インビザラインとは?費用や治療期間・インビザライン治療に向いている人や注意するポイントまで詳しく説明します
歯並びの矯正を行う際には、ワイヤー矯正・裏側矯正・マウスピース矯正など、さまざまな方法があります。
中でもマウスピース矯正は、取り出し可能で見た目も目立たない点が魅力の方法です。インビザラインとは、マウスピースを使用した矯正歯科治療のひとつです。
ご自身の歯並び改善で使用してみたいと考えている人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、インビザラインについて詳しく解説します。
費用・治療期間・インビザライン治療に向いている人・注意するポイントなども詳しくご紹介するので、参考にしてください。
監修歯科医師:
若林 健史(若林歯科医院)
目次 -INDEX-
インビザラインとは
インビザラインとは、アメリカの企業であるアライン・テクノロジー社が開発した矯正歯科治療です。
3Dコンピューターを使用し、患者様に合った装置を設計し製作します。患者様は、作られたマウスピースを医師から受け取り、矯正治療を進めます。
他のマウスピースとの違いは、次の通りです。
- 3Dモデルをもとにした治療計画の考案
- 型取りの回数
- 移動可能な歯の数
- 装着可能期間
まず大きな違いが、3Dモデルをもとにした治療計画を立てる点です。他のマウスピース矯正のほとんどは、歯型模型を作って治療計画を立てます。
一方でインビザラインの場合は、歯型を3Dモデルにして、それをもとにシミュレーションを行って治療を計画します。
型取りの回数も異なるケースが多いです。この矯正方法では、型取りは治療前に一度しか行いません。しかし、その他のマウスピース矯正の場合は、矯正装置を付け替えるタイミングで毎回型取りを行うケースが多いです。
また、移動可能な歯の数も異なります。他のマウスピース矯正では、できる限り抜歯は行いません。
そして、前歯を中心に矯正を行います。適応できる症例が限定される点が特徴です。
インビザラインの場合は、全顎的治療が可能です。補助装置などを使うことで、抜歯を伴う矯正でも対応でき、他のマウスピース矯正では難しい症例でも広く対応できます。
さらに、装着可能期間も他のマウスピース矯正よりも長いです。このような特徴や違いを持っており、矯正治療の中でも高い人気を集めています。
インビザラインの治療の進め方
インビザラインの治療は、他のマウスピースとは異なる部分があります。ご自身に合った矯正方法かを判断するためには、どのように治療が進むかを把握することが大切です。
ここでは、具体的な治療の進め方をご紹介します。
カウンセリング
最初に行うのがカウンセリングです。このステップでは、治療について概要が説明されます。
歯並びを確認し、症状に合わせた治療にかかる費用・治療期間・今後の流れなど、治療を選択するために必要な情報を歯科医から提供されます。
患者様の症状についての悩みも相談可能です。
精密検査
次に精密検査です。患者様の歯型取り・口腔内の写真撮影・レントゲンによる検査を実施し、矯正の計画を立てます。
写真撮影には、3D光学スキャナーを使用し、歯の状態と歯列の状態のデータを取得します。
マウスピース作成
精密検査の次は、マウスピースの作成です。精密検査で立てた計画に基づいてインビザラインのマウスピースを製作します。製作には、3Dプリンターを使用します。
歯のクリーニング・アタッチメント装着(治療開始)
マウスピースが完成したら、歯科医の指示のもと治療開始です。実際にご自身の歯にアタッチメントを装着して使用します。
数日間は最初の1枚目を使って、2枚目に移ります。2枚目へ移る日数などの、歯科医からの指示をよく聞いて対応しましょう。
定期チェック
治療を開始したら、定期チェックも必要です。定期的に歯科医の診断を受けて、その都度口腔状態のチェックをしてもらい、指示を受けます。
指示の内容は、患者様の状態によって変わりますが、次の枚数に移るかなどさまざまな内容の指示があるでしょう。定期チェックの回数も、患者様によって異なります。
アタッチメント除去(治療終了)
定期チェックを経て、目標の形に矯正できたら治療終了です。歯科医の指示のもと、アタッチメントを取り外す日を決定し、その日に除去します。
ただし、治療は終了してもアフターケアが必要であるため、歯科医の指示をよく聞いて対応しましょう。
リテーナーを使ったアフターケア
アタッチメントの取り外しを行ったからといって、すぐに終わりではありません。リテーナーを使ったアフターケアが必要です。
リテーナーとは、歯並びを維持するために必要な保定装置です。歯並びの後戻りを防止するために行います。歯科医の指示のもと、リテーナーを歯に装着しましょう。
インビザラインの費用相場
インビザラインを選択するか、他のマウスピースによる矯正を選択するかは、費用も踏まえて検討したいと考える人もいるでしょう。
日本におけるインビザラインの一般的な費用の相場は、100万円~150万円程度です。アメリカでの平均的な費用は$5,000~$8,000となります。
ただし、治療の内容や治療期間によっても異なるため、個人差があります。歯科医に相談して詳細な費用を教えてもらいましょう。
また、費用に関して保険適用されるか気になる人も多いのではないでしょうか。
この矯正治療は、基本的には自由診療となるため、保険適用外となります。医療費控除は使用できますが、費用が大きいためしっかり把握したうえでの使用が必要です。
インビザラインの治療期間
矯正にあたって、どの程度の期間で矯正が完了するかを把握することは大切です。治療期間についても、費用同様に治療方針や治療計画などによって異なります。
ただし従来の治療期間と比べると短期間となることが多いです。一般的な期間としては、数カ月~1年程度となります。
個人差があるため、歯科医に相談して、具体的な期間を教えてもらいましょう。また、治療の進め方でもご紹介しましたが、歯科医による定期的なチェックも行われます。
チェック時には、目標に対してどの程度歯並びが動いているかを確認しています。
インビザラインの交換や調整が必要になる時もあるため、その場合は治療期間が延長する可能性があるでしょう。
インビザラインが向いている人
具体的な費用や治療期間を把握でき、どの矯正方法を選択するか絞り込め始めたのではないでしょうか。
実は、インビザラインには向いている人と向いていない人がいます。ご自身が向いているかを知るためにも、ここでは向き不向きをご紹介します。
目立たない装置で矯正したい人
向いている人の条件としては、ひとつ目が目立たない装置で矯正したい人です。プラスチック製の透明な矯正装置であるため、見た目が気になりにくいです。
ワイヤー矯正などの場合、歯の表面に金属を固定しているため、見た目が気になります。
会話中などに見た目が気になって、思い切り笑えなかったり集中できなかったりする人も少なくありません。
しかし、インビザラインの場合は透明であるため、見た目が気になりにくく会話中なども気兼ねなく楽しめます。
食事中は装置を外したい人
食事中は装置を外したい人にも向いています。ワイヤー矯正などは、歯に固定している金属をご自身で外せません。
しかし、インビザラインは他のマウスピース矯正と同様に、飲食を楽しみたい時に自由に取り外せます。食事も気にすることなく楽しめる点は大きな魅力です。
金属アレルギーがある人
金属アレルギーがある人にも向いています。先述したように、この矯正装置はプラスチック製です。
金属は使用していないため、アレルギーが心配な人も安心して使用していただけます。
インビザライン矯正で注意したいポイント
インビザライン矯正には向いている人とそうでない人がいる点には注意が必要です。しかし、注意すべきポイントは他にもいくつかあります。
思っていた矯正の効果が得られないといった悩みを解消するためにも、あらかじめ注意点を把握しておきましょう。
日々の装着時間は守ろう
他のマウスピース矯正と同様の注意点ですが、日々の装着時間は守りましょう。
食事の時など、自由に取り外せる点は大きなメリットではありますが、とはいえ取り外し時間が長ければ正しい効果は得られません。
そのため、装着時間はきちんと守りましょう。一般的に装着時間は22時間~24時間程度といわれています。
つまり、食事や歯磨きの時間以外は常につけておく必要があります。治療効果を下げないためにも、装着時間を厳守しましょう。
マウスピースのお手入れをしっかりしよう
しっかりしたお手入れも注意したいポイントです。口内に装着するものなので、清潔に保つ必要があります。
清掃方法のルールを守って、しっかりとお手入れしましょう。お手入れ方法は、歯科医から教えてもらえます。
清潔に保つことで、菌や汚れがたまるのを防げ、治療効果も最大限高めてくれるでしょう。
装着時は飲食に気を遣おう
注意点としては、装着時の飲食に気を遣う点も挙げられます。装着したまま何かを食べるのであれば、柔らかいものにしましょう。装置や歯に負担をかけないためです。
また、飲み物は着色の可能性がある際には取り外した方が良いです。装置に色が付く可能性があります。
飲食は不衛生な口内環境を招く原因にもなるため、できるだけ外した方が良いです。しかし、取り外し回数が増えると治療効果が最大限発揮されないかもしれません。
飲食時には取り外し回数なども注意しましょう。
インビザラインが向いていない人
先述したように、インビザラインには向き不向きがあるとご紹介しました。ご自身が向いていない場合、他の矯正方法を検討した方が良いです。
その判断のためにも、ここでは向いていない人の特徴をご紹介します。
マウスピースのお手入れなどの自己管理が苦手
向いていない人の特徴としては、マウスピースのお手入れなどの自己管理が苦手な人です。先述したように、装置の装着にあたってお手入れなどの注意すべきポイントがあります。
特にお手入れについては、口内環境を清潔にするために大変重要です。装置が不衛生であれば、汚れがたまって菌が繁殖する可能性があります。
その結果、虫歯などになってしまうと治療期間が伸びるだけでなく、正しく効果が得られない可能性もあります。
ご自身で徹底管理して、清潔に保ったり食事をしたりする必要があるため、このような管理が苦手な人には向いていないかもしれません。
装着時間が守れない
装着時間が守れない人も向いていない可能性があります。その他のマウスピース矯正も含めて、取り外しが可能である一方で、決められた装着時間があります。
この装着時間は、歯を動かすために必要な時間であり、守らなければ正しい効果を得られません。
食事や歯磨きなどでの取り外しは問題ありませんが、1日に必要な装着時間が守れないようであれば、向いていないでしょう。
インビザライン矯正とワイヤー矯正の違い
インビザライン矯正とワイヤー矯正の違いも把握したうえで、どの矯正方法が良いかを確認しましょう。
主な違いとしては、まず装置の種類が異なります。インビザライン矯正は、プラスチック製のマウスピースを装着して行う方法です。
一方で、ワイヤー矯正は、歯の表面に金属のワイヤーを装着して行う方法です。この場合、マウスピースとは異なり、ご自身で自由に取り外しはできません。
そのため、決められた装着時間を守るなどの注意点はありませんが、ワイヤーを取り外せない分歯を磨きにくい点が挙げられます。
清潔に保つためには、念入りに細かく歯磨きを行う必要があるでしょう。また、ワイヤー矯正の場合は、食事やスポーツに制限がかかる可能性があります。
不衛生になったり、傷ついて口内環境が悪化したりするのを防ぐためです。さらに、効果の実感の仕方も異なります。
インビザライン矯正の場合は緻密な動きの効果が感じにくいですが、ワイヤー矯正の場合は強い力がかかっているため、歯の動きがご自身でも分かりやすいです。
しかし、ワイヤー矯正の場合は強い痛みが伴う場合もあるため、注意が必要です。このように、矯正の種類により大きく特徴が異なります。
どの方法が良いかご自身だけで判断するのは難しいため、歯科医に相談しながら選択しましょう。
インビザラインで治療可能な歯並びとは
インビザラインで治療可能な歯並びとしては、次のようなものが挙げられます。
- 叢生
- 上顎前突
- 反対咬合
- 開咬
- 過蓋咬合
- 空隙歯列
叢生は、歯がお互いに重なっている状態です。上顎前突とは、上の顎が飛び出して出っ歯になっている状態です。
反対咬合は、下の前歯が上の前歯よりも前に出ています。開咬は上下の歯に隙間が生じている状態です。
過蓋咬合は、上の歯が下の歯に被りすぎている歯並びです。空隙歯列は、歯の間に隙間が生じています。このように、幅広い歯並びに対応可能です。
編集部まとめ
インビザラインは、矯正方法のひとつであり、他のマウスピース矯正にはない特徴を持ちます。
そのため、幅広い歯並びに対応でき、他のマウスピース矯正では対応できない症例でも補助装置などを使うことで対応が可能です。
しかし、装着にあたっての注意点があり、向き不向きもあります。そのため、利用を考えているのであれば、歯科医との相談を行った上で治療を進めましょう。
参考文献
参考リンク