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インプラント治療をする前に注意することってなに?

 更新日:2023/07/26

こんにちは。日本歯周病学会認定歯周病専門医の飯島佑斗と申します。止むを得ず抜歯となってしまった場合や先天的に歯がない部分の治療の選択肢としてインプラント治療(歯科で行うインプラントは正式にはデンタルインプラントと言います)というものがあります。現在では広く知れ渡るような治療方法となりましたが、インプラント治療は他の失くなってしまった歯を補う治療とは治療方法が違います。さらにインプラント治療を行う上では注意しなくてはいけないいくつかのポイントがあります。今回はそのようなインプラント治療をする前に注意しなくてはいけないことについてお話しさせていただきたいと思います。

飯島 佑斗

監修歯科医師
飯島 佑斗(飯島歯科医院・院長)

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東京歯科大学卒業。日本歯周病学会専門医。日本口腔インプラント学会専修医。飯島歯科医院 院長。

 そもそもインプラント治療ってどういうものなの?

まずインプラントとはどのような治療方法なのかを説明していきます。

インプラント治療とは歯が失くなってしまった、もしくは元々歯があるべき場所に存在しない場合に必要となる「欠損補綴」という治療の分野の一つになります。この「欠損補綴」にはいくつかの治療の選択肢があります。

欠損補綴の種類
①入れ歯(義歯)
②ブリッジ
③インプラント
④歯牙移植
⑤矯正治療

以上のような方法があります。それぞれについて簡単に説明していきます。

 ①入れ歯

バネを歯に引っ掛けて装着するいわゆる入れ歯というものです。

 ブリッジ

隣り合う歯を削り橋渡しをするような形態の被せ物を装着します。

 インプラント

人工歯根と言われるものを顎の骨に埋入し歯をつくります。

 歯牙移植

通常、機能していない歯などを抜歯しその歯を移植する方法です。

 矯正治療

矯正治療により歯がない部分のスペースを他の歯で埋めることができる場合があります。


それではインプラント治療とは具体的にどのような治療方法なのか説明していきます。
インプラント治療とは歯がなくなってしまった部位に対して人工歯根(フィクスチャー)と呼ばれるパーツを埋入しその上に上部構造という歯を取り付ける治療になります。特徴としてはブリッジや入れ歯のように歯を削る必要がなく、自分の歯のように噛むことができるという点です。しかしフィクスチャーを入れ込む際に手術が必要となる点と健康保険で適応になっていないため治療費が高額になる点はデメリットとしてあげられます。

 インプラント治療をする前に注意するべき点とは

それではインプラント治療をする前に注意するべき点とはどのようなことがあるのでしょうか。以下のようなものが注意すべき点としてあげられると考えられます。

 ・全身的な病気があり手術を行う上で注意が必要

高血圧虚血性心疾患心臓弁膜症脳血管障害糖尿病ステロイド治療患者骨粗鬆症などの疾患を患っている方はインプラントをする場合には注意が必要です。インプラント治療を行う前に手術が行える全身状態かどうか担当医としっかりと相談する必要があります。場合によっては内科担当医と歯科の担当医とでやりとりを行うこともあります。

 ・インプラントを入れる部位の骨の高さや幅が足りない場合

インプラントは顎の骨(歯槽骨)に直接フィクスチャーを埋め込む治療になります。そのためある程度の高さや幅がないと埋め込むことができません。もし高さや幅が足りない場合には事前に骨を足す手術を行う必要があります。事前のレントゲンやCTの検査を行った上で判断します。

 ・歯科保険指導

お口の中の汚れをご自身のブラッシングでしっかり取り除けるようにブラッシングの専門的な指導をさせていただいたりすることです。

 ・元々重度歯周病であった場合

お口の中の環境が悪いとインプラントも歯周病菌に感染してしまうことがあります。インプラントを行う前にはしっかりと歯周病の治療が必要です。事前に歯周病治療を満足に行わない状態でインプラントを行ってしまうと場合によってはインプラントが歯周病菌に感染し、インプラントの周りの顎の骨が溶けてしまいインプラントが揺れてきて最終的に除去しなくてはならないこともあります。 

 ・噛み合わせの状態が悪い場合

元々噛み合わせが悪く、また歯ぎしりや食いしばりなど歯に対して過度な力がかかりやすい方はインプラントをする上でも注意が必要です。インプラント治療が適切に行われたとしても歯の部分である上部構造と呼ばれる部分がすぐ壊れてしまったり、インプラントのネジが緩んでしまったり、最悪顎の骨に埋まっているフィクスチャーと言われるパーツが折れてしまったりすることもあります。インプラントを行う場合にははじめに噛み合わせの診査などもしっかりと行う必要があります。

 まとめ

今回はインプラント治療をする前に注意することとはというテーマでお話しさせていただきました。インプラント治療は手術が必要となるため全身的に健康的な方でない場合治療が行えないこともあること、さらにお口の中の状態によってはインプラント治療をする前にしっかりと環境を整えないといけない場合もあります。事前にしっかりと治療の計画を立てて担当医と相談し治療を行う必要があります。もしインプラント治療について相談したいと思われた場合にはお近くのインプラント専門医や歯周病専門医のいる病院で相談することをお勧めいたします。

この記事の監修歯科医師