うつ病はもはや身近な病気です!うつ病の原因や治療について

公開日:2020/10/02  更新日:2020/10/05

近年ますます増加傾向にある「うつ病」という”こころ”の病気。一言でうつ病と呼ばれていますが実はその種類も原因も様々なのです。 さらに、”こころ”の病気であるうつ病は、治療方法についてもまだまだ一般的には認知されていない部分も多いかと思います。そこで今回は、うつ病の種類や原因とその治療方法についてMedical DOC編集部がお届けいたします。

この記事の監修医師
今野 裕之 (ブレインケアクリニック 名誉院長)

うつ病とは?

「うつ病」では気分がふさぎ込む、喜びを感じなくなる、興味や関心が低下する、疲れやすくなる、食欲や睡眠欲・性欲が低下してしまうなどのさまざまな症状を引き起こす病気です。日常生活において、不快な出来事などによって気分が落ち込んでしまったり意欲が低下してしまったりすることは少なからず誰にでもあることですが、健康であれば人間にもともとから備わっている自然治癒力が働くことによって、時間の経過とともに気分や意欲は回復します。しかし、自然治癒力がうまく作用しない場合には、気分や意欲が低下し時間の経過とともにどんどん悪化してしまい、ひいては日常生活へ支障をきたすようになってしまいます。このような状態を「うつ病」と考えると良いでしょう。

つらい「うつ病」の原因とは?

このように、概念的には「エネルギーの欠乏による脳の機能障害」であると言える「うつ病」ですが、症状の現れ方や重症度などによってさまざまな分類や特徴があります。ここからは、うつ病の原因について、より具体的にご説明いたします。

うつ病の原因について

うつ病のきっかけとなる原因はさまざまです。非常につらくショッキングな出来事などが原因となって発症してしまうケースがしばしばみられますが、明らかなきっかけがなくてもうつ病を発症するケースも珍しくありません。したがって、単一の要因によってうつ病が発症するというよりは、様々な要因が複雑に絡み合っているところに対して、何らかの要因がきっかけとして作用する事でうつ病が発症してしまうと考えた方が適切です。うつ病が発症するきっかけのひとつである「環境要因」には、大切な人との離別や死別・大切なものなどの喪失・家庭内や職場などをはじめとした人間関係のトラブル・日常生活における環境の急激な変化などがあり、これだけをとっても多種多様なものがあります。さらにこの「環境要因」に加えて、個々人の性格の傾向や遺伝的要因・身体疾患なども発症要因となることもわかっています。

「うつ病」を発症する脳内メカニズム

「うつ病」は心の病気ですが、現在では神経の信号を伝達する物質の分泌や伝達が滞ってしまう事によって引き起こされる、脳の機能障害であると考えられています。脳内の神経細胞間の情報を伝達する物質である「セロトニン」や「ノルアドレナリン」などの分泌が減り、神経細胞の機能障害が起こることによって脳内の情報伝達が滞ってしまい、その結果としてうつ病になるという仮説です。しかし、この説だけではうつ病をうまく説明できないことから、最近ではうつ病では神経やシナプスの新生を促す「BDNF」という物質が減少していることや、脳内の炎症による影響などにも注目が集まっています。

うつ病治療の「3本の柱」

ここまでは、うつ病の種類や原因とうつ病が発症するメカニズムについて説明してまいりました。しかし、うつ病そのものの治療方法について知らなければうつ病の克服にはつながりません。現在のうつ病治療では、一般的に3つの方法を治療の中心となる”柱”として見立てて進められています。それではここからは、うつ病治療の中心となる「3本の柱」について以下にご紹介いたします。

十分な休養

こころの病気である「うつ病」の治療においては、心を鍛えなければならないと考えている方もいますが、考え方としては身体の病気と同様に十分な休養が必要となります。風邪で体力が落ちてしまっている時にしっかりと身体を休めることが大切であると同様に、疲弊してしまった脳をしっかりと休ませることが重要なのです。休養のために仕事や学校・家事などを休むこと自体を申し訳なく感じてしまいストレスになる方がいますが、これは治療のために必要なことなのです。自宅での療養にストレスを感じてしまう場合は、軽症であっても一時的に入院する事がよい結果につながるケースもあります。医師やご家族としっかりと相談をしたうえで、適切な休養をとる事が最適な治療方法のひとつであると言えるでしょう。

薬物療法

うつ病の薬にはなんとなく抵抗感を感じてしまう方も多いようですが、風邪をひいたらかぜ薬を服用するように、うつ病にはうつ病の薬が必要であると考えるとよいでしょう。うつ病に対して処方される薬は一般的に「抗うつ薬」と呼ばれており、情報伝達がうまくいかなくなってしまった脳内の機能不全を改善し、うつ病の症状をより早く回復する効果が期待できます。より具体的には、脳内の情報伝達物質である「セロトニン」や「ノルアドレナリン」がしっかりと機能するようサポートし、神経細胞間での情報伝達をスムーズにします。最近では、また、不安感や恐怖感・不眠といった症状で苦しむうつ病の患者さんに対しては、睡眠導入剤や抗不安薬(いわゆる精神安定剤)が処方される場合もあります。医師の指示に従って適切な薬物療法をおこなうことも、つらいうつ病の治療方法のひとつとなっています。

再発を予防するための「精神療法・カウンセリング」

発症してしまったうつ病に対する治療方法についてここまで触れてきましたが、治療と同様に大切なのは、うつ病が再発してしまわないようにしっかりと予防する事です。うつ病の発症に影響する「環境要因」や「性格の傾向」などは、基本的に休養や薬物療法だけで変わるものではありません。患者さん自身の環境や思考パターンを見直すことが再発の予防に重要であり、そのためにはそれぞれの患者さんの状態に適した精神療法やカウンセリングが有用です。
よく知られている効果的な精神療法には「認知行動療法」があります。この精神療法を受けることによって、悲観的になりやすい自分の考え方の癖を発見し、修正する練習を積むことによって物事をバランスよく捉えることができるようになります。すると、気持ちが落ち込むことが減り、うつ病になりにくくなるというわけです。うつ病から回復した後には大変なことかもしれませんが、患者さん自身が自主性を持って治療に取り組む事によってより効果を発揮します。

まとめ


いかがでしたでしょうか?
今回は、うつ病の種類や原因とその発症のメカニズム、そしてうつ病治療の中心となる「3本の柱」についてご説明してまいりました。うつ病には様々な原因や要因があり、種類や重症度などによってさまざまな分類や特徴があることがおわかりいただけたかと思います。さらに、うつ病の治療も身体の病気の治療と同様に、十分な休養と適切な薬物療法に加えて再発防止のための専門家との連携によるセルフケアが大切であることがおわかりいただけたかと思います。近年増加傾向にある「うつ病」は、もはや身近な病気であるといっても過言ではありません。「うつ病」について正しく知ることで、つらいうつ病の治療や予防にお役立ていただき、心身ともに健やかな日常生活を送りましょう!

監修ドクターコメント

今野先生

記事にもあるように、うつ病は珍しい病気ではありません。また、一度発症をすると回復まで長い時間がかかってしまいます。うつ病を他人事とは思わずに、正しい知識を身につけておくことをお勧めします。

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