小児矯正と顎の発育の関係｜顎が小さい原因やデメリット、治療方法も解説

子どもの歯並びや噛み合わせは、見た目だけでなく将来の健康にも影響します。 すべての永久歯が生えそろう頃に、歯が重なっていれば磨き残しが増え、むし歯や歯周病のリスクが高まります。 噛み合わせの乱れは、咀嚼や発音にも悪影響をもたらす要素です。歯科検診で歯並びを指摘され、不安を抱く親御さんも少なくないでしょう。 そこで注目されるのが、成長期を活かした小児矯正です。小児矯正は、成長途中のやわらかい骨を利用して顎を広げ、歯がきれいに並ぶ環境を整えることを目的としています。 本記事では、小児矯正と顎の発育の関わりを中心に、原因や治療方法をわかりやすく解説します。 大切なお子さんの笑顔を守るために、小児矯正という選択肢を持っておきましょう。

監修歯科医師：
小田 義仁（歯科医師）

目次 -INDEX-

• 小児矯正と顎の発育の関係
  • 小児矯正で顎を広げる理由を教えてください。
  • なぜ小児矯正に顎の発育が関わるのですか？
  • 小児矯正に適したタイミングは何歳ですか？
• 子どもの顎が小さい原因とデメリット
  • 子どもの顎が小さい原因を教えてください。
  • 子どもの顎が小さいとどのようなデメリットが生じますか？
• 顎を広げる小児矯正の治療方法
  • 顎を広げる小児矯正の治療方法を教えてください。
  • 顎を広げる小児矯正のメリットを教えてください。
  • 顎を広げる小児矯正にデメリットはありますか？
  • 顎を広げる小児矯正の費用目安を教えてください。
  • 顎を広げる小児矯正の治療期間はどのくらいですか？
• 編集部まとめ

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小児矯正と顎の発育の関係

小児矯正で顎を広げる理由を教えてください。

小児矯正で顎を広げるのは、永久歯がきれいに並ぶための十分なスペースを確保するためです。顎が小さいと歯が生える場所が不足し、無理に生えてしまうと歯が重なってガタガタになり、出っ歯や受け口など噛み合わせの乱れを引き起こします。 こうした課題に対して、小児矯正は広く行われている治療方法です。2024年度の診療報酬改定でも口腔機能の異常が診断対象に加わりました。小児矯正は見た目だけでなく、健康面にも重要な治療として制度上も位置づけられています。成長期は骨がやわらかく、顎の発育をコントロールしやすい時期です。顎の成長期に広げておくと、歯が自然に並びやすくなり、将来の抜歯や大がかりな歯列矯正を避けられる可能性が高まります。そのため小児矯正は、顎の発育を正しい方向へ導き、将来の歯並びや噛み合わせを守ることを大きな目的としています。

なぜ小児矯正に顎の発育が関わるのですか？

小児矯正に顎の発育が深く関わるのは、歯並びや噛み合わせが顎の成長状態に大きく左右されるためです。顎の発育が十分なら永久歯が自然に並ぶスペースができ、噛み合わせも整いやすくなります。逆に発育が不足すると、歯列の乱れや不正咬合（ふせいこうごう）が起こります。さらに咀嚼や発音、呼吸にも悪影響を及ぼすでしょう。顎の成長はお顔全体のバランスにも直結するため、顎の発育のコントロールは、見た目と健康の両面で大きなメリットにつながります。したがって小児矯正では、単に歯を動かすのではなく、成長期の顎の発育が重視されています。

小児矯正に適したタイミングは何歳ですか？

小児矯正に適したタイミングは、顎や歯の成長が活発に進む6歳前後です。乳歯と永久歯が混ざって生えている時期が目安といえます。骨がやわらかい混合歯列期は、顎の発育をコントロールしやすく、治療を効果的に進められる時期です。ただし、早すぎると十分な成果が得られません。遅すぎると顎の成長が止まり、抜歯を伴う歯列矯正が必要になる可能性があります。適切な開始時期はお子さんの成長スピードや歯の状態によっても異なるため、気になる段階で歯科医院に相談してみましょう。

子どもの顎が小さい原因とデメリット

子どもの顎が小さい原因を教えてください。

子どもの顎が小さくなる背景には、いくつかの要因があります。近年、特に指摘されているのは食生活の変化です。やわらかい食べ物が増え、噛む回数が減ることで、顎骨が十分に発達しにくくなってきました。また口呼吸の習慣や、舌が下に落ちていたり前に突き出して歯を押していたりする状態も、顎の成長を妨げる要因です。さらに遺伝的な体質や全身の発育状態も関係し、親から子へ受け継がれることもあります。 こうした複数の要因が重なることで顎が小さくなり、永久歯がきれいに並ぶスペースが足りなくなります。顎の成長は生活習慣とも深く関わっているため、日頃の食事や鼻呼吸への意識が大切です。

子どもの顎が小さいとどのようなデメリットが生じますか？

子どもの顎が小さいと、永久歯が並ぶスペースが不足します。その結果、歯の重なりや出っ歯、受け口などの不正咬合につながります。歯並びの乱れに影響されるのは見た目の印象だけではありません。磨き残しが増えやすくなるため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。さらに、発音が不明瞭になったり、しっかり噛めなかったりする原因にもなります。飲み込みづらさや口呼吸が続く習慣にもつながりかねません。こうしたお口の機能に関わる問題は、学校の歯科検診でも指摘されるようになってきました。近年ではむし歯や歯並びだけでなく、発音や咀嚼、嚥下、口呼吸まで含めた機能面も確認されています。また、日本小児歯科学会と日本矯正歯科学会の報告でも、小児矯正による機能面の改善効果が示されています。顎の発育に不安を感じたら、早めに歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか。

顎を広げる小児矯正の治療方法

顎を広げる小児矯正の治療方法を教えてください。

顎を広げる小児矯正では、成長期の骨がやわらかい時期を利用し、永久歯が並ぶスペースを確保します。代表的なのが拡大床（かくだいしょう）と呼ばれる取り外し式の装置で、ネジを少しずつ回して調整し、時間をかけて上顎を広げていきます。自分で取り外せるため食事や歯磨きがしやすい反面、つけ忘れには注意が必要です。もうひとつ、固定式の急速拡大装置もあります。歯に固定した状態で力をかけるため、数週間から3ヶ月ほどで顎を広げられるのが特徴です。広げた直後はもとに戻りやすいため、数ヶ月は装置をつけたままにして、安定させる期間が設けられます。低年齢の子どもにも使用できますが、違和感が強いため、慣れるまでは保護者のサポートが欠かせません。どの方法が適しているかは年齢や歯並びの状態によって異なるため、まずは歯科医師の診断を受けることが大切です。

顎を広げる小児矯正のメリットを教えてください。

顎を広げるメリットは、将来の歯並びや噛み合わせを守れることです。永久歯が生えるスペースができるため、歯列の乱れを予防でき、将来的に抜歯を伴う歯列矯正や長期にわたる治療を避けられます。歯並びが整うことで歯磨きがしやすくなり、むし歯や歯周病の予防にもつながるでしょう。また、噛み合わせが改善すると食べ物をしっかり噛めるようになるほか、発音が明瞭になったり息がしやすくなったりする効果も期待できます。さらに魅力的なのは、顎骨がやわらかい成長期に治療を行うと、歯並びだけでなく横顔のラインまで整えられることです。小児矯正で顎を広げることは、見た目と機能の両面で大きなメリットがあります。

顎を広げる小児矯正にデメリットはありますか？

もちろん、あらかじめ知っておきたい注意点もあります。装置をつけると違和感や軽い痛みを感じることがあり、慣れるまでに時間がかかるでしょう。取り外し式の装置は、毎日の装着が欠かせません。子ども本人の意識や保護者のサポートが十分でないと、思うような効果につながらないことがあります。また、装置があることで歯磨きがしにくくなり、むし歯や歯肉炎のリスクが高まります。さらに、顎の成長や歯並びの状態によっては期待した効果が得られず、後に追加の歯列矯正が必要になるかもしれません。挙げた注意点はいずれも歯科医師と相談しながら対応できます。デメリットを理解して準備しておけば、治療をより不安なく進められるでしょう。

顎を広げる小児矯正の費用目安を教えてください。

顎を広げる小児矯正にかかる費用は、治療方法や装置の種類によって幅があります。急速拡大装置は30,000〜50,000円（税込）で導入でき、短期間で効果を得やすいのが特徴です。拡大床は200,000〜300,000円（税込）が目安で、取り外しが可能なため食事や歯磨きがしやすいメリットがあります。また、複数の装置を組み合わせたり治療が複雑になったりすると、総額で200,000〜500,000円（税込）になることもあります。費用の内訳や支払い方法は歯科医院ごとに異なるため、事前に見積もりを確認しておくことが大切です。一般的には100,000〜500,000円（税込）の範囲を想定しておくとよいでしょう。

顎を広げる小児矯正の治療期間はどのくらいですか？

治療期間は、装置の種類やお子さんの成長段階によって異なります。通常であれば半年から1年が目安ですが、早い場合は数ヶ月で効果が現れます。特に拡大床のような取り外し式の装置は、効果の現れ方に差が出やすいのが特徴です。毎日の使用状況によって期間が変わりやすく、きちんと装着できているかどうかが成果を左右します。固定式の装置は短期間で顎の幅を広げやすい反面、その後に安定させるための保定期間が数ヶ月必要です。顎の成長スピードや歯の生え方には個人差があるため、一律には決められません。あらかじめ歯科医師に見通しを聞いておくと不安を減らして治療を始められます。

編集部まとめ

小児矯正は、顎の発育が活発な時期を利用し、歯がきれいに並ぶ環境を整える治療です。 顎が小さいまま成長すると歯列の乱れや噛み合わせの不具合が起こりやすく、見た目だけでなく発音や咀嚼などの機能面にも影響を及ぼします。 早い段階で顎を広げることで、将来の抜歯や大がかりな歯列矯正を避けられるでしょう。 厚生労働省や日本小児歯科学会、日本矯正歯科学会の報告でも、多数の症例を通じて小児矯正の有効性が示されており、全国的に広く行われている標準的な治療となっています。 治療効果や装置による負担の感じ方には個人差があるため、歯科医師とよく相談しながら進めることが大切です。 治療方法や費用、期間には幅があり、お子さんの成長や歯並びの状態によって選ぶべき治療は異なります。 正しい知識を持ち、適切なタイミングでの判断が、お子さんの健やかな成長と笑顔を守ります。