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インビザライン治療中に引越しが決まったら?転院の方法や費用、注意点などを解説

 公開日:2026/02/11
インビザライン 引越し

マウスピース型矯正であるインビザラインは、治療期間が数ヶ月から数年に及ぶ歯列矯正であり、その途中で引越しという生活環境の変化が生じることもあります。そのため治療を継続するうえでは、通院体制だけでなく、転院時に生じる費用や、事前に確認すべき注意点を正しく理解することが重要です。このコラムでは、インビザライン治療の転院に関わる費用の目安と、トラブルを避けるための確認事項について解説します。

宮島 悠旗

監修歯科医師
宮島 悠旗(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
・出身大学
愛知学院大学歯学部
・経歴
2005年 愛知学院大学卒業 歯科医師免許取得
2006年 東京歯科大学千葉病院 臨床研修医修了
2006年 東北大学大学院歯学研究科 口腔発育学講座 顎口腔矯正学分野 入局
2010年 東北大学大学院歯学研究科 口腔発育学講座 顎口腔矯正学分野 卒業 歯学博士取得
2011年 東北大学大学院歯学研究科 口腔発育学講座 顎口腔矯正学分野 助教就任 
日本矯正歯科学会認定医取得
2014年 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス開業
2017年 著書『国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の「デンタルケア」-』出版(幻冬舎)
2021年 著書『歯並び美人で充実人生:幸せを呼ぶゴールデンスマイル』出版(合同フォレスト)
2022年 (株)オーティカインターナショナル/オーティカプロモーション myobrace® 認定講師就任
・資格
歯科医師免許、歯学博士(東北大学)、日本矯正歯科学会認定医
・所属学会 ほか
日本矯正歯科学会所属、invisalign® DIAMOND Status、 myobrace® 認定講師

インビザライン治療中に引越しが決まったときの選択肢

インビザライン治療中に引越しが決まったときの選択肢
インビザライン治療中に引越しが決まった場合には、治療をどのように継続するかを早期に検討することが、噛み合わせの安定や治療結果の維持に関わります。ここでは、患者さんが選択し得る主な方法について解説します。

現在のクリニックに通い続ける

引越し後も、これまで治療を受けていた歯科医院へ通院を継続する方法があります。この選択肢の特徴は、治療開始からの経過や歯の移動量、顎の状態を把握している歯科医師が引き続き診療を行う点にあります。治療計画の一貫性が保たれやすく、説明や判断の行き違いが生じにくいことは大きな利点といえます。

一方で、移動時間や交通費の負担が増えることで、通院頻度が下がる可能性も考えられます。インビザライン治療では、マウスピースの装着状況や歯茎の状態を定期的に確認することが重要であり、通院が滞ると治療の進行に影響を及ぼすおそれがあります。生活環境の変化を踏まえ、現実的に通院を継続できるかを慎重に判断した方がよいといえます。

転院先のクリニックを探して転院する

引越し先の周辺で歯科医院を探し、治療を引き継ぐ方法は、多くの患者さんが検討する選択肢です。通院距離が短くなることで、定期的な診察を受けやすくなり、治療管理が行いやすくなる点が特徴です。

ただし、インビザライン治療は単にマウスピースを交換するだけではなく、歯の動き方、噛み合わせの変化、歯茎や顎への影響を総合的に評価しながら進められます。そのため、転院後には現在の状態を改めて確認し、必要に応じて治療計画を調整する工程が含まれます。これは治療のやり直しを意味するものではなく、治療を適切に継続するための重要な過程と位置付けられます。

オンライン診療や遠隔サポートを活用する

近年では、オンラインを活用した経過確認の仕組みを取り入れる歯科医院もみられます。デンタルモニタリングと呼ばれる仕組みでは、患者さん自身がスマートフォンで口腔内の写真を撮影してデータを送信し、担当医がそれを確認することで、歯の移動が治療計画どおり進んでいるか、マウスピースの適合状態は問題ないかなどを診断します。

ただし、この仕組みはデンタルモニタリングを導入している歯科医院でのみ対応可能であり、すべての医院で利用できるわけではありません。また、システムの性質上、転院した場合にはこれまでの治療経過を引き継ぐことが難しく、矯正治療の料金についても引き継ぐことができないため、転院先の歯科医院でほとんどの場合また一から矯正治療の料金を支払う必要があります。そのため、引越しが決まった場合でも、できるだけ動的治療が終わるまでは現在通院している歯科医院に通い続けることが望ましいといえます。

インビザライン治療の転院手続きの流れ

インビザライン治療の転院手続きの流れ
転院を円滑に進めるためには、あらかじめ手順を整理し、段階的に対応することが求められます。とくに、治療の途中で長い空白期間が生じると、歯列の移動計画や噛み合わせの安定に影響を及ぼす可能性があります。引越しが決まった時点から計画的に行動することが、治療を継続するうえで重要な要素となります。

現在の歯科医院へ転院の意思を伝える

引越しが決まった段階で、まず現在通院している歯科医院へ転院の意思を伝えることが望ましいとされています。インビザライン治療は、歯の移動量やマウスピースの交換時期をもとに計画的に進められているため、通院の中断や予定変更が生じる場合には、早めの共有が必要です。

その際には、引越しの時期や通院が困難となる時期を具体的に伝えることで、転院までの期間におけるマウスピースの使用方法や、お口の変化に対する注意点について説明を受けやすくなります。結果として、治療の空白を最小限に抑えることにつながります。

転院先クリニックを探して初診予約を取る

次に、引越し先周辺でインビザライン治療に対応している歯科医院を探し、初診の予約を取ります。この際、現在マウスピース型矯正の治療途中であることをあらかじめ伝えておくことが重要です。治療中であることを共有することで、診察時に必要となる情報や、持参すべき資料について事前に案内を受けやすくなり、初診当日の診療が円滑に進みやすくなります。

また、なかには現在通院している歯科医院から、引越し先周辺の歯科医院を紹介してもらえるケースもあります。このような紹介が行われる場合、治療方針や経過について一定の情報共有がなされやすく、治療の連続性を保ちやすい点は大きなメリットといえます。歯科医院同士の連携が取れていることで、転院後の診察や判断がスムーズに進む可能性もあります。

歯科医院ごとに診療体制や初診時の進め方は異なるため、自身で探す場合であっても、紹介を受ける場合であっても、事前に確認を行うことが、治療を滞りなく再開するための重要な準備となります。

治療データの引き継ぎと必要書類を受け取る転院に際しては、治療データの引き継ぎが課題となります。

歯列のデジタルデータや治療計画の概要、現在使用しているマウスピースの段階などは、転院先での診断や判断の基礎資料となり得るものですが、実際にはこれらの情報が引き継がれないケースも少なくありません。歯科医師によっては治療計画の立て方に独自の考え方があり、それを共有しないこともあるためです。また、インビザラインのような装置では5年間の有効期限が設定されており、残り期間が少ない場合には引き継ぐことの意味が薄れることもあります。

さらに、転院が難しい理由は、こうしたシステム上の制約だけではありません。歯科医師のあいだでも治療方針は異なることが多く、同じ歯並びの状態であっても診断や治療方法が一致するとは限りません。例えば、現在通院しているクリニックの矯正歯科医が非抜歯の方針で治療を進めていても、転院先のクリニックでは抜歯が必要と診断されるケースもあります。このような背景から、転院は単なる引き継ぎでは解決しない複雑な問題を含んでいるといえます。

転院先クリニックでの診察と治療再開

転院先の歯科医院では、まず現在のお口の状態について診察が行われます。具体的には、歯列の位置関係、噛み合わせの変化、歯茎の健康状態などを確認したうえで、引き継いだ治療データをもとに治療の再開方法が検討されます。

その結果、歯の動き方や顎の状態を踏まえて、治療計画の一部を調整する判断がなされる場合もありますが、これは治療を後戻りさせるものではありません。患者さんの身体の変化を適切にとらえ、治療結果の安定を目指すための対応といえます。

【インビザライン】転院時にかかる費用の目安

【インビザライン】転院時にかかる費用の目安
マウスピース型矯正であるインビザラインの治療を動的治療中に転院する場合、転院先の歯科医院では矯正治療費を一から支払う必要があることがほとんどです。これは、治療計画の立て直し、新たな診断、装置の作製といった工程が改めて必要となるためです。転院先での費用は、治療の進行状況や歯科医院ごとの診療体制によって異なり、一律に定められているものではありません。そのため、転院を検討する際には、どの段階で、どのような費用が生じるのかを事前に整理し、治療を継続するうえでの判断材料とすることが重要です。

転院先での初診料・検査費用

転院先の歯科医院では、インビザライン治療を引き継ぐ前提として、現在のお口の状態を把握するための診察や検査が行われます。具体的には、歯列の配列や噛み合わせの変化、歯茎の健康状態、顎の動きなどを総合的に確認し、これまでの治療経過が現在の身体の状態と整合しているかを評価します。

これらの診察・検査は、転院後の治療方針を検討するために不可欠な工程であり、通常の初診と同様に初診料や検査費用が必要となるケースが一般的です。目安としては、初診料と簡単な検査で数千円から1万円前後、レントゲン撮影や精密な検査を伴う場合には1〜5万円程度となることがあります。

すでに元のクリニックで検査を受けている場合であっても、歯列や噛み合わせ、歯茎の状態は時間の経過とともに変化します。そのため、転院先であらためて確認を行うことは、治療を安全かつ計画的に継続するための重要な工程と位置付けられます。

転院先での治療計画の再作成とマウスピース作製費用

転院後は、これまでの治療データをもとにしつつ、現在の歯の位置や噛み合わせの状態を再評価し、治療計画を調整することがあります。この際、治療計画の再作成に関わる費用が発生する場合があります。

一般的な目安としては、治療計画の再作成費用が数万円程度とされることが多く、歯列の変化が大きい場合や、治療方針の見直しが必要な場合には、追加の検討費用が生じることもあります。また、歯の移動状況や顎の状態によっては、既存のマウスピースでは対応が難しく、新たなマウスピースの作製が必要となる場合があります。その際の費用は、作製枚数や治療段階によって異なり、数万円から十数万円程度となることがあります。

これらの対応は、治療を最初からやり直すことを意味するものではなく、歯列矯正を適切に継続し、噛み合わせの安定を図るために、現状に即した調整を行うためのものといえます。

元のクリニックでの精算・返金の有無と転院手数料

転院に際しては、元のクリニックにおける治療費の精算方法についても確認が必要です。治療費を一括で支払っている場合や、治療の進行度に応じて段階的に支払う方式を採用している場合など、契約内容によって精算の扱いは異なります。

なかには、未実施分の治療内容に対応する費用について返金が行われるケースや、転院に伴う事務的な手続きとして手数料が設定されている場合もあります。費用面での認識の違いを防ぐためには、治療開始時の契約内容をもとに、事前に説明を受けておくことが重要です。

インビザライン治療を転院する際には、費用面に意識が向きやすい一方で、契約内容や治療データの取り扱い、保証の扱いといった制度的な側面にも十分な注意が求められます。これらは治療そのものの質に直接関わるものではありませんが、確認が不十分なまま転院を進めると、治療の継続性や計画性に影響を及ぼすおそれがあります。

とくに歯列矯正は、一定の計画にもとづいて歯を動かしていく治療であるため、制度面の行き違いが結果として治療の停滞や調整の増加につながる可能性も否定できません。転院を検討する段階で、あらかじめ確認すべきポイントを整理しておくことが重要です。

【インビザライン】転院時の注意点とトラブルを避けるポイント

【インビザライン】転院時の注意点とトラブルを避けるポイント
この章では、転院時の注意点とトラブルを避けるポイントを解説します。トラブルを避けるためにもぜひ参考にしてください。

契約書の転院に関する条項と解約条件を確認する

治療開始時に交わした契約書には、転院や治療中断に関する条件が記載されていることがあります。引越しなどやむを得ない事情であっても、転院や解約の取り扱いは、原則として契約内容にもとづいて判断されます。

特に注意すべき点として、治療費の精算方法、返金の有無、手続きの期限などが挙げられます。これらは後から気付いても修正が難しい場合があり、結果として想定外の負担が生じることもあります。転院を検討した段階で、契約書の内容をあらためて確認し、不明点については事前に説明を受けることが、トラブルを避けるうえで重要です。

治療データが転院先に引き継げるか事前に確認する

インビザライン治療では、歯列のデジタルデータや治療計画が治療の根拠となっており、これらの情報は歯の動かし方や噛み合わせの調整を判断するうえで重要な役割を果たします。そのため、治療データを転院先の歯科医院へ引き継ぐことができるかどうかは、治療を継続するうえで大きな意味を持ちます。

インビザラインの場合、インビザライン独自のシステムを通じて、治療計画や歯列データを管理しているため、条件が整えば転院先でもこれらのデータを速やかに活用できることがあります。これにより、治療の経過を踏まえた判断が行いやすくなり、計画の連続性を保ちやすい点は一つの特徴といえます。

ただし、すべてのケースで同様に引き継げるとは限らず、データの共有範囲や利用可否は治療状況や歯科医院の対応によって異なります。そのため、転院を検討する段階で、どのようなデータが提供可能か、転院先で使用できるかを事前に確認しておくことが、診察時の判断の行き違いや治療方針の混乱を防ぐうえで重要です。

保証内容が転院後も継続されるか確認する

インビザライン治療では、一定期間内の調整や追加対応に関する保証が設けられている場合があります。こうした保証は、治療を安定して進めるための仕組みの一つですが、転院後も同様に適用されるかどうかは、治療契約の内容や歯科医院の方針によって異なります。

保証が転院先で引き継がれない場合、治療の調整や追加対応に際して新たな対応が必要となることも考えられます。治療を継続するうえでの見通しを立てるためにも、転院前に保証内容の扱いを確認しておくことが望ましいといえます。

まとめ

インビザライン治療中の引越しは、決して珍しい出来事ではありません。引越しが決まったときの選択肢や転院手続きに加え、費用の内訳や契約内容、治療データの引き継ぎといった点を正しく理解することで、治療の中断や不要な混乱を避けやすくなります。歯列矯正は身体の変化を伴う治療であり、継続性が重要です。引越しが決まったときには、焦らず情報を整理し、現在の歯科医院と十分に相談したうえで転院を進めることが、治療結果の安定につながります。

この記事の監修歯科医師