歯科矯正したいのにお金がない!費用を抑える方法や支払い案を解説
歯科矯正を受けようと思って、クリニックに行って相談したら費用が非常に高いことに驚いた方も多いのではないでしょうか。
大抵の場合、歯科矯正は自費診療となっているため、非常に高額な費用がかかります。しかし、子どもや自身のきれいな歯並びのために何とかして治療したいと考える方も多いでしょう。
本記事では、歯科矯正の費用を抑える方法や支払い案を詳しく解説します。実際に矯正前・矯正中・矯正後にどのような費用が必要か、費用の相場なども紹介しますので、歯科矯正の費用が気になる方はぜひ参考にしてください。
監修歯科医師:
坂本 輝雄(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科)
目次 -INDEX-
歯科矯正したいのにお金がない!
歯科矯正の費用は非常に高額ですが、それには理由があります。歯科矯正は見た目をきれいにするといった審美的な要素もあるため、保険の適用外になっているのが主な理由です。
また、歯科矯正で使用される矯正装置はワイヤーやブラケットなど特殊なものです。器具に使用される素材自体が高いことに加え、非常に精密に作られているため、どうしても高額になります。
また、矯正治療は普通の歯科医師ではなく、専門の歯科医師が施術を行うため、技術料が高くなってしまう点も挙げられるでしょう。そのため、「歯科矯正をしたいのにお金がない!」と感じる方も多いでしょう。
とはいえ、歯科矯正の費用を抑える方法はたくさんあります。次に、歯科矯正の費用を抑える具体的な方法をご紹介します。
歯科矯正の費用を抑える方法は?
歯科矯正の費用をできるだけ抑えたい場合、次のような方法を検討するとよいでしょう。
- 可能であれば部分矯正を検討する
- 費用が抑えられる矯正方法を選ぶ
- 費用が抑えやすい素材の矯正器具を選ぶ
- 医療費控除を利用する
それぞれの方法を詳しく解説します。
可能であれば部分矯正を検討する
一つ目の方法は、部分矯正と呼ばれる矯正方法を検討してみることです。
矯正方法には、歯全体を矯正する「全体矯正」だけでなく、前歯など気になる部分だけを矯正する「部分矯正」と呼ばれる方法もあります。部分矯正の方が矯正器具が小さくて済むため、費用も全体矯正より抑えられるでしょう。
ただし、歯の状態によっては、部分矯正では歯の矯正ができない場合もあります。歯医者で診察を受けたうえで、よく相談して部分矯正が可能か確認しましょう。
費用が抑えられる矯正方法を選ぶ
矯正方法によっても、かかる費用は異なります。そのため、できるだけ費用が抑えられる矯正方法を選ぶのも一つの方法です。
たとえば、ワイヤー矯正には矯正器具を歯の表側に装着する表側矯正と、歯の舌側(裏側)に装着する舌側矯正(裏側矯正)があります。舌側矯正(裏側矯正)は矯正しているのが目立ちにくいですが、費用は表側矯正よりも高いです。
見た目があまり気にならない方は、表側矯正を選択すれば費用を抑えられるでしょう。
費用が抑えやすい素材の矯正器具を選ぶ
矯正費用は、使用する矯正器具の素材によっても異なります。そのため、費用が抑えやすい素材の矯正器具を選ぶのも一つの方法です。
ワイヤー矯正とマウスピース型矯正では、透明な矯正器具を使用するマウスピース型矯正の方が費用を抑えられる場合があります。とくに最近では、価格設定が低いマウスピース型矯正もあります。
医療費控除を利用する
矯正費用を少しでも抑えるには医療費控除を利用するのもおすすめです。医療費控除は1年間に支払った医療費が一定額以上の場合、確定申告によって税金の一部が帰ってくる制度です。
歯科矯正を受ける場合、歯並びが歯の健康や機能に悪影響を与えているなど、かみ合わせを改善する目的の治療なら医療費控除の対象になります。歯並びの見た目を改善したい目的の場合は対象にならないため注意しましょう。
費用を抑える以外の対処法は?
ここまで、歯科矯正にかかる費用を抑える方法を紹介してきましたが、それ以外にも対処方法があります。
具体的には、クリニックの選び方に注意しましょう。
歯科矯正は自費診療のため、病院によってかかる費用は異なります。できるだけ低額で歯科矯正を行っているクリニックを探しましょう。
とはいえ、ただ安ければよいわけではなく、経験や実績が少ないクリニックだと矯正までに時間や追加費用がかかる可能性もあります。矯正の経験が豊富なクリニックや、矯正歯科医が常勤しているクリニックを選ぶようにしましょう。
また、矯正中や矯正後に注意できるポイントもあります。矯正器具を指示されたとおりに装着することや、口呼吸・頬杖をつく・歯ぎしりといった悪い癖を直すことも歯並びを早くきれいにするうえでは大切です。
また、矯正後も保定装置(リテーナー)をきちんと付け、後戻りしないようにしましょう。
歯科矯正の支払い案
クリニックによっては歯科矯正の費用の支払い方法を複数用意しているところもあります。
ローンやクレジットカード払いなどの支払い方法を活用すれば、一度に多額の費用を支払う必要がなく、負担を軽減できるでしょう。
クリニックによりますが、歯科矯正の支払い方法には次のような種類があります。
- デンタルローン
- カードローン
- クレジットカード
- 分割払い
それぞれの支払い方法について簡単に説明します。
デンタルローン
デンタルローンは、歯科治療費専用のローンです。信販会社や銀行といった金融機関が提供している融資サービスです。
歯科矯正にかかった費用を信販会社や銀行が立て替えて支払い、患者さんが分割払いで元本と利息を返済します。
事前の審査を受けなければなりませんが、安定した収入があれば利用できます。歯科医院が申し込み窓口となっているケースが多く、金利は年5.0%ほどと通常の融資サービスよりも低金利です。
カードローン
カードローンは銀行・信販会社・消費者金融などが提供している融資サービスです。使用目的は医療に限定されていないため、歯科矯正以外の支払いにも活用できます。
ただし、デンタルローンに比べると金利が高めで、上限は18%となっています。すでにカードローンを契約している場合は、改めて申し込んで審査を受ける手間がかからないのはメリットといえるでしょう。
基本的には毎月決められた金額を返済する形で、余裕があればまとまった金額を返済して支払い総額を抑えるのも可能です。
クレジットカード
クレジットカードを使用して歯科矯正を支払う方法もあります。ただし、これはクレジットカード決済が可能なクリニックに限られます。
返済回数は、一括払いだけでなく、1回払い・2回払い・分割払い・リボ払い・ボーナス払いなど、クレジットカード会社の定めている回数で支払いが可能です。
分割払いの場合は金利が高めで、10~15%ほどになりますので総支払額が高くなる点には注意しましょう。
分割払い
クリニックによっては、医院独自の分割払いに対応しているところもあります。支払い回数や毎月の支払い金額を相談し、決まった期日までに銀行振り込みなどで支払いを行います。
通常のクレジットカード払いよりも金利は安いほか、分割手数料もかかりません。クレジットカードを持っていなかったり、ローンの審査が通りにくかったりする方でも分割払いで支払いできるのがメリットです。
ただし、どのクリニックでも対応しているわけではありません。事前に分割払いに対応しているか確認しておきましょう。
また、支払う金額や期間によっては医療費控除の対象にならない場合がある点にも注意が必要です。
矯正前から矯正中にかかる費用と相場は?
歯科矯正をする場合、矯正器具だけでなく、検査や通院などさまざまな費用がかかります。
矯正前から矯正中にかかる費用と、おおよその相場は次のようになります。
- カウンセリング費用:無料~約7,000円(税込)
- 精密検査費用:無料~約60,000円(税込)
- むし歯治療:1,500~10,000円(税込)
- 抜歯(1本):1,500~15,000円(税込)
- 矯正装置の費用:10~150万円(税込)
- 通院費用:30,000~60,000円(税込)
それぞれの費用やおおまかな相場について詳しく解説します。
カウンセリング費用
歯科矯正の治療を受ける前には、クリニックでカウンセリングを行います。カウンセリングでは歯科医師やカウンセラーから矯正方法・治療の流れ・おおまかな費用などについて説明があります。
カウンセリング費用は無料の場合もありますが、クリニックによっては5,000~7,000円(税込)ほどかかる場合もあるでしょう。
精密検査費用
実際に矯正治療を始める前に歯並びや現在のお口の状態などを精密検査します。お口の型取り・写真撮影・レントゲン・CT撮影などが検査内容です。
検査結果をもとに、矯正が必要かどうか、どのような矯正方法がよいかを診断します。また、治療計画を立てるとともに、治療全体にかかる費用や期間なども伝えられるでしょう。
検査費用は無料の場合もありますが、10,000~60,000円(税込)ほどかかる場合もあります。検査費用についてもほとんどの場合は保険が適用されないため、高額になりがちです。
むし歯の治療や抜歯にかかる費用
患者さんがむし歯や歯周病の場合は歯科矯正を始める前に治療を行います。むし歯や歯周病の治療は保険適用のため、通常の診療と同じ費用です。
1回の治療につき、1,500~10,000円(税込)ほどかかるでしょう。
歯を並べるスペースが足りないために抜歯しなければならないケースもあります。親知らずの場合は保険適用で費用は5,000円(税込)以内ですが、その他の歯の場合は自由診療となり、1本5,000~15,000円(税込)ぐらいが相場です。
矯正装置の費用
矯正装置の費用は、どのような矯正装置を使用するか、全体矯正か部分矯正かにより大きく異なります。代表的な矯正装置を使用した場合のおおよその相場は次の通りです。
- 表側矯正(全体矯正):約60~130万円(税込)
- 表側矯正(部分矯正):約30~60万円(税込)
- 舌側矯正(裏側矯正)(全体矯正):約100~150万円(税込)
- 舌側矯正(裏側矯正)(部分矯正):約40~70万円(税込)
- マウスピース型矯正(全体矯正):約60~100万円(税込)
- マウスピース型矯正(部分矯正):約10~40万円(税込)
表側矯正は歯の表側にブラケットとワイヤーを装着して歯を動かす矯正方法です。
表側矯正でも、セラミックやプラスチック製の白色や透明のブラケットやワイヤーを使用して目立ちにくくすることもできます。しかしながら、追加で費用がかかるため、できるだけ費用を抑えたい場合はおすすめできません。
舌側矯正(裏側矯正)は歯の舌側(裏側)に装置を付ける矯正方法で、表側矯正よりも目立ちにくいメリットがあります。ただし、歯の舌側(裏側)に装置を装着するのは難易度が高く技術が必要なため、表側矯正に比べると費用も高いです。
マウスピース矯正は、プラスチック製の透明なマウスピースを装着して矯正を行います。
通院費用
矯正中は定期的にクリニックに通院して、歯の動き具合の確認・装置の調整・ワイヤーの交換などを行ったりする必要があります。
クリニックによっては調整費用が最初の支払い金額に含まれているケースもありますが、通院するたびに支払いが必要な場合もあります。その場合、1回の通院で約3,000~5,000円(税込)の費用がかかるでしょう。
矯正後にかかる費用と相場は?
矯正治療が終了したあとも、歯並びが後戻りしないために「保定期間」があります。保定装置を付けて、後戻りしないように安定させるのが役割です。
そのため、矯正後にも次のような費用がかかります。
- 保定装置の費用
- 保定観察の費用
それぞれの費用やおおよその相場価格を紹介します。
保定装置の費用
矯正が終了して装置を取り外したあとは、後戻りを防ぐために保定装置を装着します。保定装置はリテーナーとも呼ばれますが、矯正装置と同様、ワイヤーのものもあれば透明なマウスピース型のものもあります。
通常の場合、1年以上は毎日保定装置を使用する必要があるでしょう。最初の支払い金額に含まれている場合は無料ですが、3〜6万円(税込)ほど費用がかかる場合があるでしょう。
保定観察の費用
保定装置を装着したあとも定期的に通院し、歯並びがきれいな状態に保たれているかどうかを確認する必要があります。1回の通院につき、約3,000~5,000円(税込)の費用がかかるでしょう。
このように、歯科矯正は矯正期間中だけでなく、矯正終了後も費用がかかります。あとで思いもよらない追加費用がかかったということがないように、トータルでいくらかかるかを事前によく確認しておきましょう。
編集部まとめ
歯科矯正は大抵の場合自由診療となるため、非常に高額な費用がかかります。そのため、歯科矯正して歯並びをきれいにしたいと思っても「お金がない」と感じるケースもあるでしょう。
しかしながら、本記事でご紹介したように、歯科矯正の費用を抑える方法もいくつかあります。
1回あたりの支払い金額を抑えたい場合は、デンタルローンや分割払いに対応しているクリニックを選ぶとよいでしょう。
また、矯正装置の種類を比較的安価なものにして費用を抑えるのも一つの方法です。費用が高いからと歯科矯正を諦めずに、まずはクリニックで相談してみてください。