マウスピースをケースに仕舞うときの注意点|マウスピースケースの保管方法・選び方・買える場所も解説
近年、あごの細い人が増えたことから、歯科矯正への感心が高まっています。中でもマウスピース矯正はお手軽な費用と無理のない期間だと注目を集めています。
マウスピース矯正に関する記事が増える一方で、保管するケースについての情報が少ないのが現状です。
そこで、当記事ではマウスピース矯正の名脇役である保存用ケースについて解説します。
ぜひ、最後までご覧ください。
監修歯科医師:
若林 健史(若林歯科医院)
目次 -INDEX-
マウスピースケースは矯正治療の必需品!
近年、マウスピースが歯科矯正に用いられるなど、口腔内の環境を整えるために必要なアイテムとして認識されてきました。歯科矯正の一環として、咬合異常や痛みを改善を行う場合は、長期間装着することが必要とされています。
そのため、マウスピースを使用する人にとって、ケースも必須となりました。ケースは、マウスピースを保管して、清潔を保つためのアイテムです。
ケースのおかげで、患者はセルフでマウスピースの脱着が可能になり、装着時間を延長できる様になりました。
具体例を紹介します。上下の嚙み合わせの合っていない患者に歯科医師が矯正用のマウスピースを作成した例です。
そのマウスピースを患者に装着させると同時に、ケースに入れて保管するように指導しました。これにより患者は、睡眠中や食事後にマウスピースを装着できる様になったのです。
結果的に上下の嚙み合わせが改善したのでした。
変形・破損を防ぐ
マウスピースのケースは、マウスピースを保管するアイテムです。同時に変形や破損事故からマウスピースを守っています。
患者はマウスピースを装着したまま外出や食事はできません。取り外した際には、保管する必要があります。
そこでケースを活用するのです。マウスピースを収納することができるため、汚れや破損から守ります。
紛失防止
マウスピースのケースは、マウスピースを保管することで、マウスピースの紛失防止に一役買っています。マウスピースは患者が口に装着したまま外出や食事ができないという性質上、取り外した際に保管が必要です。
マウスピースの様なアイテムは移動時に紛失しがちですが、ケースがあることで、紛失のリスクを軽減しています。マウスピースケースのおかげで、患者は常にマウスピースを持ち運ぶことができる様になりました。
そのため、マウスピースを装着する時間を確保しやすく、結果、効率のよい治療が実現したのです。
補助のマウスピースの保管
マウスピースのケースを用いると、予備のマウスピースを保管できます。マウスピースは装着していると、汚れたり破損したりすることがあるのです。
その場合に備えて予備のマウスピースを保有しておく必要があります。そして、装着中のマウスピースが使えなくなった場合に、素早く予備と切り変えることができるのです。
マウスピースのケースに予備を保管しておくことで、切り替えをスムーズに行うことができます。患者にとって予備を持ち歩くことは、余裕ができて安心します。
結果的に装着時間を確保することができるため、効率の良い治療となるのです。
マウスピースをケースに仕舞うときの注意点
マウスピースをケースに仕舞う場合の注意点を紹介します。主に次の3つの点に注意してください。
- 完全に乾燥させる
- 正しく収納する
- ケース自体を適切な場所に保管する
マウスピースが完全に乾燥しておらず、湿った状態であれば、ケースないの雑菌が繫殖しやすくなります。マウスピースが早く劣化する可能性があるほか、衛生的にもよくありません。
また、正しく収納できているかどうかも重要です。マウスピースは湾曲した部分を上にして、まっすぐな部分を下にして収納します。
何よりもマウスピースの入ったケースは適切な場所に保管してください。子供やペットがいたずらすることを防ぐためです。
マウスピースを洗浄する
マウスピースを洗浄すると細菌や汚れを除去することができます。マウスピースを取り外すと、口の中の雑菌が付着した状態です。
これは仕方のないことで、避けられません。洗浄剤を使用して汚れを落とし、清潔な水で洗い流し、乾燥させる必要があります。
また、蒸気で蒸すことで高温殺菌を行うことも可能です。洗浄剤を使用して洗浄する場合の例を紹介します。
洗剤を適量取り、マウスピースに付けてください。少し時間を置いてからブラシで汚れを落とす様に洗浄します。次に水でよく洗い流し、乾燥させることで完了です。
蒸気で蒸す場合は、蒸気をかける専用の装置が用いられます。高温で殺菌したのち、水気をふき取ってから乾燥させてください。いずれの方法においても、マウスピースを十分乾燥させることは重要です。
マウスピースの水気を切る
マウスピースの水気を切ることは重要です。水は生物の起源といわれています。生物は水中の単細胞が誕生したことから始まり、そして雑菌を含めて全ての生き物を育ててきました。
言い換えると水は雑菌を含んでいるといえます。つまり、雑菌の温床となる水気は、物を劣化させやすいということです。
マウスピースの水気を切ることは、マウスピースを雑菌から守ることに繋がります。水気を切ることで雑菌が繁殖しにくくなるからです。
具体的な方法としては、洗浄したマウスピースを清潔な布やタオルなどで拭いて水気を取り除いてください。乾燥機があれば、それを使用することもできます。
ただし、乾燥機によっては高温になる場合があります。マウスピースの素材の耐熱温度をあらかじめ確認してください。完全に水気を切ることで、マウスピースの耐久性が低下することを防ぎます。
結果、菌やカビの育ちにくい環境を作ることができ、長持ちするのです。ただし、マウスピースを短期的に使用する場合であれば、無理に水気を切ることにこだわる必要はありません。
マウスピースケースの保管方法
マウスピースケースの保管方法を紹介します。マウスピースを使用している患者は、保管する環境を整える必要があるのです。理由は様々あります。
まずは、洗浄後の水気を切ったマウスピースを乾燥させてケースに収納し、清潔な状態を保ってください。そしてそのマウスピースが収納されたケースを正しい保管場所で管理しましょう。
例えば、高温になる場所に保管してしまうと、マウスピースケースを通してマウスピースに熱が加わり、変形する恐れがあります。一方、湿気の多い場所では、せっかく乾燥したにも関わらず、再度、雑菌を繁殖させてしまう恐れがあるのです。
マウスピースを長期使用する場合、保管方法は非常に重要です。しっかりと意識してください。
直射日光・高温を避ける
マウスピースの保管は直射日光・高温を避けてください。直射日光には紫外線が含まれるため、樹脂の劣化のスピードが著しくなります。
また、高温になることで、マウスピースが変形する可能性が高まるのです。マウスピースを保管する環境を整えることは、非常に重要なポイントといえます。
一般的には冷暗所と呼ばれる場所が理想です。例えば納戸やパントリー、洗面台の収納スペースもおすすめします。特に洗面台では歯磨きなどの作業と一連で行うことができます。
このとき、日が当たらないとはいえ、影のある場所での保管はおすすめしません。時間が経過して太陽の位置が変化した場合に、直接日光が当たる可能性があるからです。
どうしても最適な保管場所が見つからない場合は、冷蔵庫に保管することも可能です。保管環境によっては、マウスピースの耐久性が低下します。
長期使用する場合は適切な保管環境を選択することが重要です。
小さなお子さん・ペットの手が届かない場所へ
マウスピースを小さなお子さん・ペットの手が届かない場所へ保管することも忘れてはいけません。小さなお子さん・ペットがいたずらすることを防ぐためにも、高い位置・手の届かない場所を選択してください。
例えば、棚や箪笥の上、鍵付きの保管箱などがおすすめです。小さなお子さんやペットが触った場合には、マウスピースが壊れたり、汚れたりします。注意してください。
気づかないうちに雑菌が繁殖してしまい、マウスピースの耐久性が低下すると、長期使用できません。保存環境を整えることは非常に重要といえます。
マウスピースケースの選び方
マウスピースケースを選ぶにもちょっとしたコツがあるため、紹介します。具体的にはマウスピースのサイズに合わせる、清潔に保管するための機能を持つ、などのポイントです。。
例えば、マウスピースのサイズに合ったケースが同時に販売されていることもあります。マウスピースとセットで購入しましょう。
長期保管する場合は、ケースを選ぶ方法も紹介します。
例えば、ケースに空気の通り穴があり通気性のよい仕様であるなどです。乾燥剤を入れて湿気を吸収できる仕様もおすすめです。
この様におおげさにいうとマウスピースケースの選び方次第で、マウスピースの耐久性が変化します。長期使用する方であれば、意識してマウスピースケースを選んでください。
鏡付きは脱着時に便利
マウスピースケースを機能で選ぶポイントのひとつに、ケースに鏡が付いていることが挙げられます。鏡が付いていることで、マウスピースを装着する際に、鏡を使用することができるからです。
装着時の微調整も鏡を見ながら確認できます。また、人前に立つ直前にマウスピースの装着状況を鏡で確認することも可能です。
ケースに鏡がついているだけで、便利になるため、おすすめします。
携帯用は薄め・小さめ
携帯用のマウスピースのケースを選ぶ場合は、薄め・小さめなど、サイズを基準に選ぶとよいでしょう。ケースが薄くスリムなデザインであれば、カバンのサイドポケットなどに入れやすく、持ち運びに便利です。
ただし、厚めや大きめのケースは、よくないというわけではありません。スリムなケースは持ち運びに便利ですが、鏡が付いていないなど、機能面では劣ります。マウスピースの使用状況に応じて、ケースを選択してください。
自宅用は水切り付きが吉
自宅で使用する場合、水切り機能が充実したケースを選んだ方が吉です。水切り付きのマウスピースケースには、水切り台が付いています。マウスピースを洗浄した後に水を切って乾燥させることが可能です。
水切り台は、シリコンやプラスチック素材でできています。耐久性が高くて丈夫です。水切り付きのマウスピースケースが販売されている一方で、水切り台を後付けできるタイプもあります。
使用状況に併せてケースを選びましょう。重要なことは、マウスピースを乾燥させて収納することです。適切に保管することで、腐敗やカビの発生を防ぐことができます。
マウスピースケースが買える場所
マウスピースケースが買える場所は様々あります。医療用に限らず、スポーツ用のマウスピースも存在するからです。この様に、医療用のマウスピースをスポーツ用のケースに入れても問題ありません。
スポーツ用のケースであればデザインに優れているため、おすすめします。ただし、乾燥などの機能面には注意してください。
店頭で実物を見て選ぶこともできますが、インターネットショップも多く、Amazonや楽天などの大手ECサイトでも、購入は可能です。
これらのECサイトであれば、家にいながら購入することができます。また、例外として木工などDIYの道具とスキルがあれば、自作してもよいでしょう。
デンタルケア用品のショップ
歯ブラシや歯磨き粉などの歯磨き関連商品を扱うデンタルケア用品のショップでもマウスピースケースを取り扱っています。しかも専門店ですから、衛生面など、機能も充実しているのです。
また、この様なショップはデンタルケア専門のオンラインショップを併設していることもあります。オンラインでは、商品カテゴリーとしてマウスピースケースが分類されている場合があり、種類の多さが魅力的です。
オンラインショップは事前に比較検討できるため、お勧めします。
インターネット
マウスピースを収納するケースであれば、Amazon・楽天などの大手ECサイトで、マウスピースのケースを販売している場合があります。ECサイトであれば、多くのメーカーから出品・販売されており、豊富な品揃えが魅力的です。
ですが、ネットの購入に際してはいくつかの注意点があります。パソコンやスマートフォンの画面を通して購入するため、サイズに注意してください。
また、色が選択できない商品や、送料や返品についての条件が異なります。購入前に必ずサイトポリシーを確認しましょう。
100均
マウスピースケースを購入する意外な穴場として100均(百円ショップ)があります。100円ですが、意外と様々な種類をそろえている店舗も存在するのです。
軽くて丈夫で、持ち運びに便利なプラスチック製のハードケース。EVA素材でできた衝撃を吸収するソフトケース。防水素材のケース。
いずれも100均ならではの低価格で、品揃えも豊富です。また、100円であれば、装飾を追加するなどの、アレンジもしやすくなります。
マウスピースケースの代用方法
マウスピースケースを手軽に購入できる一方、代用することも可能です。例えばアルミホイルや、サランラップで包装する方法があります。
他にもジッパー付きの袋・チャック付きの袋・水切り袋なども可能です。ただし、どの方法についても衛生面の問題があります。マウスピースを長期使用する場合は、専用ケースの購入をおすすめします。
外出中にマウスピースを外すときは?
外出先でマウスピースを外すとき、注意点があるため、いくつか紹介したいと思います。マウスピースを外すと音がでます。人が多い場所では、外しにくい場合があり、注意が必要です。
他にも外出中の目的によっては、マウスピースを外さない方が好ましい場合があります。例えば、仕事中の会食などビジネスマナーに沿った場合は、マウスピースを使用しない方がよいでしょう。
マウスピースをテーブルに置くのはマナー違反
外出中に外したマウスピースを、飲食店のテーブルなどに置くことは一般的にはマナー違反とされています。口から出したマウスピースには、汚れや細菌が付着している前提で扱われているからです。
そのため、他人が使うテーブルに置いてしまうと、衛生上の問題が生じるほか、相手が不快に感じる可能性があります。
外出先でのマウスピースは、専用のケースや袋に保管しましょう。飲食店によっては、マウスピースの使用自体を禁止している場合もあるため、確認してください。
付け外しは人目のない場所で
矯正マウスピースの付け外しは、人目のない場所で行うことが求められます。矯正マウスピースを使用している患者の多くは、使用していることを隠したいと考えています。
人目のない場所で付け外しをすることで、周りに気にされることもありません。矯正マウスピースは歯並びの矯正をするために使用します。矯正マウスピースを付け外しする際には、専用のケースや袋などに収納し、周りに配慮しましょう。
マウスピースの洗浄方法
マウスピースの洗浄方法には、以下の方法があります。
- 手洗い
- ソフトブラシ
- 消毒液
マウスピースを温水で洗って、手洗いします。指が入らない部分は歯ブラシを使用しても問題ありません。
洗浄後は、水気をきって乾燥させます。歯ブラシでも落ちない細かい汚れが付着している場合は、ソフトブラシを使用して、汚れを取り除いてください。
消毒液を使用して、細菌やウイルスを殺菌消毒することも可能です。自宅で洗浄する場合は、温水、洗剤、ブラシを使用することが一般的といえます。
基本は水洗い
マウスピースの基本は水洗いです。水洗いは、マウスピースに付着した汚れや細菌を取り除くために有効な手段といえます。冬場であれば温水に切り替えても問題ありません。柔らかいブラシと洗浄剤を使用して、汚れを取り除いてください。
洗浄後は、水気をきってよく乾燥させることが重要です。水洗いは、定期的に行ってください。マウスピースの品質を維持し、長持ちさせることができます。
汚れが気になるときは洗浄液・ブラシを使う
マウスピースの汚れが気になる場合には、洗浄液やブラシを使用してください。特に細かい汚れや細菌が付着している場合は、洗浄液とブラシの併用が有効です。
洗浄液は、マウスピース専用をおすすめしますが、台所用漂白剤につけ置きするのも手軽に洗浄できます。洗浄後は流水でよく流してください。漂白剤の成分が残っていると、腹痛を発症する可能性があります。
ブラシの使用方法は、汚れが付着している部分を直接磨いてください。これで汚れを取り除くことができます。マウスピースを洗浄してもまだ終わりではありません。
ブラシの洗浄も行ってください。なぜなら、汚れているブラシでマウスピースを洗浄しても意味がないからです。
ブラシを洗浄液で濡らしてください。汚れが付着していれば指で取り除きます。細かくて取れない場合は、つまようじなど、とがったもので取り除きましょう。
洗浄後は、水気をきってよく乾燥させてください。
洗浄後はティッシュなどで水気を拭う
また、乾燥にかかる時間を短縮したいのであれば、マウスピースの洗浄後はティッシュなどで水気を拭うことも有効です。水分を含んだ状態でマウスピースを保管すると、雑菌が繁殖する可能性があります。
歯科矯正のツールで口腔トラブルを招いてしまうと本末転倒です。洗浄後は、ティッシュや不織布などで水気を拭いてからケースなどに保管しましょう。
手で水気を拭き取ることは、手の油分や皮脂などが付着する可能性があるため、おすすめできません。十分な時間をかけて自然乾燥させるか、ティッシュなどで拭き取るようにしましょう。
マウスピースはケースで適切に保管しよう
最後にケースを用いてマウスピースを適切に保管すべき理由と具体的な方法を紹介します。マウスピースを適切に保管するためには、以下のようなことが重要です。
- 適切なサイズのケースを選ぶ
- 十分に乾燥させる
- ケースを開けなくても通気性に優れている
- 保存環境に注意する
ケースが小さすぎる場合は、そもそもマウスピースを保管できません。大きすぎる場合も、移動中にマウスピースが中で暴れます。
傷が付く恐れがあるため、適切なサイズのケースを選んでください。次に収納する前にティッシュ・不織布・脱脂綿などで拭き取りましょう。
乾燥していても大丈夫です。汚れやほこりを除去した上で、乾燥状態を維持できます。
また、風通しをよくするためにケースを開けたままにすると、ホコリなどが入る恐れがあります。ケースを閉じたままでも空気がこもらないケースを選びましょう。
保存環境に気を配り、湿気や室温に注意するだけで、マウスピースを長持ちさせることができます。ぜひ、実践してください。
編集部まとめ
当記事では、マウスピースのケースをピックアップして注意点などを解説しました。ケースの重要性は何となく理解していたと思います。しかし、掘り下げてみるとマウスピースの寿命に影響するなんて、意外に思われた方もいらっしゃると思います。
マウスピースケースの役割は3つです。
- 変形・破損を防ぐ
- 紛失防止
- 予備の保管
保管の際の注意点は以下の3つとなります。
- 完全に乾燥させる
- 正しく収納する
- ケース自体を適切な場所に保管する
そして、保管方法については直射日光を避けて冷暗所で保管してください。その際、子供やペットの手が届かない場所がおすすめです。まったく思いつかない場合は、冷蔵庫に保管してください。
マウスピース用のケースは、鏡が付いている機能性の高いものからオシャレ・カッコイイなどデザイン性の高いものまで、幅広く市販されています。実店舗・ECサイト・100均などでも購入が可能です。
洗浄方法については、洗浄液やブラシを使用して、よく乾かしてください。水分が残ったままでは、返って雑菌が繁殖します。
マウスピースケースの意外な存在価値についてお伝えしました。この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。最後までご覧頂きありがとうございました。
参考文献