歯周病になりやすいひと
こんにちは。日本歯周病学会専門医で有楽町デンタルオフィスの片山です。今回は「歯周病になりやすいひと」についてお話ししたいと思います。
まず歯周病になりやすい人は下記です。
目次 -INDEX-
1.お口のなかの環境
・毎日の歯ブラシなどセルフケアができていない
・歯周病細菌が多い
2.患者さん自身の環境
・糖尿病など全身疾患の影響
・先天的(遺伝的)に歯周病になりやすい人
・年齢
・性別
・免疫応答
3.生活習慣(環境)
・喫煙
・ストレス
・食生活
上記のように3つに大きく分かれます。
歯周病は、日本人の8割がかかっている病気ともいわれております。はじめは目立った症状はなく、そのうちに歯ぐきからの出血や腫れを放置していると歯がグラグラしてきていつの間にか進行しています。とくに虫歯と違って歯が黒く見えたりもしないため気づいた時には手遅れとなり、日本人が歯を失う最も大きな原因となっています。しかし、しっかりとした歯周病は正しい知識さえあれば防ぐことができる病気なのです。いまからそのことについて詳しくお話しさせて頂きます。
1.歯周病になりやすいお口のなかの環境
よく歯周病になりやすい人とそうでない人がいるといわれます。あのひとは歯ブラシを全然しなくても歯周病にならないなんて聞いたことがありませんか?その違いはどこにあるのでしょうか。
まず「歯ブラシ」について考えてみましょう。歯周病は歯との間の歯ぐき、歯周ポケットから進行します。歯ブラシを怠るとプラークがたまりそれが硬くなり歯石となります。そこに歯周病菌が住み着きバイオフィルムを形成します。歯ブラシを怠ると24時間でプラーク、48時間で歯石になり、歯周病を進行させてしまいます。歯周病が進行して歯周ポケットが深くなると悪さをする歯周病菌が多くなります。
また一日の歯ブラシが3回行わず2回、1回のひとは歯周病になりやすいというデータもあります。
「歯周病菌」について考えてみましょう。歯周病のおおもとの原因は、口の中の歯周病菌です。口の中には、良いものも悪いものも含めて一般的に700種類ともいわれる細菌が棲んでいます。この中に「レッドコンプレックス」と呼ばれる悪性度の高い3種類の歯周病菌がありこれらが口腔内いるとリスクが高いとされています。とくにきわめて悪性度の高い「P.g.菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)」を持っていると、歯周病は5倍進みやすいといわれています。その中でも遺伝型がⅡ型のものは特に悪さをすることが判ってきました。現在では歯科医院で細菌検査を行い遺伝子型までわかるようになってきています。
2.患者さん自身の環境
患者自身の環境として糖尿病の人は免疫力が低下しており歯周病菌などに対する抵抗性が弱く、歯周病を発症しやすく、悪化しやすいことがわかっています。また遺伝的にも歯周病になりやすい人が数は少ないですがいます。年齢が高くなればなるほどリスクは高まるとされ、男性よりも女性の方が歯周病のリスクが多く、思春期や妊娠中、更年期など、ホルモンが変動する時期は症状が悪化しやすくなります。免疫不全の患者などでも抵抗性が弱く歯周病になりやすいとされております。
3.生活習慣(環境)
タバコは歯周病にかかりやすくなることが明らかになっています。タバコの煙には多くの化学物質が含まれております。タバコのニコチンに含まれる有害物質は免疫機能や細胞の働きを阻害して歯周病の進行を早め、治りにくくします。また有害物質の影響で歯肉の血行が悪くなっていることも、原因といえます。
喫煙をしていると歯周病にかかる危険は1日10本以上喫煙すると5.4倍に、10年以上吸っていると4.3倍に上昇し、また重症化しやすくなります。実際に治療を始めても歯肉の治りは悪とされ、歯周病の手術を行ったとしても効果が非喫煙者よりも低いとされます。
「歯周病になりやすいひと」のチェックリスト
・1日の歯ブラシを朝、昼、夜の三回行わない
・糖尿病がある
・年齢が高い
・喫煙する
・ストレスが多い
・食生活が不規則
・運動不足
・しばしば深酒する
・肥満である
・親が歯周病である
・骨粗しょう症である
・かかりつけ歯科医院はない
・長期間歯の定期健診を受けていない
・歯ぎしりするクセがある
・親が総入れ歯である
今回は「歯周病になりやすいひと」についてお話しさせて頂きました。少しはお分かりになりましたか?上の歯周病になりやすいひとのチェックリストを参考に該当する方は是非歯科医院にての健診をお受け下さい。歯周病には予防と早期治療が効果的です!皆様の健康のために頑張ります。