根管治療で失敗するとどうなる?根管治療を失敗する原因と対処法について解説します
公開日:2024/11/07
根管治療とは、むし歯や感染でダメージを受けた歯の神経や血管を取り除き、根管内を清掃・消毒して密閉する治療法です。 根管治療で失敗した場合にはさまざまな原因があり、再度治療や処置が必要となります。
本記事では、根管治療で失敗するとどうなるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- 根管治療で失敗してしまう原因
- 根管治療で失敗した場合どのような症状が現れるのか
- 根管治療に失敗した場合の治療について
根管治療で失敗するとどうなるのかについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
根管治療の失敗について
- 根管治療で失敗する原因を教えてください
- 根管治療が失敗してしまう場合、以下の原因が考えられます。
- 治療の難易度が高い
根管治療は、歯の中にある細い神経や血管を取り除き、感染した部分を清潔にする作業です。歯科医師の技術と精度の高い医療機器が必要であり、これらが不十分な場合、周囲の組織を傷つけたり、治療が至らなかったりする可能性があります。 - 細菌が残ってしまった
根管治療で根管の中の神経や血管を取り除く際、細菌は目に見えないためすべてを除去するのは難しい場合があります。また、治療中に唾液が根管内に入り込むことで細菌が残り、むし歯が再発するリスクが高まることがあります。 - 根管充填や被せ物に隙間ができてしまった
根管治療の後には、根管内を薬で埋めて細菌が侵入しないようにする根管充填という処置が行われますが、この処置が不十分だと根管内に空洞ができ、そこで細菌が増殖します。また被せ物が歯にぴったり合わない場合も、細菌が侵入し、再び感染が起こることがあります。 - 根管内に穴を空けてしまった
根管は狭く複雑な形をしているため、治療している途中に穴を空けてしまうことがあり、これが原因で細菌感染や歯の損傷が進行することがあります。
- 治療の難易度が高い
- 根管治療で失敗するとどのような症状が現れますか?
- 根管治療が失敗すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 痛みが出る
軽い違和感から激しい痛みまで幅広く、安眠が妨げられる程の痛みを感じることもあります。 - 顔や歯茎が腫れる
特に顔全体が腫れた場合には緊急性が高く、すぐに歯科医院を受診する必要があります。 - 歯茎から膿が出る
根管内に残った細菌が原因で、膿が歯茎から出ることもあります。膿が出ると痛みが軽減されることもありますが、これは内部の細菌がまだ残っている証拠であり、再治療が必要です。 - 歯茎にでき物ができる
歯茎にでき物ができ、そこから膿が出ることで内部の圧力が減少しています。この状態でも、根管内の細菌が増殖しているため、速やかに治療を受けることが推奨されます。 - 歯が浮いたような感覚や噛む際の痛み、違和感
これらも根管治療が失敗した際の症状の一つであり、炎症が進行する前に適切な治療を受けることが重要です。
- 痛みが出る
- 根尖性歯周炎とはどのような状態ですか?
- 根尖性歯周炎とは、歯の根元の先端部分に細菌が入り込み、病巣が作られている状態を指します。急性と慢性の2種類があり、慢性の場合は自覚症状が少なく、歯肉を押すなどの刺激が加わると痛みや違和感を感じることがあります。一方、急性では何もしなくても強い痛みが生じ、歯槽骨に炎症が広がると、歯を支える骨が溶けてしまうこともあります。
根尖性歯周炎は、根管治療が失敗した際によく見られる病気で、歯や歯茎に痛みが現れたり、歯茎から膿が出たりすることがあります。また、頭痛や肩こり、倦怠感など、全身の不調を引き起こすこともあります。自然に治ることはなく、早期に適切な治療を受けないと、最終的に抜歯が必要になることもあります。
根管治療に失敗した場合の治療について
- 根管治療で失敗した後の再治療について教えてください
- 根管治療が失敗した場合、再度治療が必要です。
再治療では、根管内をできる限り無菌にすることを目指しますが、初回治療よりも難易度が上がります。繰り返し治療を行うと歯が薄くなり、弱くなってしまうため、最終的には抜歯が必要になることもあります。再治療をしないと症状が悪化するため、治療を避けることはできません。
また、1本の歯に対して行える根管治療の回数は3回程度が目安とされており、治療を成功させるためには、豊富な経験を持つ医師による施術が重要です。
- 根管治療で失敗した後に外科治療が必要になる場合はありますか?
- 根管治療を行っても症状が改善されない場合に外科的治療が必要になることがあり、その一つが歯根端切除術です。
歯根端切除術とは、歯の根の先端部分と、そこに溜まった膿(嚢胞)を切除する手術で、麻酔を行い顎の骨を削ってから感染部分を取り除きます。歯全体を抜くのではなく、歯を一部残すことが可能とされていますが、すべての歯に適用されるわけではありません。
特に根管が複雑で再治療が難しい場合や、歯根嚢胞ができている場合にこの外科治療が選択されることが多いといわれています。また、歯の根が折れている場合や、土台を外すことで歯が折れるリスクが高い場合にも、歯根端切除術が行われることがあります。
- 根管治療で失敗した場合に抜歯になる可能性はありますか?
- 根管治療や外科的な治療を行っても症状が改善されない場合、最終的に抜歯が必要になることがあります。何度も治療を繰り返すと歯が脆くなり、割れたり折れたりするリスクが高くなり、特に神経を失った歯は、再度むし歯になった場合に抜歯が選択されることがあります。
抜歯を避けたいと考える方も多いとされていますが、残した歯が周囲の健康な歯に悪影響を及ぼす場合には、抜歯が必要です。根管治療は回数を重ねるごとに成功率が下がり、患者さんの負担も増えるため、適切なタイミングで抜歯を検討することが大切です。抜歯を行うことで、ほかの歯や口腔全体の健康を守れる場合もあります。
根管治療を受ける際の注意点
- 根管治療で失敗しないための歯科医院の選び方はありますか?
- 根管治療で失敗しないためには、適切な歯科医院を選ぶことが重要なポイントです。
- 精密な診査・診断を行う歯科医院を選ぶ
CT検査を使用することで、根管の状態を3次元で確認でき、見逃しが少なくなります。 - 設備や環境が整っている歯科医院
歯科用マイクロスコープやラバーダム、柔軟なNiTiファイルなどの器具を使用しているか確認しましょう。これらの器具により、治療の正確さが向上し、成功率が高まります。 - 神経をできるだけ残す努力をしてくれる医師がいる歯科医院
神経を残すことで、歯の寿命を延ばすことが期待できます。 - 歯内療法専門医が在籍している歯科医院
技術と豊富な経験を持つ歯内療法専門医に任せることで、納得して治療を受けることができるでしょう。
- 精密な診査・診断を行う歯科医院を選ぶ
- 保険適用の根管治療と自費の根管治療の違いを教えてください
- 保険適用の根管治療と自費の根管治療にはいくつかの違いがあります。
保険適用の治療では、使用できる器具や薬剤が限られており、治療の精度に影響を与えることがあります。例えば、保険治療ではステンレス製のファイルを使用することが多いとされ、硬いために根管を削りすぎるリスクがあります。また、治療で使われる消毒薬や充填材も限定されており、無菌状態を保つのが難しい場合があります。
自費の根管治療では、マイクロスコープやCTなどの設備を使用し、細かい部分まで正確に診断・治療することが可能といわれています。
またニッケルチタン製の柔軟なファイルを使用すれば、複雑な根管でも正確な治療を行うことができるため、成功率が向上し、歯を長く保つことが可能とされています。
編集部まとめ
ここまで根管治療で失敗するとどうなるのかについてお伝えしてきました。
根管治療で失敗するとどうなるのかについて、要点をまとめると以下のとおりです。
- 根管治療で失敗する場合には、治療の難易度が高い、細菌が残ってしまった、根管充填や被せ物に隙間ができてしまった、根管内に穴を開けてしまったなどの原因が挙げられる
- 根管治療で失敗した場合、痛みが出る、顔や歯茎が腫れる、歯茎から膿が出る、歯茎にでき物ができる、歯が浮いたような感覚や噛む際の痛み・違和感が現れるなどの症状が挙げられる
- 根管治療に失敗した場合、再治療、また歯根端切除術などの外科的治療が必要になることがあるが、症状が改善されない場合、最終的に抜歯が必要になることがある
根管治療について理解を深め、適切な歯科医院を選ぶことで納得のいく治療を受けましょう。
本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。