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帯状疱疹がお口にできることはある?口唇ヘルペスとの違いについても解説します

 公開日:2024/12/10

帯状疱疹は身体の片側に帯状の発疹と痛みを伴う病気ですが、実はお口のなかにもできることがあります。また、口唇ヘルペスと症状が似ているため、区別が難しい場合も少なくありません。
本記事では帯状疱疹について以下の点を中心にご紹介します。

  • 帯状疱疹の概要
  • 帯状疱疹と口唇ヘルペスの関係
  • 口唇ヘルペスの概要

帯状疱疹について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

帯状疱疹の概要

帯状疱疹の概要

帯状疱疹の症状と原因を教えてください
帯状疱疹は、初期症状として皮膚に痛みや違和感、かゆみが現れることが特徴です。その後、皮膚に発疹や水ぶくれができると、ピリピリと刺すような痛みが強まり、場合によっては夜間の睡眠が妨げられる程激しくなることもあります。この病気の原因は、水ぼうそうを引き起こすウイルス(帯状疱疹ウイルス)で、日本人成人の体内に潜伏しています。加齢、疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再活性化し発症します。なかでも、50歳代以降で発症率が高くなり、80歳までに3人に1人程度が発症するとされています。
帯状疱疹の治療にはどのようなものがありますか?
帯状疱疹の治療は、抗ウイルス薬と痛み止めを中心に行われます。抗ウイルス薬は、発症後できるだけ早期に開始することでウイルスの増殖を抑え、症状の進行や合併症のリスクを軽減します。症状が重い場合には入院し、点滴による治療が必要となることもあります。
痛みが強い患者さんには鎮痛剤が処方され、夜も眠れない場合には神経ブロック治療が用いられることがあります。

また、皮膚の発疹が治癒した後も痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN)には、抗うつ薬やオピオイド鎮痛薬、神経ブロックの効果が期待できます。
さらに、外用薬を併用することで患部の炎症を抑え、早期回復を図る場合もあります。

帯状疱疹の合併症について教えてください
帯状疱疹の主な合併症には、皮膚症状が治癒した後も痛みが残る帯状疱疹後神経痛(PHN)があります。この痛みは”焼けるような”、”ズキズキする”などさまざまで、睡眠や日常生活に支障をきたすことがあります。なかでも高齢者や免疫力が低下した患者さんでは、痛みが激しくなる傾向があります。目の周囲で発症した場合、角膜炎や結膜炎などが起こり、視力低下や失明の可能性もあります。

また、顔面神経麻痺を伴うラムゼイ・ハント症候群では、めまいや耳鳴り、難聴を生じることがあります。
これらの合併症は患者さんの生活に大きな影響を及ぼすため、早期の受診が重要です。

帯状疱疹は予防できますか?
帯状疱疹は予防できるとされていますが、すべて防ぐことは難しいため、日常的に免疫力を維持することが重要です。まず、十分な睡眠や休息、栄養バランスの取れた食事を心がけることが基本です。さらに、適度な運動やストレスを発散する習慣を取り入れることで、免疫機能を高める効果が期待できます。

なかでも、50歳以上の方には、帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。また、日常的な免疫力低下を防ぐため、過度な疲労やストレスを避け、規則正しい生活を送ることも大切です。

日光を浴びながらのウォーキングなど、軽い運動を取り入れつつ、質の高い睡眠を確保することで、帯状疱疹の発症リスクを下げることが期待できます。

帯状疱疹と口唇ヘルペスの関係

帯状疱疹と口唇ヘルペスの関係

帯状疱疹はお口にできることはありますか?
帯状疱疹はお口にも発症することがあります。帯状疱疹の原因である水痘・帯状疱疹ウイルスが顔面神経や三叉神経に影響を与えると、口腔内やその周辺に痛みや発疹、水ぶくれが生じる場合があります。なかでも、お口のなかの粘膜や歯茎、舌に症状が出ることがあり、食事や会話が困難になることもあります。

また、顔や耳周辺に症状が広がる場合もあり、早期の診断と適切な治療が重要です。さらに、口腔内に帯状疱疹が発生した場合、強い痛みが伴うことが多く、放置すると神経痛が長引く可能性があります。

したがって、症状を感じた場合は、速やかに医師や歯科医師に相談し、抗ウイルス薬や痛み止めなどの治療を受けることをおすすめします。

帯状疱疹と口唇ヘルペスの違いを教えてください
帯状疱疹と口唇ヘルペスは、どちらもヘルペスウイルスが原因の感染症ですが、ウイルスの種類や症状に違いがあります。口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによるもので、口唇やお口の周りに小さな水ぶくれや発疹が現れるのが特徴です。再発しやすく、ストレスや免疫力低下で再発することが多いとされています。

一方の、帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、身体の片側に帯状に発疹が現れ、強い痛みを伴うことが特徴です。帯状疱疹後神経痛という後遺症が残ることもありますが、再発はまれです。

また、口唇ヘルペスは接触感染で広がるのに対し、帯状疱疹は空気感染することもあります。 症状が似ていても原因や治療が異なるため、疑いがある場合は早めに皮膚科を受診することが大切です。

口唇ヘルペスの概要

口唇ヘルペスの概要

口唇ヘルペスの症状と原因を教えてください
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)が原因で発症する感染症です。このウイルスは強い感染力を持ち、直接接触やタオル、食器などを介して感染します。感染後、ウイルスは神経節に潜伏し、免疫力が抑え込んでいるため症状は現れませんが、ストレスや疲労、睡眠不足などで免疫力が低下するとウイルスが再活性化し、唇やその周囲に症状が出ます。

主な症状は、唇や口元の違和感やチクチクした痛み、小さな水ぶくれの集まりで、これが破れるとかさぶたになります。数日〜1週間で症状は改善を目指しますが、繰り返し再発することがあります。

成人の半数以上がこのウイルスを保有しているため、発症のリスクを減らすには免疫力を維持することが重要です。

口唇ヘルペスの治療にはどのようなものがありますか?
口唇ヘルペスの治療には、主に抗ウイルス薬が使用されます。抗ウイルス薬には、軟膏タイプや飲み薬タイプがあり、医師の診断に基づいて適切なものが処方されます。症状が軽度の場合は市販のヘルペス治療薬が使用できる場合もありますが、頻繁に再発する場合や症状が重い場合は医師の診察が推奨されます。
また、発症後は患部を清潔に保ち、刺激を避けることも重要です。

さらに、ストレスを減らし、睡眠や栄養バランスを整えることで、免疫力を高め、再発リスクを軽減することも治療と予防に役立ちます。

口唇ヘルペスは予防できますか?
口唇ヘルペスの発症をすべて防ぐことは難しいですが、免疫力を維持することで予防効果が期待できます。まず、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、ストレスを軽減することが大切です。また、日常生活では感染を防ぐため、発症している人との接触を避けることが大切です。具体的には、ヘルペスが出ている唇や患部に直接触れないようにし、タオルや食器の共用を控えることが推奨されます。

さらに、強い日差しや乾燥は再発の引き金になることがあるため、リップクリームや日焼け止めで唇を保護することも推奨されます。このように、健康的な生活習慣と適切な対策を講じることで、発症や再発リスクを減らせます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで帯状疱疹についてお伝えしてきました。帯状疱疹の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスが原因で、免疫低下時に発症し片側に帯状の発疹と痛みを伴い、治療や予防接種が重要である
  • 帯状疱疹と口唇ヘルペスは異なるヘルペスウイルスが原因で、帯状疱疹は片側に帯状の痛みと発疹を伴い、口唇ヘルペスは再発しやすい特徴がある
  • 口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスが原因で、唇周辺に水疱や痛みが現れ再発しやすく、免疫力低下や感染防止が予防の鍵となる感染症である

帯状疱疹や口唇ヘルペスは、似た症状があっても原因や治療法が異なるため、適切な診断と早期の対処が重要です。症状が現れた際には、無理をせず早めに病院を受診し、不安な点を相談してください。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
若菜 康弘歯科医師(若菜歯科医院院長)

若菜 康弘歯科医師(若菜歯科医院院長)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

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