入れ歯にはさまざまな種類がある?種類別に入れ歯の特徴を徹底解説!
公開日:2025/01/16
入れ歯には使用する素材や固定方法、見た目や機能性などによってさまざまな種類があります。例えば、保険適用の手軽なタイプから、快適性や審美性を追求したものまで、多彩な選択肢が存在します。
本記事では入れ歯の種類や特徴について以下の点を中心にご紹介します。
- 入れ歯とは
- 入れ歯が合わなくなる原因
- 入れ歯の種類
入れ歯の種類や特徴について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
入れ歯の基本知識
- 部分入れ歯と総入れ歯の違いを教えてください
- 部分入れ歯と総入れ歯は、どちらも歯の欠損を補う入れ歯ですが、適用される状況や特徴が異なります。部分入れ歯は、残っている歯がある場合に使用され、欠けた部分の歯だけを補います。
残存歯に金属製のクラスプや樹脂製の留め具を引っかけて固定するため、取り外しが簡単で、噛み心地や発音が自然に近い利点があります。ただし、金属部が目立つ場合や、清掃が難しい箇所ができることがあります。一方、総入れ歯はすべての歯が失われた際に使用されます。歯茎全体を覆い、吸着力で固定するため、装着には慣れが必要ですが、歯の有無に関わらず使えます。構造がシンプルで手入れしやすいものの、噛み心地や発音がやや不自然になる場合もあります。
- 入れ歯が合わなくなる理由を教えてください
- 入れ歯が合わなくなる理由には、大きく分けて3つの原因があります。1つ目は顎の骨の吸収です。歯を支える骨は加齢や病気の影響で痩せることがあり、その結果入れ歯と歯茎の間に隙間が生じます。
2つ目は入れ歯の摩耗や変形です。長年の使用による咬合力や汚れの影響で素材が劣化し、噛み合わせが合わなくなります。
3つ目は支えとなる歯や歯茎の問題で、むし歯や歯周病が進行すると入れ歯の安定性が失われます。こうした変化を放置すると、噛む力や発音への影響が出るだけでなく、修理不能な状態になる場合もあります。
- 入れ歯の保険適用と自費の違いは何ですか?
- 保険適用の入れ歯は、価格を抑えられる点がメリットです。素材はレジン製の床や金属製のクラスプに限定され、簡易な構造をしているため、経済的な負担の軽減につながります。ただし、耐久性が低く、見た目に金属部が目立つ場合があります。一方で、自費の入れ歯は素材や構造に自由度が高く、チタンやセラミック、シリコンなどが使用できます。審美性、耐久性、装着感が保険適用の入れ歯に比べて向上しますが、費用は高額になります。
入れ歯の種類と特徴
- プラスチック入れ歯(レジン床義歯)について教えてください
- プラスチック入れ歯(レジン床義歯)は、入れ歯の歯茎や顎に触れる部分がプラスチック樹脂(レジン)で作られており、経済的な負担を抑えつつ、歯の機能回復に役立ちます。また、破損時の修理が容易で、大抵の歯科医院で製作が行えます。一方で、耐久性や快適さの面では課題があります。レジンは割れやすいため、強度を確保するために一定の厚みが必要ですが、口腔内に違和感を覚える方がいます。厚みがあるため飲食物の温度を感じにくく、食事の楽しみが損なわれる場合もあります。
また、部分入れ歯の場合、金属製のクラスプが目立つことも懸念点です。
- 金属床義歯(クラスプデンチャー)について教えてください
- 金属床義歯(クラスプデンチャー)は、入れ歯の床部分に金属を使用したタイプの入れ歯です。金属素材の特性により、薄くて軽量な作りになっているため、装着時の違和感が抑えられています。
また、金属はレジンよりも強度があるほか、飲食物の温度を感じやすいのも特徴で、食事をより自然に楽しめます。金属床義歯は修理が難しく、金属アレルギーのリスクもありますが、長期間の使用が見込まれ、なかでも総入れ歯では粘膜との吸着性があるとされています。
一方、部分入れ歯の場合に金属のクラスプが目立つことがデメリットとして挙げられます。
- ノンクラスプデンチャーについて教えてください
- ノンクラスプデンチャーは、金属製のバネ(クラスプ)を使用しない部分入れ歯で、自然な見た目と装着感が特徴です。歯茎と同じ色の素材を使用し、歯茎を覆う形で固定するため、入れ歯であることが周囲に気付かれにくく、見た目を重視する方や入れ歯をしていると知られたくない方におすすめです。金属を使わないことで、残存歯への負担が少なく、フィット感がいいのもメリットです。また、取り外しが簡単で、口腔内の清掃もしやすい設計となっています。
しかし、耐久性が少し劣るので、破損してしまう可能性もあり、修理や作り直しが必要になる場合もあります。破損の状況によっては修理が難しいケースもあるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
- マグネット式の入れ歯(磁性アタッチメント)について教えてください
- マグネット式の入れ歯(磁性アタッチメント)は、残っている歯やインプラントに磁性金属を埋め込み、入れ歯を磁石の力で固定するタイプの入れ歯です。従来のクラスプや吸着力に頼る入れ歯と異なり、磁力による安定性を持ち、外れにくく噛む力が均等に分散されるため、使用感が自然とされています。審美性が高く、金具が目立ちにくいため見た目を気にする方にもおすすめでき、取り外しや清掃が簡単で、日々のお手入れも楽に行えます。
一方で、歯や骨の状態によっては適用できない場合もあります。また、MRI検査時には磁石を外す必要があることも注意点です。
- シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)について教えてください
- シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)は、歯茎に触れる部分にやわらかいシリコン素材を使用した入れ歯です。この素材はクッションのように機能し、歯茎への圧力を軽減するため、装着時の痛みが抑えられた使用感を提供します。
さらに、吸着力があるため、安定感があり、外れにくいほか、金属製のクラスプを使用しないため審美性が高く、自然な見た目につながります。シリコン入れ歯のメリットには、痛みを感じにくいこと、しっかり噛めること、外科手術が不要であることが挙げられます。一方で、汚れがつきやすい素材のため、日常的な清掃が欠かせません。
また、使用の初期段階では厚みによる違和感が生じることもあります。破損した場合は修理が難しく、新たに作り直す必要が生じる可能性もあるでしょう。
- インプラントオーバーデンチャーについて教えてください
- インプラントオーバーデンチャーは、インプラント治療を組み合わせた入れ歯で、従来の総入れ歯や部分入れ歯よりも安定感があるとされているのが特徴です。インプラントを歯茎に埋め込み、その上に入れ歯を固定するため、外れにくく、噛む力が強まります。
また、入れ歯と歯茎の間に隙間ができにくく、装着感が自然で違和感が少ないことも魅力です。この治療法は、総入れ歯・部分入れ歯のどちらにも対応できるとされており、残存歯がない場合でも治療が行える可能性があります。ただし、インプラントを埋め込む外科手術が必要で、治療費が高額になる傾向があります。
また、口腔内の状態がインプラント治療に適していない場合は使用できません。MRI検査を受ける際、磁性タイプのパーツを使用している場合には外す必要がある点も注意が必要です。
- BPSデンチャー(精密義歯)について教えてください
- BPSデンチャーは、ヨーロッパ発のフルオーダーメイド技術を用いて作られる入れ歯です。口腔内の状態や噛み合わせ、発音、筋肉の動きに基づき、歯科医師と歯科技工士が協力して製作します。装着感が自然で、審美性と機能性を兼ね備えた仕上がりを持つことが特徴です加熱加圧精密重合レジンを使用するため耐久性があり、適切なメンテナンスによって長持ちするとされています。また、人工歯の色や形を細かく調整できるため、自然な見た目も期待できます。
- テレスコープ義歯について教えてください
- テレスコープ義歯は、残存歯に金属製のカバー(内冠)を装着し、その上に義歯側の外冠をはめ込んで固定する部分入れ歯です。内冠と外冠が精密に噛み合う構造により、装着感が自然で外れにくいことがメリットに挙げられます。
また、金具のバネを使用しないため、審美性も期待できます。一方で、治療には残存歯を削る必要があり、高額な費用がかかる点がデメリットです。また、総入れ歯には対応していないため、部分入れ歯が必要な場合に限られます。
編集部まとめ
ここまで入れ歯の種類や特徴についてお伝えしてきました。入れ歯の種類や特徴の要点をまとめると以下のとおりです。
- 入れ歯とは失った歯を補う義歯であり、金属製のクラスプや樹脂製の留め具を引っかけて固定する部分入れ歯と、歯茎全体を覆い、吸着力で固定する総入れ歯がある
- 入れ歯が合わなくなる原因には、歯を支える骨は加齢や病気の影響で痩せたり、入れ歯が摩耗や変形を起こしたり、支えとなる歯や歯茎が病気になったりすることである
- 入れ歯にはさまざな種類があり、プラスチック入れ歯(レジン床義歯)や金属床義歯(クラスプデンチャー)、ノンクラスプデンチャーやマグネット式の入れ歯(磁性アタッチメント)、BPSデンチャー(精密義歯)などまで幅広い
入れ歯の種類や特徴はさまざまであり、それぞれの特徴やメリット・デメリットを知り、自身に合った入れ歯の製作を行いましょう。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。