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マウスピース型矯正で顎関節症は治せる?原因や治療の流れ、注意点を詳しく解説

 公開日:2026/01/06
マウスピース型矯正で顎関節症は治せる?原因や治療の流れ、注意点を詳しく解説

顎関節症は顎の痛みやカクカク音、開口障害など日常生活に支障をきたす症状を引き起こします。

この不快な症状に悩む方にとって、有効な治療の選択肢となる可能性があるのはマウスピース型矯正です。

従来のワイヤー矯正と比べて目立ちにくく、取り外しも可能なマウスピース型矯正は顎関節症の改善でも注目されています。

本記事では顎関節症の原因から治療法、そして特にマウスピース型矯正を用いた治療の実際と注意点までを詳しく解説します。

小田 義仁

監修歯科医師
小田 義仁(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
小田歯科・矯正歯科
院長 小田 義仁
岡山大学歯学部 卒業
広島大学歯学部歯科矯正学教室
歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院
所属協会・資格
日本矯正歯科学会 認定医
日本顎関節学会
日本口蓋裂学会
安佐歯科医師会 学校保健部所属
広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員
岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長
岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事
アカシア歯科医会学術理事

顎関節症の原因と治療できる症例

顎の調子が悪い

顎関節症について教えてください。

顎関節症とは顎の関節やその周囲の筋肉に痛みや機能障害が生じる疾患です。顎関節は下顎骨と側頭骨の間にある関節で、口の開閉や咀嚼の際に重要な役割を果たしています。顎関節症の主な症状には顎の痛みや関節雑音(カクカク音やジャリジャリという音)があります。またお口を開けにくい、閉じにくいといった開口障害や顎の動きの制限なども見られます。頭痛や耳の痛み、めまいなどさまざまな症状を伴うことも少なくありません。日本顎関節学会によれば顎関節症は大きく4つの病態に分類されており、それぞれに適した治療法があるとされています。

顎関節症が発生する原因を教えてください。

顎関節症の原因は複雑です。単一の要因ではなく複数の要因が絡み合って発症すると考えられています。主な原因としては不正咬合(歯並びや噛み合わせの問題)が顎関節に過度な負担をかけることがあります。また事故や打撲などによる顎への直接的な衝撃も原因です。就寝中の無意識の歯ぎしりや日中の食いしばりは筋肉の緊張を高め顎関節に負担をかけます。精神的なストレスが顎の筋肉の緊張を高めることもあります。長時間のデスクワークなどによる姿勢の悪さや関節リウマチなどの全身性疾患が顎関節に影響を及ぼすことも少なくないでしょう。

顎関節症にかかりやすい好発年齢はありますか?

顎関節症は幅広い年齢層で発症しますが、特に20〜40代の働き盛り世代に多く見られます。女性の方が男性よりも発症率が高いとされています。これはホルモンバランスの影響やストレスへの反応の違いが関係していると考えられているのです。近年ではスマートフォンの長時間使用や姿勢の悪化、ストレス社会の影響により、若年層でも増加傾向にあります。日常生活における小さな習慣が積み重なり発症リスクを高めている可能性が指摘されています。

顎関節症が治療できるのはどのようなケースですか?

顎関節症は、適切な治療を行うことで多くの場合に改善が期待できます。特に症状が軽い段階での治療は効果的です。歯並びや噛み合わせの問題が主な原因である場合は矯正治療によって改善することが少なくないでしょう。筋肉の緊張が主な原因の場合は、マウスピースなどで筋肉の緊張を和らげることができます。患者さん自身の協力も治療成功の鍵です。セルフケアや装置の使用に関する歯科医師の指示を守ることで効果的な治療が可能となるのです。

顎関節症が重度の場合マウスピース型矯正での治療は難しいですか?

重度の顎関節症では特に関節円板の高度な転位や変形、骨変化が進行している場合はマウスピース型矯正だけでの治療が難しいことがあります。そのような場合は薬物療法や理学療法、外科的治療などほかの治療法と組み合わせることが必要です。急性期で痛みが強い場合はまず消炎鎮痛薬などによる痛みのコントロールが優先されます。また関節への負担を軽減するための一時的なスプリント療法なども有効です。重度の顎関節症の場合は、歯科医師による詳細な診断と治療計画の立案が重要です。マウスピース型矯正を含む治療法の選択は、症状の程度や原因に基づいて個別に判断されます。

マウスピース型矯正による顎関節症の治療方法と流れ

マウスピースを口に入れる

マウスピース型矯正による顎関節症の治療法を教えてください。

マウスピース型矯正装置クリアアライナー)は、透明なプラスチック素材で作られた取り外し可能な矯正装置です。従来のワイヤー矯正と比べ、見た目が自然で審美的に優れている点が特徴です。顎関節症の治療では、歯並びや噛み合わせを徐々に調整し、顎関節への負担を軽減します。マウスピースは、ナイトガード(スプリント)としての役割も果たし、特に夜間の歯ぎしりや食いしばりを防ぎます。さらに適切な顎の位置を保持することで関節の安定化を促進します。患者さん一人ひとりの口腔内の状態に合わせて設計される点も大きな利点です。マウスピース型矯正装置は3Dスキャンや型取りによって精密に作製されます。治療計画に沿って少しずつ歯を動かし、理想的な咬合状態へ導くのが基本的なアプローチです。通常は2週間ごとに新しいマウスピースに交換しながら治療を進めていきます。

治療の流れを教えてください。

マウスピース型矯正による顎関節症治療の一般的な流れは、まず初診とカウンセリングから始まります。症状の確認と治療方針の説明を行った後、精密検査としてレントゲン撮影や歯科用CT撮影、口腔内スキャン、顎機能検査などを実施し、顎関節症の状態と原因を詳細に分析します。検査結果をもとに個別の治療計画を立て、3Dシミュレーションに基づいて、治療全体で使用する複数のマウスピースを作製するのが一般的な流れです。最初のマウスピースを装着し使用方法の説明を受けます。基本的には、1日20時間以上の装着が推奨され、約1〜2ヶ月ごとに通院し治療の進行状況を確認します。治療完了後も達成した状態を維持するために保定装置の使用が必要です。

治療期間はどの程度になりますか?

マウスピース型矯正による顎関節症の治療期間は症状の程度や原因、個人差によって大きく異なります。一般的には軽度から中等度の症例で6ヶ月〜1年半程度かかります。顎関節症の症状自体は適切な治療により、数週間〜数ヶ月で改善が見られる場合があります。しかし、根本的な原因である咬合の問題を完全に改善するには前述の期間が必要となるケースが少なくありません。また治療完了後も再発防止のための保定期間が重要です。

マウスピース型矯正による顎関節症治療の注意点

マウスピースと女性

マウスピース型矯正での顎関節症治療の注意点を教えてください。

マウスピース型矯正による顎関節症治療には、いくつかの注意点があります。まずすべての症例に適用できるわけではありません。重度の顎関節症や特定のタイプの不正咬合には、適さないケースも少なくありません。効果を得るためには歯科医師の指示どおりに装着時間(通常1日20時間以上)を守ることが不可欠です。治療中に顎の痛みが増したり新たな症状が現れたりした場合はすぐに担当医に相談する必要があります。症状によっては、薬物療法や理学療法、生活習慣の改善などを併用することが望ましい場合もあります。再発防止のために、治療終了後も定期的な検診やナイトガードの使用が推奨されるケースが少なくありません。

治療中の口腔ケアのポイントを教えてください。

マウスピース型矯正中の口腔ケアはとても重要です。マウスピースを装着する前には、歯磨きを行い、食べかすや細菌をしっかり除去することが基本です。専用クリーナーや中性洗剤を使用してマウスピースを定期的に洗浄する必要があります。熱湯や強い洗剤は変形の原因になるため、使用を避けましょう。マウスピース装着中は水以外の飲食を避けることが推奨されます。甘い飲み物やコーヒー、お茶などを飲んだ後は、マウスピースを装着する前に歯を磨きましょう。治療中は3〜4ヶ月に一度程度プロフェッショナルクリーニングを受けることも効果的です。適切な口腔ケアは治療効果を高め、合併症を防止する重要な要素です。

顎関節症によるマウスピース型矯正は保険適用になりますか?

顎関節症の治療におけるマウスピース型矯正は基本的に保険適用外(自由診療)になります矯正治療自体が美容目的とみなされるためです。矯正治療費の内訳は主に次のような項目になります。

  • 初回カウンセリング料
  • 検査・診断料
  • 装置代
  • 調整料
  • 保定装置代

矯正治療の費用は歯科医院によって異なります。軽度の矯正治療費用相場は、600,000〜800,000円(税込)程度です。複雑な矯正治療では800,000~1,100,000円(税込)程度になるケースもあります。ただし、顎関節症の症状が重度で咀嚼や発音などの機能に著しい障害がある場合には、顎口腔機能診断料など一部の検査や処置が保険適用となる可能性があります。治療開始前に大まかな費用の提示があるのでしっかり確認しましょう。

編集部まとめ

問診
顎関節症は日常生活の質を大きく低下させる厄介な症状ですが、適切な治療によって改善が期待できます。

マウスピース型矯正は、特に咬合の問題が原因となる顎関節症に対して有効な治療法の一つです。

目立ちにくく取り外しも可能というメリットがある一方で、症例によっては適用できないケースも存在します。

治療効果を実感するためには、歯科医師の指示を守り適切な口腔ケアを行うことが重要です。

顎の痛みやカクカク音などの症状がある場合は早めに歯科医院を受診し歯科医師による適切な診断と治療を受けることをおすすめします。

顎関節症は、早期に治療を行うほど効果が高いとされています。自分に合った治療法を、歯科医師と相談しながら選択し、健康な顎関節を取り戻すことが大切です。

この記事の監修歯科医師