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【歯科医師に聞く】何歳から始めるべき? 「小児矯正」のタイミングと判断基準

 公開日:2026/01/24
【歯科医師に聞く】何歳から始めるべき? 小児矯正のタイミングと判断基準

子どもの歯並びが気になりつつも何歳ごろから矯正治療を始めるべきか、お悩みの保護者も多いのではないでしょうか? 小児矯正(1期治療)は子どもの成長を活かしてあごの大きさや歯並びを整えられる一方で、治療が可能な期間が限られます。そこで、最適な開始時期や受診の目安、家庭でのサポートについて、長田歯科医院の長田彩先生に解説してもらいました。

長田 彩

監修歯科医師
長田 彩(長田歯科医院)

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昭和大学(現・昭和医科大学)歯学部を卒業し、鶴見大学小児歯科学講座への入局を経て、現職に至る。むし歯予防の専門知識と技術を活かした診療を実施。また、お子さんが歯科医院に苦手意識を持たぬよう、段階的なステップときめ細やかなコミュニケーションを重視した診療をおこなっている。日本小児歯科学会。

専門家に聞く! 小児矯正を始めるべき適切なタイミングと見極めのサイン

専門家に聞く! 小児矯正を始めるべき適切なタイミングと見極めのサイン

編集部

小児矯正(1期治療)は、一般に何歳ごろから始めるものなのでしょうか?

長田 彩先生長田先生

早いケースだと、4~5歳ごろから始めるお子さんが多い印象です。小児矯正のうち、1期治療は永久歯が生えそろってからの矯正(2期治療)とは異なり、子どもの成長を利用できるのが最大の利点です。そのため乳歯の時期か、あるいは永久歯に生えかわる時期のできるだけ早い段階で、治療を始めるのが理想的です。

編集部

始めるタイミングは早い方がよいということですが、「遅くてもこの年齢までは」という目安はありますか?

長田 彩先生長田先生

おおよそ9~10歳、犬歯(前から3番目の歯)が生えかわるころが一つの目安です。この時期を過ぎてしまうと、とくに上あごの骨が成長しづらくなるため、あごを広げて歯並びを整える治療が難しくなります。ただ、お子さんの成長は個人差があるため、「気になったら早めに相談すること」が重要です。

編集部

小児矯正(1期治療)では、具体的にどのような治療を行うのでしょうか?

長田 彩先生長田先生

1期治療は歯をきれいに並べること自体が目的ではなく、永久歯が正しい位置に生えるためにあごの大きさや形を整えることを目的とした治療です。具体的には、これから生えてくる永久歯がきちんと並ぶように、あごを少しずつ広げたり、上下のあごの位置関係を整えたりしていきます。これにより、永久歯が重なって生えたり、噛み合わせに問題が出たりするリスクを減らすことができます。

編集部

子どもの歯並びで、保護者がとくに注意して見ておきたいポイントを教えてください。

長田 彩先生長田先生

一番わかりやすいのは、「歯並びのガタつき」です。例えば、5~6歳ごろに下の前歯が生えかわる際、乳歯が抜けないまま永久歯が裏側から生えてきてしまい、心配になって受診する人もたくさんいます。また、乳歯の歯と歯の間にすき間がないお子さんは、次に生える永久歯がきれいに並びきれないことがあります。その場合、将来的に歯並びが乱れる可能性を伝え、あごを広げる装置を提案しています。これは1期治療のなかでも、永久歯が並ぶためのスペースを確保する代表的な方法の1つです。

編集部

歯並びの見た目以外に、保護者が気づけるサインはありますか?

長田 彩先生長田先生

下の歯が上の歯よりも前に出ている「反対咬合(受け口)」や、奥歯で噛んでも前歯が閉じない「開咬」なども要チェックです。こういった機能的な問題は、永久歯が生えそろう前に改善してあげたほうがよいため、気づいたら早めに相談してもらいたいと思います。

編集部

矯正相談ではどのような点を確認したり、質問したりするとよいでしょうか?

長田 彩先生長田先生

まずは、保護者が「どこが、どのように気になるか」を具体的に伝えてもらうことが大切です。実際、親御さんが気になる箇所と、歯科医が専門的に診て治療すべきだと判断する箇所が異なるケースは少なくありません。この認識のズレを埋められないまま治療に進むと、トラブルの原因にもなりえます。そのため、相談の際は「どの部分を、どこまで治す必要があるのか」を確認し、歯科医師と方向性をすり合わせることが大切です。

そもそもなぜ必要? 小児矯正のメリット・デメリット

そもそもなぜ必要? 小児矯正のメリット・デメリット

編集部

乳歯の段階で歯並びが悪くても「永久歯に生えかわるから様子を見よう」と考える保護者も多いと思いますが、早期に治療を始めるメリットは何でしょうか?

長田 彩先生長田先生

繰り返しになりますが、一番のメリットはお子さんの成長する力を最大限に利用できる点です。永久歯が生えそろってからの矯正では、歯を並べるスペースが足りない場合に抜歯が必要になることも少なくありません。しかし、早い時期であれば、あごを広げながら永久歯を正しい位置に誘導する治療が可能となります。また、口呼吸や舌の位置・クセといった歯並びを悪くする原因を改善できるのも大きな利点です。幼少期にこれらのクセや習慣を治しておくことで、矯正後の「後戻り」も起こりにくくなります。

編集部

とはいえ、幼い時期から矯正治療を始めるデメリットはないのでしょうか? 小児矯正の注意点もあわせて教えてください。

長田 彩先生長田先生

一番の課題は「お子さんの協力度」だと思います。小さいうちは装置を入れるのを嫌がったり、決められた装着時間を守れなかったりすることも多いため、保護者のサポートが不可欠です。お子さんへの声かけや、上手に使えたらシールを貼って褒めてあげるなど、親子で一緒に頑張っていく姿勢が重要になります。くわえて、成長や歯並びの変化に合わせて、装置の調整や作り替えが頻繁に必要になる点もあらかじめよく理解しておきましょう。

費用や期間はどのぐらい? 小児矯正で気になるそのほかのQ&A

費用や期間はどのぐらい? 小児矯正で気になるそのほかのQ&A

編集部

小児矯正は平均的にどのぐらいの期間がかかりますか?

長田 彩先生長田先生

お子さんの歯並びの状態や成長のスピードによって個人差がありますが、1期治療(あごの成長を利用する治療)は、おおよそ1~3年が目安です。これは装置の種類や使用時間、あごの成長度合いによって前後します。1期治療で歯並びや噛み合わせが整えば経過観察に入ることもありますが、必要に応じて永久歯が生えそろった段階で2期治療(ブラケット矯正など)に進むケースもあります。

編集部

小児矯正にかかる費用の相場はどのぐらいですか?

長田 彩先生長田先生

小児矯正は自由診療なので歯科医院によって費用に差はありますが、おおまかな目安は1期治療で30~50万円前後です。その後、永久歯が生えそろってから2期治療が必要になった場合は追加で費用がかかります。1期治療と2期治療をあわせると、総額で70~100万円程度になります。装置の種類や治療方針によって費用は異なるため、契約前に「どこまでが1期治療に含まれるのか」「追加費用が発生するタイミングはいつか」などをしっかり確認しておきましょう。

編集部

食事や歯みがきなど、日常生活において治療中に保護者が気をつけたいことはありますか?

長田 彩先生長田先生

歯や装置に汚れがついたまま使用するとむし歯や歯肉炎の原因になります。とくに寝る前は、しっかり歯を磨いてから装置をつけるようにしてください。1日中つけているタイプの装置を使用する場合は、毎食後必ず歯を磨いて、口内を清潔に保つよう心がけましょう。

編集部

そのほかに、ご家庭でできるサポートがあれば教えてください。

長田 彩先生長田先生

日頃の「声かけ」がとても重要だと思います。子どもの場合はどうしても装置をつけ忘れたり、外しっぱなしになったりすることが多くなりますので、その都度「今つけようね」「歯を磨いたら入れようね」といった声がけをしてあげてください。くわえて、「歯ブラシの横に装置のケースを置く」など工夫し、生活のなかで自然と習慣になるような環境を整えてあげるとよいでしょう。

編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

長田 彩先生長田先生

「乳歯はいずれ生えかわるから」と様子を見ている親御さんも多いと思いますが、乳歯の健康状態や歯並びは、次に生えてくる永久歯に大きく影響します。したがって、将来のよりよい歯並びのためにも、幼少期から歯科医院で定期的なチェックを受けながら、必要に応じて矯正も視野に入れていただければと思います。お子さんの歯並びで少しでも気になることや不安な点があれば、遠慮せずにかかりつけの歯科医院にご相談ください。

編集部まとめ

小児矯正(1期治療)は、成長の力を利用しながらあごの発育を正常に導く重要な治療であることがわかりました。このような治療を早期に始めることで、永久歯の歯並びが悪くなるのを防ぐほか、将来的に本格的な治療が必要になった場合でも抜歯せずに済む可能性が高まるようです。「乳歯だからまだ早い」とは思わず、少しでもお子さんの歯並びや噛み合わせが気になったら、まずは一度歯科医院に相談してみましょう。

医院情報

長田歯科医院

所在地 神奈川県横浜市鶴見区上末吉1-16-22
診療科目 小児歯科、歯科、歯科口腔外科、矯正歯科
診療時間 [月~金]9:00~12:00/14:00~19:00
[土]9:00~13:00
休診日 日曜日・祝日

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