言い方をします。
異所性妊娠(子宮外妊娠)の症状
無月経,不正性器出血および下腹痛が三主徴とされ,卵管破裂の場合には腹腔内出血をきたし急性腹症として搬送される例が多かったが,近年の経腟超音波断層法の普及や高感度hCG検出薬の開発により,破裂前の早期に診断される例も増加している.
引用:済生会長崎病院
http://www.nsaisei.or.jp/contents/archives/ectopic_pregnancy.php
異所性妊娠(子宮外妊娠)の原因
リスク因子として卵管形成術,骨盤内感染症既往などが挙げられてきたが,近年ではクラミジア感染による卵管の障害が注目されている.
引用:済生会長崎病院
http://www.nsaisei.or.jp/contents/archives/ectopic_pregnancy.php
異所性妊娠(子宮外妊娠)の検査法
妊娠可能年齢の女性に下腹部痛、性器出血、失神、ショック状態が認められる場合には異所性妊娠が疑われます。このような場合には妊娠検査が行われます。妊娠検査が陽性であれば、腟からプローブを挿入して超音波検査を行います。超音波検査で通常の子宮以外の部位に胎児が認められれば診断が確定します。超音波検査で胎児がどこにも認められない場合でも異所性妊娠の可能性がありますが、子宮内に着床していてもごく初期で検出できない可能性もあります。血液検査を行って、妊娠の初期に胎盤から分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)と呼ばれるホルモンを測定します。この検査は、妊娠がごく初期のため胎児が子宮内に認められなかったのか、異所性妊娠であるのかの判断に役立ちます。
診断の確定に必要な場合には、へそのすぐ下を小さく切開して、腹腔鏡と呼ばれる観察用の管状の機器を挿入することがあります。こうすると異所性妊娠を直接観察することができます。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/22-女性の健康上の問題/妊娠の合併症/異所性妊娠
あとは血液検査でhCGと呼ばれるホルモンを測ります。子宮外妊娠であるかどうかの判断の助けになります。
異所性妊娠(子宮外妊娠)の治療方法
異所性妊娠は生命を脅かすため、できるだけ早く妊娠を終了させる必要があります。たいていの場合、胎児と胎盤を手術で除去しなければならず、通常は腹腔鏡を用いますが、腹部により大きな切開を施して行う場合(開腹手術)もあります。手術中に、胎児と胎盤を含む卵管全体を摘出する場合もあります。または、卵管を開いて胎児と胎盤を除去し、卵管をそのまま縫合しないこともあります。しかし、卵管をそのまま置いておくと、将来の異所性妊娠のリスクが高まります。まれに、損傷がひどいために子宮の摘出手術が必要になることもあります。
手術の代わりにメトトレキサートの注射が行われることもあります。この薬剤によって異所性妊娠の組織が縮小して消失します。メトトレキサートに手術を併用しなければならない場合もあります。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/22-女性の健康上の問題/妊娠の合併症/異所性妊娠
手術では胎児と胎盤を除去します。また薬物療法では、MTX(メソトレキセート)を使用し、妊娠組織を消失させることを目的とします。
子宮外妊娠を予防する方法は今のところありません。放っておくと大量出血し危険な状態になることもありますので、妊娠が疑われる場合は速やかに専門医を受診するのが望ましいです。