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いつから始める? 子どもの「予防矯正(1期治療)」の適切なタイミング【歯科医師解説】

 公開日:2026/02/19
いつから始める?子どもの「予防矯正(1期治療)」【歯科】

子どもの歯並びが気になりつつも「まだ様子を見ても大丈夫?」「永久歯に生え変わってからでもいいのでは?」と迷う保護者は少なくありません。しかし、子どもの場合は成長期だからこそできる「予防矯正」という選択肢があります。今回は、顎の成長や将来の治療負担にも関わる予防矯正について、フレンズ歯科矯正歯科クリニックの昌山先生に詳しく解説してもらいました。

※26年1月取材。

昌山 浩三

監修歯科医師
昌山 浩三(フレンズ歯科矯正歯科クリニック)

プロフィールをもっと見る
日本歯科大学歯学部卒業。徳島大学歯学部歯科矯正学講座、大阪市内の歯科医院での勤務を経て、フレンズ歯科矯正歯科クリニックを開院。日本矯正歯科学会認定医として専門性の高い矯正治療をおこなう一方、一般歯科からインプラントまで幅広く対応する。矯正に伴う抜歯やむし歯治療も院内で完結できるのが強み。口腔全体をトータルに診る診療で、子どもから高齢者まであらゆる世代が安心して通える歯科医療を提供している。中四国矯正歯科学会各会員。

そもそも「予防矯正」ってどんな治療? 目的と始めるタイミング

そもそも「予防矯正」ってどんな治療? 目的と始めるタイミング

編集部

「予防矯正」とはどのような治療なのでしょうか? 目的や一般的な矯正(本格矯正)との違いを教えてください。

昌山 浩三先生昌山先生

予防矯正は「早期治療」「1期治療」とも呼ばれ、これから生えてくる永久歯がきれいに並ぶ土台を整える治療のことです。すべての永久歯が生えそろってから歯を動かしていく本格矯正(2期治療)とは違い、予防矯正では顎の成長を正しく導くことで、歯並びが悪くなる原因を根本から解決していきます。

編集部

具体的に、どのような症状のお子さんが、予防矯正の対象になりますか?

昌山 浩三先生昌山先生

「前歯が出ている(出っ歯)」「口が閉じにくい」「受け口」といった問題は、保護者が比較的気づきやすい症状です。一方で、一見すると歯並びがきれいでも、じつは永久歯が生えるスペースが足りていないケースもみられます。永久歯の本数がもともと少ない、あるいは骨に埋まって生えてこられない場合は、歯並びが整って見えることもあるため、こうしたケースは歯科医院での詳しい検査が必要になります。

編集部

歯並びの見た目以外に、気をつけたいサインはありますか?

昌山 浩三先生昌山先生

「指しゃぶりが続いている」「舌足らずな話し方をしている」「いびきをかく」といった場合も注意が必要です。いびきに関しては近年、子どもの睡眠時無呼吸症候群が問題になっていますが、顎を広げると気道も確保されやすくなるため、呼吸の改善という点でも予防矯正は有効です。

編集部

予防矯正はいつごろから始めるとよいのでしょうか? 開始の目安があれば教えてください。

昌山 浩三先生昌山先生

お子さんの状態にもよりますが、歯のガタつき(叢生)に関しては「上下の前歯が4本ずつ生えそろってからでも大丈夫ですよ」とお伝えしています。一方で、生え方の影響で上下の歯が強く当たり、かむたびに歯に負担がかかる場合は、早めに装置を使って改善を図ります。また、受け口や反対咬合も、早めに治療を始めることをおすすめしています。

早い時期から予防矯正を始めるメリットと注意点

早い時期から予防矯正を始めるメリットと注意点

編集部

成長期に予防矯正を始めると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

昌山 浩三先生昌山先生

顎を広げることで、永久歯が生えるスペースを確保できる点が大きなメリットです。また、上顎と下顎の位置がずれている、いわゆる「出っ歯」や「受け口」といった骨格的な問題にもアプローチできます。とくに、受け口は遺伝的な要因もあるため、ご家族に似たような症状がある場合は、早めの対処で予防できるという点もメリットです。くわえて、将来的に本格矯正が必要になった場合でも、予防矯正で土台を整えておけば、治療をスムーズに進めることができます。

編集部

もし適切な時期に予防矯正をおこなわなかった場合、将来の歯並びにどのような影響がありますか?

昌山 浩三先生昌山先生

「大きくなってから治せばいい」と予防矯正を見送る保護者もいらっしゃいますが、いざ本格矯正で歯を抜いてスペースを作っても、歯が並びきれないこともあるため注意が必要です。状況によっては適切な時期に予防矯正をしておかないと、将来的な治療の選択肢が狭まり、難易度が上がってしまうことも理解しておく必要があります。同様に、出っ歯や受け口も成長期に顎のズレを少しでも整えておくことで、将来の治療が進めやすく、最終的な仕上がりもよくなります。そのため、「今やっておかないと後で大変になる」というケースについては、その必要性をしっかりご説明しています。

編集部

一方で、幼い時期から予防矯正を始めることにデメリットはないのでしょうか? 注意点もあわせて教えてください。

昌山 浩三先生昌山先生

歯そのものに対する医学的なデメリットはありませんが、治療期間が長くなるにつれてお子さんが途中で飽きてしまうことがあります。やる気が落ちて装置をつけてくれないと、管理する保護者も精神的に疲れてしまうことが少なくありません。親子ともに根気が必要な治療なので、無理のない範囲で進めていくことが大切です。

どんな装置を使う? 期間や費用は? 予防矯正のそのほかのQ&A

どんな装置を使う? 期間や費用は? 予防矯正のそのほかのQ&A

編集部

予防矯正では、具体的にどのようなことをおこなったり、どんな装置を使ったりするのでしょうか?

昌山 浩三先生昌山先生

お子さんの歯並びの状態に応じて、いくつかの方法を組み合わせます。例えば、顎を広げてスペースを作る場合は、「拡大床」(写真[下])という取り外し式の装置を使うのが一般的です。


お子さんが自分でつけられそうにない場合や、確実に顎を広げたい場合は、固定式の拡大装置(写真[下])を選ぶこともあります。
また、出っ歯や受け口など顎の位置にズレがあるケースでは、お口周りの筋肉や顎の動きを利用して歯並びや顎を整える「機能的矯正装置」(写真[下])を使用します。

編集部

装置をつける以外におこなうことはありますか?

昌山 浩三先生昌山先生

指しゃぶりや舌のクセなど、日常のクセが歯並びや噛み合わせに影響している場合は「MFT(口腔筋機能療法)」というトレーニングを同時におこないます。これは、レッスン形式で正しい舌の位置や使い方、飲み込み方などを身につけてもらうものです。また、出っ歯で唇の筋力が弱いお子さんには、唇のトレーニングも取り入れます。MFTはすぐに効果が出るものではありませんが、装置と同様にお子さんの協力が不可欠なので、ご家庭でも保護者と一緒に取り組んでもらいます。

編集部

予防矯正の治療期間や通院頻度は、一般的にどのくらいでしょうか?

昌山 浩三先生昌山先生

治療期間はケースによって差がありますが、目安としては1~2年程度が多い印象です。なかには1年未満で終わる場合もありますが、受け口など成長の影響を大きく受けるケースではもう少し時間がかかることもあります。通院頻度は基本的に「1カ月に1回」が目安です。装置や治療状況によっては2カ月に1回になることもありますが、間隔が空きすぎるとお子さんのモチベーションが下がってしまうため、あまり長く空きすぎないようにしています。

編集部

予防矯正にかかる費用の目安を教えてください。

昌山 浩三先生昌山先生

健康保険が適用されないため、費用は受診する歯科医院や治療内容、装置によって異なります。目安としては20万~35万円程度と幅があり、さらに通院ごとの調整料が必要になる場合があります。また、本格矯正が必要になった場合、予防矯正にかかった費用の一部を差し引く制度を設けている歯科医院もあります。こうした料金体系は歯科医院ごとに異なるため、費用の内訳や将来的な費用についてもしっかり確認しておくことが大切です。

編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

昌山 浩三先生昌山先生

予防矯正の大きなメリットは、仮にそれだけで治療が完結しなかった場合でも、本格矯正が必要になった際の負担を軽くできる点です。必要な時期を逃してしまうと、結果的に治療のゴールを妥協せざるをえないこともあるため、歯科医とよく相談し、納得したうえで判断してもらいたいと思います。また、この治療はお子さんの協力が不可欠です。子ども任せにせず、保護者が一緒に伴走するような気持ちで関わっていくことが、予防矯正をうまく進めるうえで大切なポイントです。親子で根気よく進めていきましょう。

編集部まとめ

子どもの予防矯正は単に歯並びを整えるのではなく、成長の力を利用して将来の健康な口元を育むための「土台作り」であることがわかりました。適切な時期にアプローチすることで永久歯がきれいに並ぶほか、将来的に本格矯正が必要な場合でも治療の負担が軽減できます。一方で、治療は長期戦となるため、保護者のサポートが欠かせません。お子さんの歯並びで少しでも気になることがあれば、永久歯が生え変わる前に一度歯科医院で相談してみましょう。

医院情報

フレンズ歯科矯正歯科クリニック
所在地 香川県高松市木太町5023番地25
診療科目 小児歯科、歯科、歯科口腔外科
診療時間 午前:月火木金土 9:00~12:30
午後:月火木金土 14:00~18:00
休診日 水曜(※)・日曜・祝日
※祝日のある週の水曜日は終日診療します

この記事の監修歯科医師