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歯科矯正に医療費控除は適用される?対象となる治療やいくらまで受けられるのか詳しく解説します

 公開日:2023/06/08
治療する医師と歯科衛生士

歯科治療の中で、歯科矯正は保険適用外であるため高額な費用がかかる治療です。決して安くはない費用ですが、治療目的によっては医療費控除の対象となることもあります。

医療費控除を活用できれば、控除の対象となり結果的に治療費を軽減できるでしょう。

そこでこの記事では歯科矯正の医療費控除について、対象となる治療やどのくらい控除できるかなど詳しく解説します。

歯科矯正を検討しており、高額な費用で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

古田 博久

監修歯科医師
古田 博久(歯科医師)

歯科矯正に医療費控除は適用される?

考える女性
歯科矯正の費用であればどんな場合でも医療費控除の対象となるわけではありません。
医療費控除を適用できるポイントはその歯科矯正が審美目的ではなく歯並びの悪さが原因で発音や咀嚼に影響を与えており、それらの機能回復のための治療かどうかという点です。

歯科矯正の医療費控除の対象

マウスピース矯正
医療費控除の適用の対象になるかどうか判断するのは治療を受ける患者さんではなく、治療をする歯科医師です。
歯科矯正は年齢・治療目的によって異なるため、全て医療費控除の対象となるわけではありません。ここでは歯科矯正の医療費控除の適用対象となる事例について説明します。

子供の歯科矯正の場合

笑顔の男の子
子供の歯科矯正は見た目をきれいにするというより咀嚼・発音・顎関節の発育などを治療する目的の場合が多いです。
そのため医療費控除が受けられる可能性が高いでしょう。子供の場合でも審美目的の歯科矯正であれば医療費控除の適用対象外となります。

大人の歯科矯正の場合

男性医師
大人の歯科矯正は見た目をきれいにするためにおこなうことが多いです。審美目的の歯科矯正は医療費控除の対象外となります。
それでは大人の歯科矯正で医療費控除の対象となるのはどういった場合なのでしょうか。
大人の場合は「重度の出っ歯や歯並びが著しく悪く食べ物を嚙み切れない」「受け口・開咬などで発音が不明瞭」など医療目的の場合は医療費控除の対象になります。
しかし、各人で症状がさまざまなため医療費控除が認められる明確な線引きが難しいといえます。そのため実際に治療に入る前に歯科医師と相談し、医療費控除の対象になるか確認しましょう。
すでに歯科矯正をしていて、ご自身のケースが医療費控除の対象になるか不明な場合も、歯科医師や医療スタッフまで問い合わせてみましょう。

機能回復目的の治療の場合

上述で説明した「歯並びが悪く食べ物が嚙み切れない」「受け口・開咬などで発音が不明瞭」などは歯が正しく機能している状態ではありません。
そのため、機能的な問題も医療費控除の対象になります。
矯正をすることで正しい位置に歯を並べ、噛み切る・正しく発音できるといった機能を回復させます。
しかし機能的回復目的で治療は、見た目を直したい理由から分かるケースが多いです。「見た目」に悩んで受診し検査をしたら、医学的に治療が必要な状態の場合があります。
見た目以外にも機能回復も望めるため、どのような状態であるか一度歯科医院へ受診するとよいでしょう。

歯科矯正の医療費控除で対象外となるもの

バツのプラカード
これまで医療費控除の対象となる事例について説明してきました。ここでは医療費控除の対象とならない事例について説明します。
医療費控除が適用されると思い治療を始めても適用対象外であったため、医療費控除が受けられなければ損をした気持ちになります。
ここでご紹介する医療費控除の適用対象外の事例を把握し、治療の検討に役立ててください。

予防や健康のための医薬品は対象外

医療費控除の適用対象外となるものに、「ビタミン剤など病気の予防や健康増進のための医薬品」があります。
例えば、歯茎の状態を維持するためにビタミン剤を服用している場合は、医療費控除の対象外です。しかし、歯科医師が処方している場合は医療費控除の対象となります。
歯科矯正と直接的に関係しているものはありませんが、「予防目的のクリーニング」「歯ブラシ等のケア用品の費用」といったものは医療費控除の対象外となるので覚えておきましょう。

見た目の治療も対象外

上述でも説明してきましたが、審美目的の医療費は控除できません。具体的には「機能回復目的でない歯列矯正」「歯のホワイトニングといった見た目の改善を目的とした歯科治療は対象外です。
ただ医療費控除の対象となるかどうかは治療をする医師が判断し、税務署が最終判断をします。そのため当初は見た目改善の目的で受診したとしても、検査結果によっては治療が必要な症状があったため医療費控除対象となることがあります。
見た目の改善のために歯科矯正を検討しているとしても、一度歯科医院で受診し適用対象かどうか医師と相談し確認してみましょう。

歯科矯正の医療費控除が受けられるのはいくら?

ビジネスマン
ここからは、歯科矯正の医療費で控除を受けられるのはいくらなのかということを説明します。
医療費控除とは上限200万円として1年間で支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告をおこなうことで超過分について所得控除を受けられる制度です。
ただし年間の総所得が200万円未満の場合は、所得の5%の金額から利用可能です。例えば年間所得が180万円であれば5%の9万円以上の医療費がかかった場合となります。
またこの医療費は生計を一にする家族分の合計で見積もられます。つまり生計費を共有する家族分の医療費を含めて10万円か、一定の金額を超えていれば医療費控除が適用され税金が安くなるのです。

そもそも医療費控除の医療費とは?

考える女性
これまで医療費控除の対象となる事例についてご紹介しましたが、そもそも医療費控除の医療費とはどのような費用が対象なのでしょうか。
歯科矯正の場合、以下の費用が医療費控除の医療費になります。

  • 分割払いした歯科矯正治療費
  • 検査費用
  • 診察料
  • 装置費用
  • 処方された医薬品費用
  • 通院のための交通費

分割払いした歯科矯正治療費

歯科医院の分割払いやデンタルローンを使用した場合、医療費控除の対象となります。歯科医院独自の分割払いを使用した場合はその年に払った分が医療費控除の対象です。
デンタルローンを使用した場合は信販会社が矯正費用を一度立て替えるかたちになりますので、ローンを契約した年に医療費控除として申告できます。
しかしデンタルローンにかかった金利や手数料は医療費控除の対象外になりますので注意が必要です。

検査費用

歯科医院でおこなった検査費用についても医療費控除の対象です。
歯科矯正治療を始める前に、歯列や嚙み合わせ等について検査をしますが、その検査費用について医療費控除の計算に入れ忘れる場合がありますので覚えておきましょう。

診察料

前述した検査費用以外にも、診察料についても医療費控除の医療費として計算できます。
こちらも歯科矯正の治療をおこなう上で必ず発生する費用になるため、忘れずに費用計算するようにしましょう。

装置費用

矯正装置にかかる費用についても医療費控除の医療費として計算できます。例えば矯正器具の調整量や処置料などが該当します。
矯正装置は定期的に点検や調整をおこないますので、歯科矯正治療をおこなう上で必ず発生する費用ですのでこちらも忘れないようにしましょう。

処方された医薬品費用

歯科矯正の治療に必要な処方された医薬品の費用も同じく医療費として計算できます。
予防や健康増進のための医薬品は医療費控除の対象外ですが、治療に必要な処方された医薬品費は医療費控除の対象になります。
処方された医薬品を購入した領収書は必ず保管しましょう。

通院のための交通費

歯科医院まで公共交通機関等を使って行く場合は、交通費も医療控除の対象です。そのため、通院が困難の場合はタクシー代金が認められることもあります。
しかし、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は医療控除の対象にならないため注意が必要です。

歯科矯正の医療費控除の手続き

医療費控除の明細書と電卓
どのような費用が医療費控除の対象になるかご理解できたと思います。それでは実際に歯科矯正医療費控除の手続きについて説明したいと思います。
医療費控除の手続きは確定申告の際におこないます。確定申告をする年の前年の1月1日から12月31日までに使った医療費の合計を計算しましょう。
この際申請者本人だけではなく同一生計の家族全員の医療費を一緒に処理できます。
次に医療費控除額を計算します。医療費控除額は先ほど計算した支払った医療費から保険金等で補填される金額を引き、そこから10万円または所得額の5%を引いた金額です。
10万円または所得額の5%はどちらか少ない額を控除します。
医療費控除額が計算できましたら、所得税率を確認しましょう。所得税率とは課税所得によって異なります。
課税所得は給与所得控除後の金額から所得控除の合計を引いた金額です。課税所得と税率の関係は国税庁のホームページの「所得税の速算表」で確認できます。
最後に還付金を計算します。医療費控除額に所得税率を掛けた金額が還付されます。還付金の処理ですが所得税の場合は確定申告の際に申告し数か月後にご指定銀行口座に振り込まれ、住民税はその年の分が調整されます。

申請に必要な書類

医療費控除の申請時に確定申告書の他にも提出しなければならない書類がありますので、忘れずに準備しましょう。
まず、医療費控除の明細書(集計表)です。1年間の医療費の内訳を記載した明細書で国税庁のホームページから入手できます。
他にも歯科矯正の診断書やローンで支払う場合はローン契約書などが必要になります。
他にも医療費を計算する時に領収書やレシートが必要になるので、治療後にレシートや領収書を受け取ったら保管しましょう。申告時期になって慌てて探すことのないようにしましょう。
次に本人確認書類を準備しましょう。確定申告書を提出する際に提示を求められます。マイナンバーカードをお持ちでない方はマイナンバーが分かる書類と運転免許証などの身分確認書類の2つが必要になります。
給与所得者で年末調整をした方は源泉徴収票が必要になります。勤務先から発行された源泉徴収票の原本を準備しましょう。

給与所得者の場合

企業に勤めている方は税金が給与から天引きされている場合がほとんどでしょう。そのため年末に行う年末調整で税金から引かれる金額を調整して、その分だけお金が手元に戻ります。
しかし医療費控除は年末調整に含まれませんので、ご自身で確定申告を行わなければなりません。確定申告書は国税庁のホームページから作成可能です。
勤務先で配られる源泉徴収票をもとに申告書に記入します。医療費控除の欄に控除額を記入します。
確定申告書を作成したら、税務署に直接持参するか郵送又はオンラインで提出します。申告期間は2月16日から3月15日までとなっていますので期間内に申告しましょう。
なお給与所得者が医療費控除に関する還付申告をする場合は1月からでも申請を受け付けてもらえます。
給与所得者の方は確定申告の手続きに慣れていない方も多いため、税務署が混雑する一般の確定申告期間より前に提出できるようにしましょう。

給与所得者ではない場合

給与所得者でない個人事業主等の場合は毎年確定申告をする手順と同じです。確定申告書の医療費控除の欄に控除額の記入漏れに注意が必要です。

歯科矯正の医療費控除について知りたいときは?

相談にきた女性
初めて医療費控除の申請をする方は確定申告をする際、分からないことが出てくるでしょう。
歯科矯正の医療費計算の際に適用対象かどうかについて調べても分からない場合は受診している歯科医師や医療スタッフに確認してください。
確定申告書の記入について分からないことがあれば、国税庁のホームページなどをよく確認するようにしましょう。
調べても分からない場合は管轄税務署へ行き、直接疑問点等を質問して確認するようにしましょう。

編集部まとめ

歯科衛生士
歯科矯正の治療費が医療費控除になる判断基準・具体的な手続き・計算方法についてご紹介しました。

歯科矯正を検討している方は、今回ご紹介した歯科矯正の費用が医療費控除の適用対象となるケースや医療費控除できる費用について確認してください。

歯科矯正は治療費が40万円から100万円と高額になりますので、医療費控除などの制度を上手く活用して治療が受けられるようにしましょう。

また、医療費控除の手続きや用意する書類なども、確定申告をする前によく確認して準備ができるようにしましょう。

この記事の監修歯科医師