インビザラインを1日つけ忘れたら?影響や対処法、予防方法を解説

インビザラインは、透明なマウスピースの歯列矯正装置を使用して歯並びや噛み合わせを整える矯正治療法です。世界でも治療例が少なくないマウスピース型矯正の一つであり、現在も研究と改良が続けられています。
インビザラインのメリットは主に4つです。
- 目立ちにくい
- 取り外し可能
- 痛みが少ない
- 通院頻度が少ない
治療中も目立ちにくく、取り外し可能なインビザラインは多くの人に選ばれる治療方法ですが、一方でデメリットもあります。代表的なデメリットの一つに装着時間が短いと効果が薄いことがあります。
では、インビザラインをつけ忘れると具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。つけ忘れによる影響と予防策を紹介します。治療中の方もこれから治療される方も事前に予防策を身につけて美しい歯並びを目指しましょう。

監修歯科医師:
小田 義仁(歯科医師)
院長 小田 義仁
岡山大学歯学部 卒業
広島大学歯学部歯科矯正学教室
歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院
所属協会・資格
日本矯正歯科学会 認定医
日本顎関節学会
日本口蓋裂学会
安佐歯科医師会 学校保健部所属
広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員
岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長
岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事
アカシア歯科医会学術理事
目次 -INDEX-
インビザラインの1日の装着時間

インビザラインの装着時間の目安はおおよそ20〜22時間とされています。食事や歯磨きのときなどを除いたほぼすべての時間を装着して過ごすことが目安です。装着時間を守ることで、歯列に持続的な矯正力がかかり、治療計画どおりに歯が動きます。装着時間が短くなると、治療期間の延長や計画どおりに歯列が動かないことが予想されます。
歯列矯正は治療期間が長くなりますが、少しでも期間を短くするためには装着時間を守ることが重要です。指定された装着時間を守ることで短期間で美しい歯並びを実現できます。インビザラインは常に装着するということで美しい歯並びの実現につながります。
インビザラインをつけ忘れやすいタイミング

インビザラインをつけ忘れやすいタイミングには代表的なものが4つあります。
- 食事
- 睡眠
- 旅行
- 体調不良
それぞれの状況でのつけ忘れやすいタイミングと原因を紹介します。あらかじめ状況を想定しておくことで未然につけ忘れを防ぐことが可能です。やむを得ない場合を除いてマウスピースは外さないように心がけることが大事になります。
自宅での食事や歯磨きの後
自宅での食事や食後の歯磨きはインビザラインを外しやすい状況の一つです。食事の際にはインビザラインを外すことが推奨されていますが、食事中に外してそのまま装着を忘れてしまうケースが多くあります。食事の前にマウスピースを外すのは習慣になっていても、食後にそのまま会話をしたり、テレビを見たりして再装着を忘れてしまうケースが少なくないようです。
歯磨き後も同様に口腔内の洗浄やインビザラインの清掃時に外したまま装着し忘れてしまうケースがあります。外した場合には忘れずに再装着することが重要です。
外食の後
外食後も装着を忘れがちな場面です。自宅での食事とは異なり、外食時には周囲の目を気にするあまり器具を外す時間が長くなりがちです。その結果、再装着を忘れてしまうケースが一定数発生しています。
インビザラインは短時間であれば外していても問題ありませんが、つけ忘れが長期化すると治療期間が延びる原因につながります。食事が終わればなるべく早くつけ直しましょう。
睡眠中

睡眠中に装着を忘れてしまうケースにも注意しなければなりません。睡眠時に装着を忘れると、器具を外した状態の時間が長くなります。
つけ忘れた状態が長く続いてしまうと治療期間の延長や美しい歯並びが得にくくなります。睡眠前などはインビザラインの装着を習慣化することでつけ忘れを防ぐことが可能です。
日常生活のなかでインビザラインの装着を確認するための時間を作っておくことでつけ忘れを未然に防ぐことができます。
旅行のとき
旅行のときもつけ忘れが発生しやすい状況です。旅行中に外してしまう理由は、他人の目を気にした場合や旅行を楽しみたいという気持ちから外してしまうケースが挙げられます。
また、移動や食べ歩きなど、つけ直すタイミングを逃しやすくなります。マウスピースをスーツケースにしまい込み、すぐに取り出せず装着が遅れるケースも少なくありません。
さらに、長時間の外出の場合に保管用のケースを忘れた場合にも外したままにしやすい原因になります。つけ忘れの時間が長期化すると、治療期間の延長のほか、マウスピースの再製作が必要になる場合があります。
外出時にはケースを忘れずに外出先での管理にまで気を配ることがおすすめです。
体調不良などで長時間外したとき
体調不良の場合には症状や程度によって外すべき場合もあります。インビザラインは軽い体調不良の場合には装着したままで問題ありません。
しかし、強い吐き気や嘔吐などの口腔内トラブルがある場合には無理に装着せずに一時的に外しても構いません。
体調不良によって長時間外すことになった場合には、無理をせずに体調回復に努めましょう。できるだけ早く再装着をすることが大切です。場合によっては、かかりつけ医と装着期間の相談をすることも対応策の一つです。
インビザラインを1日つけ忘れた場合の影響

インビザラインは長時間の装着によって歯並びを整える治療方法です。そのため、つけ忘れが長期間になると歯列矯正に影響が出てきます。
1日程度のつけ忘れであれば治療期間への影響はほとんどありませんが、数日以上になると治療効果に影響を及ぼします。つけ忘れの長期化は歯列の戻りを引き起こす原因です。
歯列の戻りはマウスピースの違和感を引き起こし、再装着時に痛みを伴う場合があります。そのような場合には、治療期間の見直しやマウスピースの再製作が必要となり、結果として治療期間の長期化につながる可能性があります。
つけ忘れのデメリットを知り、事前にリスクを確認したうえでなるべく器具を外さないことを心がけましょう。
歯列矯正の効果を得にくくなる
1日程度のつけ忘れであれば、治療への影響はほとんどないとされています。しかし、1週間程度のつけ忘れが発生した場合、歯列が計画どおり動かずに後戻りする可能性があります。
装着時に違和感を覚える場合は、早めにかかりつけ医に相談しましょう。
治療期間が長引く可能性がある
つけ忘れの長期化は治療期間に影響します。装着時に違和感を覚えた場合には、歯列が矯正前の位置に戻り始めている可能性があります。
再度歯列矯正するためにはそれに応じた治療期間の延長が必要です。インビザライン治療をなるべく短期間で終えるためには装着期間を守ることが重要です。
再装着時に痛みや違和感が出る

歯列の後戻りが発生しているとインビザラインの再装着時に違和感を覚える場合や痛みを感じる場合があります。
このときに無理に装着すると歯や歯茎に負担がかかるため、無理に装着するのではなく、かかりつけ医に相談しましょう。治療計画の見直しが必要です。
歯肉退縮が起こりやすくなる
つけ忘れが1週間以上となった場合には、治療計画の大幅な遅れのほかに歯茎が下がる現象が発生する場合があります。
この現象が歯肉退縮です。歯茎が下がった場合には、インビザラインが合わなくなるといった深刻な問題が起こることがあります。
装着時に違和感がある場合や、痛みを伴う場合には治療計画の見直しのほかにマウスピースの再製作が必要です。
インビザラインのつけ忘れが長引くと、美しい歯並びの実現が難しくなります。なるべく器具をつけたまま日常生活を過ごすことです。
もし、つけ忘れにより器具への違和感を覚えた場合には無理な装着をせずに、早期に歯科医師への相談をおすすめします。つけ忘れに気付いた場合でも早期の対応策で対処しましょう。
インビザラインを1日つけ忘れた場合の対処法

インビザラインをつけ忘れた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。主な対処法は次の4つです。
- すぐに装着する
- 装着期間を延長する
- 違和感がある場合には無理をしない
- 複数回のつけ忘れの場合には医師に相談
つけ忘れに気付いた場合には、まずはすぐに装着しましょう。1日程度のつけ忘れであれば治療期間への影響はほとんどありません。
インビザラインでは1つのマウスピースを1週間ごとに交換することで治療を進めます。治療効果が気になる場合には、装着期間を1日長くすることで調整する方法も可能です。
しかし、装着時に違和感を覚えた場合やつけ忘れが複数回にわたった場合には、無理に装着せずに歯科医師に相談することをおすすめします。
インビザラインのつけ忘れの予防方法

インビザラインのつけ忘れが長期化すると治療期間の延長につながります。では、つけ忘れを防止する方法はあるのでしょうか。
- 時間
- ツール
- 予備品
これらの点に注目してつけ忘れの予防方法を紹介します。ご自身の使用環境に合わせて予防方法を実践してみてはいかがでしょうか。
装着するタイミングを決めておく
装着するタイミングを決めておくことでつけ忘れの予防につながります。インビザラインは、1日20〜22時間の装着が必要です。装着を忘れたまま長期化すると治療が計画どおりに進まなくなることがあります。そのため、あらかじめ装着のタイミングを決めておくことがとても重要です。
- 歯磨きが終わったらつける
- 外出前に装着を確認する
装着するタイミングを決めておくことでつけ忘れの防止や、装着の確認につながります。毎日の習慣に結びつけることがおすすめです。
習慣と結びつければ、無理なく継続的に装着できます。
リマインダーを活用する

リマインダーを活用する方法もおすすめです。先に提案した装着するタイミングを決めておく方法に加えてリマインダーを併用することでさらなる予防方法につながります。
リマインダーを設定する場合には、なるべく日頃身につけているもので管理することをおすすめします。お手持ちのスマートフォンやウェアラブル端末を利用することでリマインダーの確認が容易になり、毎日の確認を簡単にすることが可能です。
外部デバイスを活用することで、日々の負担を軽減できます。
毎日のチェックリストを作成する
毎日のチェックリストを作成しておくことでつけ忘れを予防することができます。日々の流れを把握したうえでチェックリストを作成することが大切になります。
インビザラインの装着に限らず、日頃の習慣を見直すツールとしてもチェックリストは有効です。ご自身でリストを作成することでよりよい習慣を身につけたうえでつけ忘れの予防に活用する方法もおすすめです。
予備を持ち歩く
予備を持ち歩くことは特に外出や旅行のときに有効な方法になります。つけ忘れを防止する方法だけではなく、つけ忘れや置き忘れが発生した場合の対応策を考えておくことも重要です。
インビザラインを2つ以上持っておくことでつけ忘れへの対応以外に置き忘れへの対応が可能となります。
つけ忘れへの予防策だけではなく、状況に応じて事前に複数の予防策を用意しておくことが重要です。
インビザラインのつけ忘れで歯科医院に相談する目安

つけ忘れが発生した場合には医師への相談が必要となる場合があります。では、どのような場合に相談が必要なのでしょうか。また、相談する場合に伝えるべきこととは何でしょうか。相談の目安と相談内容について紹介します。
以下のような症状がある場合には、歯科医師への相談をおすすめします。
- マウスピースがはまらない
- 2日以上のつけ忘れが発生した
- 痛みや違和感が強い場合
- マウスピースの変形
マウスピースが補助器具を用いてもフィットしない場合や、歯茎との浮きを感じた場合、装着時の痛みや違和感が強い場合には歯科医師への相談が必要です。また、2日以上のつけ忘れが発生した場合にも相談が必要となります。
装着していない時間が長期化すると治療計画どおりに歯が動かないため、治療計画の見直しが必要となります。
歯科医師に相談する際は、以下の内容を伝えましょう。
- つけ忘れた期間
- 現在のマウスピースが装着可能であるか
- マウスピースへの違和感や痛みの有無
つけ忘れた期間や痛みを伝えることで治療計画の見直しやマウスピースの作り直しなどの判断基準となります。事前に伝える内容を確認し、正確に情報を伝えることで治療計画の調整がスムーズに行えます。
まとめ

インビザラインは目立ちにくく、取り外しが可能な歯列矯正方法です。選ばれやすい治療方法である反面、歯列矯正には長時間の器具の装着が求められます。治療の際には日頃から口腔内を清潔に保つほかに、つけ忘れを予防するための対策が重要です。
装着を日々の習慣に組み込んだり、外部デバイスによるリマインダーを活用したりするなど日々の小さな工夫によりつけ忘れの予防が可能になります。
インビザラインのつけ忘れは1日程度であれば歯列への影響はほとんどありませんが、長期化すると治療計画の見直しやマウスピースの作り直しが必要となります。つけ忘れに気付いた場合には、すぐに装着することがおすすめです。
もし、つけ忘れが長期化し、装着時に痛みや違和感を覚えた場合には、歯科医師に早期に相談することをおすすめします。これらを意識することでつけ忘れが発生した場合にも早期の対処が可能です。
歯列矯正の期間を少しでも短くするために重要なことは決められた装着時間を守ることです。日々の小さな工夫と意識を積み重ね、美しい歯並びを目指しましょう。
参考文献


