矯正中のホワイトニングについてご紹介!ホワイトニングの種類・矯正方法別のホワイトニングの違いも解説
歯の矯正中にホワイトニングはできるのでしょうか?矯正の方法によりできる場合とできない場合があります。
ホワイトニングの種類・矯正方法別のホワイトニングの違いについても説明致します。矯正中のホワイトニングをお考えの方はぜひ参考にしてください。
監修歯科医師:
古田 博久(歯科医師)
目次 -INDEX-
矯正中にホワイトニングはできるのか
歯の矯正方法には、ワイヤー矯正・裏側矯正・マウスピース矯正があります。
ホワイトニングの種類は、オフィスホワイトニング・ホワイトニング・セルフホワイトニングです。
できる組み合わせとできない組み合わせがあります。それをこれから説明していきます。
まず、ホワイトニングについて詳しくみていきましょう。
まずはホワイトニングの種類を知ろう
ホワイトニングにはオフィスホワイトニング・ホームホワイトニング・セルフホワイトニングの3種類があります。
オフィスホワイトニングは歯科医院で行うホワイトニングです。ホームホワイトニングは歯科医から渡されたホワイトニングキットを使って自宅でホワイトニングします。
セルフホワイトニングはサロンでホワイトニングしたり、市販のホワイトニング製品を使って自宅でホワイトニングしたりします。
それぞれ一長一短がありますので、詳しく説明していきましょう。
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングは専用の薬剤と特殊なライトを使って歯科医院で行うホームホワイトニングです。ホワイトニング効果が高く、一回の施術で実感できます。
歯科医院だけで行うので自分で行うのが面倒だという人におすすめです。
歯科医師が歯や歯茎の状態を確認したうえで、歯科医師・歯科衛生士が施術を行うので安心です。ホームホワイトニングに比べると色戻りしやすいというデメリットがあります。
高濃度の薬剤を使うため、歯や歯茎がしみたり、痛んだりすることがあります。
ライトの光が届かないので奥歯は白くできません。また、差し歯・セラミックなどの人工の歯には効果がなく、神経がない歯など白くなりにくい歯もあります。
妊娠中・授乳中の人はできません。また未成年の人はできないというクリニックが多いです。
1回10,000~30,000円程度と、高額な費用がかかります。回数が増えるとさらに高額になります。医院によって金額が違ったり、使う薬剤やライトによってもかかる費用が変わります。
ホームホワイトニング
歯科医院でマウスピースを作り、処方された薬剤を入れて1回あたり30分~2時間装着します。歯科医院に通わずに、自分の好きな時間にできるホワイトニングです。
毎日少しずつ時間をかけて薬剤を浸透させ歯を白くしていくので、色戻りが少なく、白さが長持ちします。
オフィスホワイトニングでは光が届かずホワイトニングできない奥歯も白くできます。
歯科医師が歯や歯茎の状態を確認したうえで行いますが、強い薬剤を使うため、しみたり痛んだりすることがあるのがデメリットです。
薬剤が歯にしみたり、マウスピースが合わず違和感を覚えたりして、途中で挫折する人も多いです。継続できるかがポイントとなります。
差し歯・セラミックなどの人工の歯には効果がありません。また、神経がない歯など白くなりにくい歯があります。色素沈着を防ぐため、施術後30分は食事ができません。
未成年の人はできない歯科医院が多いです。また、妊娠中・授乳中の人はできません。
保険適用はなく、自費で16,500円程度からです。回数が増えれば、さらに費用がかかります。
セルフホワイトニング
セルフホワイトニングはサロンで行うホームホワイトニングのことで、溶剤で歯の表面の着色や汚れを落とします。
1回あたり5000円以下でできるところが多く、安いというメリットがあります。1回あたりの施術時間が30分程度で、時間がかかりません。
歯医者で行うホワイトニングは漂白作用のある薬剤を使用し歯の内側から白くします。そのため、その薬剤によって歯が痛んだり、知覚過敏の症状が出たりすることがあります。
セルフホワイトニングで使われる溶液は性質上、歯や歯茎がしみたり痛んだりすることがありません。
歯科医院で行うのオフィスホワイトニングは本来の歯の色より白くなります。セルフホワイトニングは元の以上に白くはなりません。
人工の歯でも、人工の歯以上に白くなることはありません。
歯科医院のホワイトニングは、詰め物が解けたり、虫歯が進行したりすることがあります。セルフホワイトニングでは虫歯や虫歯治療中の歯でもホワイトニングが可能です。
ただ虫歯は早めに治療してください。
施術後の食事制限がありません。また市販のホワイトニング商品を使ってホワイトニングするのも、広い意味でのセルフホワイトニングです。
矯正方法別のホワイトニングの違い
矯正方法別にホワイトニングができるかどうかみていきましょう。
ワイヤー矯正はセルフホワイトニングしかできません。サロンによっては不可のところもあるようです。
裏側矯正はオフィスホワイトニングとセルフホワイトニングができます。
マウスピース矯正はオフィスホワイトニング・ホワイトニング・セルフホワイトニングのどれもができます。
以下で詳しく説明していきましょう。
マウスピース矯正
マウスピース矯正の場合、自宅で行うホームホワイトニング、歯科医院で行うオフィスホワイトニングどちらもできます。自分でマウスピースを外せるからです。
また矯正用のマウスピースにホームホワイトニングジェルを入れてホームホワイトニングできます。
ただ、矯正用のマウスピースはホームホワイトニング用のマウスピースよりも硬く歯に密着するようにできているので、薬剤がうまく歯に行きわたらない可能性があります。
また歯のがたつきが大きい方はホワイトニングジェルが歯の細部まで届かず色が白くなりにくいです。
マウスピース矯正にはアタッチメントという樹脂でできた突起物をつける場合があります。
このアタッチメントの部分の色が周りの色と違うようになるリスクがあります。
このような場合は歯科医に相談してください。
ワイヤー矯正
ワイヤーを表側につけている場合オフィスホワイトニングはできません。ワイヤーを取り外すことができないからです。
器具がじゃまになりホームホワイトニング効果が落ちてしまいます。無理に行うとワイヤーのついている部分とついていない部分の色がまだらになってしまいます。
歯列矯正中は知覚過敏になりやすいので、濃度が高い薬剤を使うオフィスホワイトニングは歯にしみる可能性が高いでしょう。
したがってほとんどの歯科医院ではオフィスホワイトニングが不可となっています。矯正前か矯正後に行いましょう。
ホームホワイトニングはマウスピースを使うので利用できません。
セルフホワイトニングは可能ですがサロンによりできない場合もあります。サロンでは作用がマイルドな溶液を使用するため矯正中でも痛みがでません。
矯正器具のついた部分とそうでない部分の違いが分かりにくいというのもメリットです。ただ違いはでますので担当の歯科医師に相談してください。
裏側矯正
オフィスホワイトニングとセルフホワイトニングは可能です。ホームホワイトニングはマウスピースを使うので利用できません。
矯正中のホワイトニングのメリット
矯正中のホワイトニングのメリットはなんといっても効率です。歯並びと歯の白さが同時に手に入れられるのです。矯正法ごとで可能なホームホワイトニングをみていきましょう。
リスクも伴いますので担当歯科医と相談のうえ行いましょう。
矯正中のホワイトニングのデメリット
矯正中のホワイトニングのデメリットは、痛みが出るリスクと白さにムラが出るリスクです。
痛みはオフィスホワイトニングやホームホワイトニングといった歯科医が調剤する濃度の濃い薬剤を使用する時に出る可能性があります。
歯列矯正は歯の位置を動かすため痛みが出ることがあります。特に調整を始めた当初は痛みを感じやすい状態です。
そこにホームホワイトニングの刺激が加わると激しい痛みを感じる可能性があります。歯の状態を考えたうえでホームホワイトニングを行いましょう。
次に白さにムラがでるリスクですが、これはマウスピースを使うホームホワイトニングを行う時とワイヤー矯正でセルフホワイトニングを行う時に出る可能性があります。
マウスピースを使うホームホワイトニングを行う時ですが、矯正中は歯並びが原因で薬剤が行きわたらず白さにムラがでる可能性があります。
ワイヤー矯正中にセルフホワイトニングする時は、矯正器具のついた部分とそうでない部分の違いが分かりにくいとはいえ、まったく分からないわけではありません。
矯正中にホームホワイトニングする時はこういったリスクを考慮し、歯科医と相談して行ってください。
ホワイトニングの最適なタイミング
セルフホワイトニングはどのタイミングでもできますが、効果は限定的です。
治療前と治療後はどのホワイトニングもできます。
裏側矯正は矯正治療中にオフィスホワイトニングができます。マウスピース矯正は矯正治療中にオフィスホワイトニングもホームホワイトニングもできるのがメリットです。
矯正治療とホワイトニングが同時にできれば効果的です。ただし前述したとおりリスクもあります。
矯正前
ワイヤー矯正を始めると矯正器具を外すまでホワイトニングができなくなります。
一度矯正治療をスタートすると2年ぐらい装置が外せなくなり、その間に歯に着色が増え、歯の色が暗くなる可能性があります。
そのため矯正治療を始める前にホワイトニングをしておき、歯の色を明るくしてからスタートするほうが好ましいです。
そして矯正治療後にもホワイトニングするのがおすすめですが、費用がかさむのが難点です。
矯正後
ホームホワイトニングをするなら矯正後がおすすめです。矯正中は歯並びが原因で薬剤が行きわたらず白さにムラがでる可能性があります。
矯正終了後は歯並びも整っており、歯のがたつきがないため薬剤が均一に浸透しやすいです。
矯正終了後は動かした歯が後戻りしないようにするための保定用のマウスピースを使用する場合、ホームホワイトニングと相性がいいのです。
マウスピース矯正をしていると、口が閉じにくいため、口呼吸になりやすくなります。口呼吸をしているとホワイトニングしてもすぐに着色してしまう問題が出てきます。
矯正治療中に暗くなってしまった歯を明るく戻してあげる必要もあるでしょう。
矯正装置を外した直後は装置を外すのに力がかかり歯の神経が過敏になっているので時間を置いた方がよいでしょう。
また接着剤が残っていることがあり色ムラができてしまうことがあるので、矯正を行った歯科医院以外でホワイトニングを行う場合は、その旨を申し出てください。
矯正中の黄ばみを防ぐには
黄ばみの原因は食べ物に含まれる色素成分と唾液に含まれるたんぱく質が結合してできる黄色い汚れです。
カレー・キムチ・コーヒー・緑茶など色の濃いものを口に入れると汚れが生じやすくなります。またタバコに含まれるタールも黄ばみの原因です。
黄ばみ対策はなんといっても丁寧な歯磨きで、毎日の積み重ねが大切です。矯正中は器具の隙間に汚れが溜まりやすいのでしっかり磨きましょう。
どれだけ丁寧に歯磨きしても汚れは残ります。定期的なクリーニングが大切です。
歯科医に指示された間隔で通院しクリーニングをしてもらいましょう。ワイヤーの隙間もきれいに掃除してもらえます。
濃い色の食べ物や飲み物を避けましょう。頻度を減らすのも効果があります。どうしても飲食したい時は、飲食後すぐにブラッシングしましょう。喫煙も控えるのがおすすめです。
矯正中にどれだけ気を付けても黄ばんでしまうことはあります。黄ばんでしまった時は歯科医院でのホワイトニングがおすすめです。
通常は矯正治療が終わった後にホワイトニングすることが多いのですが、マウスピース矯正や裏側矯正であれば、矯正治療中にホワイトニングが行えます。
編集部まとめ
矯正治療中のホワイトニング・ホワイトニングの種類・矯正方法別のホワイトニングの違いについて説明致してまいりました。
ご自身の歯の状態もふまえ、担当歯科医にしっかり相談したうえで、ホワイトニングを行ってください。そして美しい歯並びと白い歯を手に入れてください。
参考文献