マウスピースが割れたときの修理費用はどのくらい?マウスピースが割れる理由や割れたときの対処方法も解説します
マウスピースは歯の矯正治療や矯正した後の歯のフォローに使われている器具です。
特にインビザラインという製品を使った透明なマウスピースによる歯の矯正は、ワイヤー矯正に比べて目立たず気軽に行いやすいと、近年人気が高まっている矯正治療です。
しかし長きに渡って毎日装着するマウスピースは、ふとした時に割れてしまうこともあります。
今回はインビザラインを使ったマウスピース矯正やリテーナー使用時に割れてしまった場合の対処方法についてご紹介しましょう。
修理に掛かる費用の目安も合わせて記載しますので、ぜひ参考にしてみてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
マウスピースが割れた場合はどうしたらいいの?
矯正用マウスピースが壊れてしまうと、そのまま使用していいものかどうか迷う患者さんもいらっしゃると思います。
破損が起こった箇所やシーンにもよりますが、修理を考えたほうがいいでしょう。
まずは、矯正用マウスピースの修理にかかる費用について紹介します。
修理費用はどのくらい必要?
矯正用マウスピースが壊れたり割れてしまったりした場合は、そのマウスピースを修理するか、または新しく作り直すという2つの選択肢があります。
それぞれの費用を紹介しますが、矯正用マウスピースの中には、修理費用を補償するタイプの商品もあります。
その場合、無料で修理ができる場合もありますので、まずは矯正用マウスピースの契約書や担当医に話を聞いてみるといいでしょう。
修理する場合
矯正用マウスピースの端などに少しヒビが入ってしまった場合は、その部分を研磨するなどの種類を施してそのまま同じものを使用できるケースがあります。
修理費用の目安は3000円~1万円ほどです。
少し欠けた・ヒビが入った程度ではそのまま使用を続けても良いと思う方もいるかもしれませんが、マウスピースの欠けやヒビは放っておくとダメージが酷くなり、割れてしまうこともあります。
その場合は作り直しとなり、費用も高くなりますので、早めの修理とメンテナンスを心掛けましょう。
作り直す場合
矯正用マウスピースが何らかの理由で割れてしまうなどの破損が起こった場合は、新しいものを作り直す必要があります。
矯正用マウスピースを1枚だけ作り直す時の費用は、1万円程度が目安です。
さらに新しい矯正用マウスピースを作る時は1カ月ほどの時間を要しますので、その期間治療が遅れるおそれもあります。
矯正用マウスピースの修理期間中は以前や今後のマウスピースを使うという方法もありますが、できる限り予め決めた治療計画に沿ったマウスピースを使用することが望ましいです。
マウスピースが割れる理由
矯正用マウスピースが割れてしまう原因には、実際に使用している時のトラブルや保管時の事故など、様々なものが挙げられます。
矯正用マウスピースが割れてしまいやすい使い方やシーンを理解して、できる限り破損がないようにしましょう。
歯並びの影響
元の歯の並びの凹凸が顕著な方は、矯正用マウスピースを取り外す時にピースが歯に引っ掛かりやすく、無理に引っ張ると割れてしまうおそれがあります。
矯正用マウスピースは付け外し時が一番割れやすいタイミングです。特に外す時、片手で片側からグイッと引きはがしてしまうと危険です。
外す時は奥歯の内側から先に、丁寧に取っていきましょう。
また装着する時は前歯から奥歯にかけてゆっくりと押していきます。その後、アライナーチューイというシリコンゴムでできた細長いロールを噛みながら、しっかりとピースをはめていきます。
1日に何度も付け外しが必要ですが面倒に思わず、矯正用マウスピースは両手で丁寧に扱いましょう。
適切な装着ができていない
矯正用マウスピースを医師の指導に従わず自己流で装着してしまったり、痛みがあるからとずらして付けてしまったりした場合は、ピースの破損の危険性が高まります。
また近頃、医師の指導なく、直接矯正用マウスピースを購入し自宅で装着しているケースがよく見られます。
専門家の検査・分析、治療経過を疎かにした矯正用マウスピースの使用はピースの破損だけでなく、ご自身の歯の健康も損ねるリスクがあるため危険です。
矯正用マウスピースを使用する際は、必ず医療機器として認められた商品を、歯科医の指導のもと使用するようにしてください。
歯ぎしりや食いしばり
矯正用マウスピースは無理な力を加えるとヒビが入ったり、割れたりしてしまいます。
無意識のうちに歯を食いしばり、就寝中に歯ぎしりをする方はそれが原因で矯正用マウスピースが割れてしまうケースがあります。
もし歯ぎしり・食いしばりのクセがあることを自覚されている方が矯正用マウスピースを使用する場合は、はじめに歯科医と相談することが大切です。
なお、矯正用マウスピースを付けて物を食べるのもNGとなっています。
矯正用マウスピースを付けたままの食事は矯正用マウスピースの破損を招くのはもちろん、ピースと歯のすき間に汚れが溜まってむし歯の原因になったり、ピースの着色汚れを招いたりします。
マウスピースが割れたときの対処方法
実際に矯正用マウスピースが割れて使えなくなってしまった場合は、どんな対処方法があるでしょうか。
ここでは矯正用マウスピースが割れたらすぐ行動したい手順を説明します。
歯科医に連絡して指示を仰ぐ
矯正用マウスピースが割れてしまったら、まずは一度掛かり付けの歯科医へアドバイスを求めましょう。
破損してしまった矯正用マウスピースを持って相談するのが一番ですが、まずは電話でも色々なアドバイスをもらえるでしょう。
ひとつ前のものを使う
矯正用マウスピースは通常で40枚~60枚ほどを2週間ずつ使用していきます。
もし現在使用している矯正用マウスピースが破損してしまい、すぐ病院に行く時間が取れない時は、とりあえずひとつ前に使っていたものを使うのも1つの手です。
使い終わった矯正用マウスピースはすぐ破棄せず、もしものために取っておくことも大切です。
次のマウスピースを使う
現状使っている矯正用マウスピースが破損した時に、次に使う予定のマウスピースを先に使用するのも1つの方法です。
ただし1つ先の矯正用マウスピースを使うということは、もう1段階進んだ矯正を歯に行うことを意味します。
特に矯正を始めた頃はしっかりと経過観察をしながら矯正を行わないと、痛みなどを引き起こす可能性があります。
1つ先の矯正用マウスピースを使うにしても、1つ前に戻すにしても、一度掛かり付けの歯科医の指導を仰ぐのが安心でしょう。
マウスピースが割れた場合にやってはいけないこと
使用中の矯正用マウスピースが割れてしまった時は、まず掛かり付けの歯科医に相談することがおすすめです。
自己判断で間違った選択をしてしまい、適切な処置が取られないと、ご自身の歯を傷める可能性もあります。
さらに誤った形で矯正用マウスピースを使用すると、当初の矯正シミュレーションから歯の形が変わってしまい、残りのマウスピースをすべて作り直しせざるを得ないこともあります。
矯正用マウスピース破損時のよくあるNG行動について説明しましょう。
割れたまま使う
修理費用が心配、もしくは時間がないなどの理由で、矯正用マウスピースが割れてしまったにも関わらずそのまま使用を続けるケースです。
矯正用マウスピースのヒビや割れは、マウスピース本来の形が崩れてしまったことを意味します。これをそのまま使用し続けることは、歯列を誤った形で保定しかねず危険です。
破損した矯正用マウスピースは使用をせず、まずは歯科医に相談のうえ、修理・作り直しや1つ前・1つ後のマウスピースを代わりに使うことなどを検討してください。
自分で修理する
修理費がもったいないからと自分で矯正用マウスピースをくっつけるなどの修理を行うことは絶対にNGです。
矯正用マウスピースを使った矯正計画は、歯科医が検査・指導のもと入念にシミュレーションされています。
矯正用マウスピースを自分で修理すると形が変わってしまい、それにより歯列も当初とは違う形に保定されてしまいますので、気を付けましょう。
マウスピースを割らないために気をつけたいこと
これまでに矯正用マウスピースが割れる原因や、間違った対処法を紹介してきました。
最後に、どうすれば矯正用マウスピースを破損せずに正しく使用できるのか、そのコツを3つご紹介します。
正しい着脱方法を守る
1日に20時間以上付けることが必要な矯正用マウスピースですが、食事や歯磨き時には取り外すことを考えると、1日に3~6回は着脱が必要です。
矯正用マウスピースが最も破損しやすいのは、着脱時です。無理な力を加えて歯にはめようとしたり、無理やり取り外したりすると歯に引っかかって割れる可能性があります。
着脱時は両手でしっかりと矯正用マウスピースを支え、ゆっくり丁寧に行いましょう。
外したときはケースで保管する
インビザラインには、赤と青の2つのケースが付いてきます。
矯正用マウスピースを使わない時にはこのケースに入れて保管しておくと、うっかり踏んでしまったり、上に物を置いてしまったりして壊す事故を防げます。
2つケースがあるので、もう1つのケースには1つ前に使っていた矯正用マウスピースを入れて保管しておくと、万一破損した時にもすぐ代わりが見つかり安心です。
歯のケアをする
矯正用マウスピースを使用している期間は、むし歯になりやすいので注意が必要です。
むし歯などで歯にすき間ができて物が挟まっていたり、歯が欠けたりしてしまうと、そこに矯正用マウスピースが引っかかって破損しかねません。
矯正用マウスピースで歯列を矯正するのですから、歯も美しく保ちたいですね。
矯正期間中は歯ブラシだけでなく、歯間ブラシなども使いながら、しっかりと歯磨きを行いましょう。
マウスピースが割れた場合は早めに修理しよう
矯正用マウスピースは手軽さが人気の矯正器具ですが、長時間正しく装着することが大事です。
もし何らかの理由で矯正用マウスピースが破損してしまった場合は、早めに担当歯科医に相談し、修理・作り直しや1つ前・1つ後のマウスピースを使うようにしましょう。
自己判断で破損したものを使い続けたり、勝手に修理したりすると歯列が歪んでしまい、後に使うマウスピースすべてが作り直しということにもなりかねません。
矯正用マウスピースはたくさんのマウスピースを使い、歯科医が定期的に検査・チェックしながら進めていく矯正治療です。
破損などトラブルが起こった時も、すぐ歯科医にアドバイスを求め、今後のプランを提案してもらうことをおすすめします。
編集部まとめ
矯正用マウスピースが破損する原因は、取り扱いが間違っている・歯ぎしりや食いしばりなどのクセがあるなど様々です。
時にはむし歯などで歯が悪くなっていることが原因であることもあります。
破損した時は担当歯科医に相談し、矯正用マウスピースの修理や作り直しを行うだけでなく、破損した原因について検査や指導も求めましょう。
矯正用マウスピースは長期に渡る治療です。矯正用マウスピースが割れた・ヒビが入ったなどのトラブルが起こった場合、その対処だけでなく原因についても診てもらうと安心でしょう。
参考文献