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マイオブレースとは?使用目的やトレーニング内容、期間や注意点などを解説

 公開日:2026/02/14
マイオブレース トレーニング内容

マイオブレースは、歯並びだけに目を向けるのではなく、お口まわりの筋肉の使い方や呼吸、舌の動きなど、成長期の身体の機能に関わる要素を整えることを目的とした治療アプローチです。特に、口呼吸や舌の位置の乱れ、誤った飲み込み方といった習慣は、顎の成長や噛み合わせに影響を及ぼすことが知られています。このコラムでは、マイオブレースの使用目的と、治療の中核となるトレーニング内容について、歯科医師の立場から医学的根拠をもとに整理し、わかりやすく解説します。

宮島 悠旗

監修歯科医師
宮島 悠旗(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
・出身大学
愛知学院大学歯学部
・経歴
2005年 愛知学院大学卒業 歯科医師免許取得
2006年 東京歯科大学千葉病院 臨床研修医修了
2006年 東北大学大学院歯学研究科 口腔発育学講座 顎口腔矯正学分野 入局
2010年 東北大学大学院歯学研究科 口腔発育学講座 顎口腔矯正学分野 卒業 歯学博士取得
2011年 東北大学大学院歯学研究科 口腔発育学講座 顎口腔矯正学分野 助教就任 
日本矯正歯科学会認定医取得
2014年 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス開業
2017年 著書『国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の「デンタルケア」-』出版(幻冬舎)
2021年 著書『歯並び美人で充実人生:幸せを呼ぶゴールデンスマイル』出版(合同フォレスト)
2022年 (株)オーティカインターナショナル/オーティカプロモーション myobrace® 認定講師就任
・資格
歯科医師免許、歯学博士(東北大学)、日本矯正歯科学会認定医
・所属学会 ほか
日本矯正歯科学会所属、invisalign® DIAMOND Status、 myobrace® 認定講師

マイオブレースの使用目的

マイオブレースの使用目的
マイオブレースは、歯並びだけでなく、お口まわりの機能に着目して行われる治療です。ここでは、マイオブレースがどのような目的で使用されるのかを整理します。

口呼吸を鼻呼吸に改善する

成長期のお子さんのなかには、無意識のうちに口で呼吸を行っているケースが少なくありません。口呼吸が習慣化すると、お口が開いた状態が続きやすくなり、唇や頬の筋肉が十分に使われない状態が生じます。その結果、歯列や顎の発育バランスに影響が及ぶ可能性があるとされています。

マイオブレースでは、装置の形状とトレーニングを組み合わせることで、お口を自然に閉じた状態を保ちやすくし、鼻呼吸へと導くことを目的とします。鼻呼吸が定着すると、舌が安定した位置に収まりやすくなり、唇や頬の筋肉も本来の働きを発揮しやすくなります。このような環境が整うことは、顎の成長をとらえて考えるうえで重要な基盤となり、成長期におけるお口の機能発達を支える要素のひとつといえます。

舌の位置や飲み込み方を正しくする

舌の位置や使い方に関する悪習癖には、主に低位舌と異常嚥下癖があります。舌は安静時に口蓋に軽く触れている状態が望ましいとされていますが、常に舌が低い位置にある低位舌が続くと、口呼吸の原因となったり、口蓋の成長に影響を与えたりすることがあります。また、飲み込む際に舌が前方へ突出して前歯を押す癖を異常嚥下癖と呼び、この動作が1日に数百回から数千回繰り返されることで、前歯を内側から押す力が継続的に加わります。こうした低位舌や異常嚥下癖といった舌の使い方は、それぞれ異なるメカニズムで歯並びや噛み合わせに関わる力のバランスを崩す要因となる場合があります。

マイオブレースは、舌を正しい位置へ誘導する構造を備えており、毎日のトレーニングを通じて、舌の位置や動きに患者さん自身が気付くことを目的としています。あわせて、正しい嚥下の動作を繰り返し練習することで、歯や顎に不要な力が加わりにくい飲み込み方の習得を目指します。これにより、歯並びや噛み合わせに関わる不均衡な力を減らすことが期待されます。

顎の成長を正しく導く

顎は成長期に大きく変化する部位であり、その発育は骨そのものだけでなく、舌や唇、頬の筋肉の働きや呼吸の状態と密接に関わっています。顎の成長は、周囲の筋肉からの力の影響を受けながら進むため、筋機能の乱れが成長方向に影響を及ぼすこともあります。

マイオブレースは、顎を直接動かす装置ではなく、筋肉の使い方や機能を整えることで、結果として顎が本来の成長方向へ進む環境を整える考え方にもとづいています。成長期の頃に、呼吸、舌、唇の筋力のバランスを整えることは、顎の発育環境を見直す一助となり、将来的な噛み合わせを考えるうえでも重要な視点となります。

歯並びや噛み合わせの改善をサポートする

歯並びや噛み合わせの乱れは、歯の大きさや位置だけでなく、舌や唇、頬の筋肉から加わる力の影響を受けて生じる場合があります。例えば、舌で前歯を押す癖や、口が開いた状態が続く習慣は、歯列に持続的な力を加える要因となります。

マイオブレース歯列矯正の装置とは役割が異なり、歯を直接動かすものではありませんが、こうした悪習癖を改善し、歯にかかる不適切な力を減らすことで、歯並びや噛み合わせの改善を間接的にサポートする位置づけです。なかには、将来的にマウスピース型矯正歯列矯正を行う際の負担軽減につながるケースもあり、成長期における包括的な治療の一部として活用されることがあります。

マイオブレースの主なトレーニング内容

マイオブレースの主なトレーニング内容
マイオブレース治療では、装置の使用とあわせて日常的なトレーニングが行われます。ここでは、治療の中心となるトレーニング内容について解説します。

装置を装着して口を閉じる練習

マイオブレース治療の基礎となるのが、装置を正しく装着したうえで、お口を閉じた状態を安定して保つ練習です。お口が開いたままの状態が続くと、唇や頬の筋肉が十分に働かず、歯列や顎の成長環境に影響を及ぼすことがあります。装置を装着し、唇を軽く閉じることで、口輪筋をはじめとするお口まわりの筋肉が適切に使われるようになります。

治療初期には、装置の存在に違和感を覚える患者さんもいますが、無理に力を入れる必要はありません。毎日決められた時間、自然に口を閉じる練習を継続することで、徐々に筋肉の使い方が整い、意識しなくてもお口を閉じた状態を保てるようになります。この積み重ねが、鼻呼吸や舌の安定にもつながる重要な工程となります。

鼻呼吸を意識する呼吸法の練習

マイオブレースでは、装置を装着した状態で鼻から息を吸い、鼻から吐く呼吸を意識的に行うトレーニングを取り入れます。鼻呼吸は、空気を加湿し、異物を取り除きながら体内に取り込む働きがあり、口呼吸とは異なる役割を担っています。

口呼吸が習慣化していると、顎の位置が安定しにくく、舌や唇の筋肉のバランスも崩れがちになります。呼吸法の練習を通じて、鼻で呼吸する感覚を身体に覚えさせることは、顎や歯列にかかる不要な力を減らすうえでも大切です。日常生活のなかで呼吸の仕方に気付く機会を増やすことが、治療効果を支える一要素となります。

舌を口蓋につける舌の位置トレーニング

舌は、安静時に上顎に触れている状態が望ましいとされていますが、舌が下がった位置にあると、前歯や下顎に持続的な力がかかる場合があります。マイオブレースでは、舌を正しい位置へ導くための構造が装置に組み込まれており、舌の位置のずれに患者さん自身が気付くことを目的としています。

トレーニングでは、舌先を口蓋の決まった位置につける動作を繰り返し行い、正しい舌の置きどころを身体に覚えさせていきます。最初は意識しなければ維持できない場合でも、継続することで、安静時にも舌が自然と口蓋に収まる感覚が身につきやすくなります。この舌の安定は、歯並びや噛み合わせをとらえて考えるうえで欠かせない要素です。

正しく飲み込む嚥下トレーニング

飲み込む動作では、舌、唇、頬、顎の筋肉が協調して働きますが、誤った嚥下の癖があると、飲み込むたびに前歯を押す力が加わることがあります。このような力が繰り返されると、歯列や噛み合わせに影響を及ぼす場合があります。

マイオブレースの嚥下トレーニングでは、舌の動きや唇の使い方を確認しながら、正しい飲み込み方を練習します。装置を用いることで、不要な力のかかり方に気付きやすくなり、正しい動作を意識的に修正しやすくなります。日常的に行う動作であるからこそ、正しい嚥下を身につけることが、治療全体を支える重要なポイントとなります。

マイオブレースの治療期間と開始時期

マイオブレースの治療期間と開始時期
マイオブレース治療は、開始する時期や治療にかかる期間が一律ではありません。ここでは、治療開始の考え方や期間の目安について説明します。

適切な開始時期

マイオブレースは、顎の成長やお口周囲の筋機能が変化しやすい6〜8歳頃に導入することで、その治療の考え方をより活かしやすい装置です。標準的には、乳歯と永久歯が混在する頃、いわば顎の成長が活発で、身体全体の発育が進んでいる時期がひとつの目安とされます。この段階では、舌の位置や呼吸、飲み込み方といった口腔機能がまだ固定化しきっておらず、習慣の修正に取り組みやすい特徴があります。

一方で、開始時期は年齢のみで一律に判断されるものではありません。顎の成長バランス、噛み合わせの状態、お口を開ける癖や舌の使い方などを総合的にとらえたうえで、治療の必要性や目的が検討されます。なかには、成長段階が一般的な目安とは異なる患者さんであっても、機能改善を目的として導入が検討される場合もあり、個別性を重視した判断が重要となります。

治療期間の目安

マイオブレース治療は、歯を直接動かす歯列矯正とは異なり、舌や唇、頬などの筋肉の使い方や呼吸といった機能面の改善を積み重ねていく治療です。そのため、短期間で完結するものではなく、一定の期間をかけて身体の変化を促していく必要があります。

治療期間の目安としては、数ヶ月から数年単位で経過をみていくケースが多く、進行の速度には個人差があります。患者さんの成長の程度や、トレーニングが生活のなかでどの程度習慣化しているかが、治療期間に大きく関わります。顎の成長を伴う治療である以上、ある程度の時間を要することを理解したうえで、長期的な視点でもとに治療計画を立てる姿勢が求められます。

装着時間の目安

マイオブレース治療では、指示された装着時間を守ることが基本となります。多くの場合、日中の1〜2時間と就寝中の装着が組み合わされ、患者さんの生活リズムのなかで無理なく継続できるよう配慮されます。

装着時間が不足すると、舌や唇の筋肉が正しい使い方を学習する機会が減り、治療の進行に影響が及ぶことがあります。一方で、装着している時間が長ければよいというものではなく、装置を外している時間の呼吸や姿勢、舌の位置への意識も治療に関わります。装着時間は、歯科医師の指示をもとに、患者さんの成長段階や生活環境に応じて調整されるものであり、自己判断で変更しないことが大切です。

効果を実感し始めるまでの目安

マイオブレース治療では、歯並びの変化よりも先に、生活習慣やお口の使い方に変化が現れることがあります。例えば、口が自然と閉じやすくなった、鼻で呼吸していることに気付くようになった、舌の位置を意識できるようになったといった変化を、比較的早い段階で実感する患者さんもいます。

一方で、見た目の変化は緩やかに進むことが多く、短期間で明確な結果を求める治療ではありません。顎の成長や筋機能の改善は、身体の発育とともに少しずつ進行していくため、経過をとおりに観察しながら取り組む姿勢が重要です。変化の現れ方には個人差があることを理解したうえで、継続的に治療を進めていくことが求められます。

マイオブレース治療で気をつけること

マイオブレース治療で気をつけること
マイオブレース治療を進めるにあたっては、日々の取り組み方が結果に大きく関わります。ここでは、治療中に意識しておきたいポイントをまとめます。

毎日のトレーニングと装着を継続する

マイオブレース治療では、装置を装着することと、日々のトレーニングを継続することが治療の根幹を成します。いずれか一方が欠けると、舌や唇、頬といったお口周囲の筋肉が正しい動きを学習する機会が減り、治療の進行に影響が及ぶことがあります。

筋肉の使い方は、一度の指導で定着するものではなく、毎日の反復によって少しずつ身体に染み込んでいくものです。そのため、短期間で結果を判断するのではなく、一定の期間をかけて継続する姿勢が重要となります。なかには、装着やトレーニングが負担に感じられる患者さんもいますが、生活のなかで行う時間帯を決めるなど、無理のない形で取り入れる工夫が治療の安定につながります。

指示された装着時間を守る

マイオブレースの装着時間は、顎の成長段階や噛み合わせ、お口の状態などをもとに、患者さんごとに設定されます。自己判断で装着時間を短縮した場合、筋機能が十分に働く時間が確保できず、治療の進行が滞ることがあります。反対に、過度に装着時間を延ばしても、治療効果が比例して高まるわけではありません。

特に成長期は、顎や筋肉の変化が起こりやすい時期であり、適切な装着時間を守ることが治療計画どおりに進めるための前提となります。装着時間について不安や疑問が生じた場合には、自己解釈で対応せず、歯科医師と相談しながら調整することが大切です。

定期的に歯科医師のチェックを受ける

マイオブレース治療では、定期的な歯科医師のチェックを通じて、装置の適合状態やトレーニングの理解度、実施状況を確認します。顎の成長や噛み合わせの変化には個人差があり、経過をみながら治療内容を調整していく必要があるためです。

診察では、装置の使用状況だけでなく、舌の位置や呼吸の様子、飲み込み方なども総合的に評価されます。また、治療期間中にむし歯や歯茎のトラブルが生じていないかを確認することも、お口全体の健康を保つうえで欠かせません。定期的なチェックを受けることで、治療の方向性をとらえ直し、適切な修正を加えながら進めることが可能となります。

まとめ

マイオブレース治療は、成長期の顎や筋機能に関わる要素をとらえ、長期的な視点で進めていく治療です。開始時期や治療期間、装着時間は一律ではなく、患者さん一人ひとりの成長や生活に応じて設定されます。毎日の装着とトレーニングの継続、そして定期的な歯科医師のチェックを通じて、治療を計画どおり進めることが大切です。歯並びや噛み合わせだけでなく、お口の機能全体に目を向けながら取り組む姿勢が、治療を支える基盤となります。

この記事の監修歯科医師