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入れ歯にはどんな種類がある?材料による違いや形による違い・入れ歯を選ぶ時のポイントも詳しく解説します

 公開日:2023/06/13
入れ歯

失ってしまった歯を補うための手段として「入れ歯」を検討する人も少なくないでしょう。

しかし、どのような入れ歯が適しているのかをご自身で判断するのは難しいかもしれません。

また、入れ歯を検討する上で確認したいことの1つに「費用」も挙げられるのではないでしょうか。

今回は、入れ歯の種類・材料による違いや形による違い・入れ歯を選ぶ時のポイントなどを詳しく解説します。

熊谷 靖司

監修歯科医師
熊谷 靖司(歯科医師)

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熊谷歯科医院 院長

歯を失ったときの治療方法

入れ歯・シリコン裏装・上顎粘膜面
歯を失ったときに歯と歯の隙間を補う方法には、いくつかの種類があります。ここでは、歯を失ったときの治療方法を3つご紹介します。

ブリッジ

ブリッジとは、その名の通り、歯が欠損した部分の両側の歯を支点として、橋をかけるように義歯を装着する方法です。
ブリッジの場合は部分入れ歯とは異なり、支点となる歯を小さいサイズになるように削って土台をつくります。削った歯の上に人工歯を被せるのです。
そのため、例え健康上問題のない歯であっても、削らなくてはいけないのがデメリットといえるでしょう。
しかし、元々ある歯を支点として利用するため、違和感なく使用できるのが特徴です。
ブリッジは保険適用できる場合もありますが、範囲や使用する人工歯の材質によっては、自費となってしまいます。
保険の範囲内でブリッジを装着したい場合には、一度詳しい診察を受け、保険が適用できるかどうか確認することをおすすめします。

インプラント

インプラントは欠損した部分に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を被せる方法です。
ブリッジとは異なり、独立した人工歯根をつくるため、周囲の歯に負担をかけずに済むのがメリットといえるでしょう。
また、噛み合わせに比較的違和感がなく、天然歯同様に食事や会話を楽しめます。
しかし、インプラントには天然歯に存在する歯根膜がありません。歯根膜は噛んだときの衝撃を吸収し、顎骨への負担を減らす役割を果たしています。
インプラントには、この歯根膜が存在しないため、人工歯に比べて顎への負担が大きくなってしまうという難点があります。
さらに、インプラントで注意すべきはインプラント周囲炎です。インプラント周囲に汚れや細菌が蓄積することで歯肉が出血したり腫れたりしてしまうことがあります。
インプラント周囲炎が悪化した場合、顎の骨が溶け、インプラントが抜け落ちてしまうこともあるため注意が必要です。
インプラント治療を行う場合には、正しいケアを行い、定期的なメンテナンスを受けることも心がけましょう。

入れ歯

入れ歯は、義歯床と呼ばれる歯茎のような部分と人工歯から成ります。入れ歯は大きく分けて、部分入れ歯入れ歯の2種類です。
部分入れ歯の場合は、欠損した部分の両側の歯に金属のバネを装着して入れ歯を固定するのが一般的です。
入れ歯の場合には、歯茎に直接義歯床をすっぽりと被せて装着します。入れ歯の場合、基本的にはインプラントのように人工歯根を埋め込む手術は必要ありません。
ブリッジのように歯を多く削る必要もないため、部分入れ歯で残っている歯を保ちたい人や手術を避けたい人にはおすすめの方法です。

入れ歯にはどんな種類がある?

保険の入れ歯
では、具体的に入れ歯にはどのような種類があるのでしょうか。ここでは、部分入れ歯・総入れ歯の違いについて解説します。

部分入れ歯

入れ歯・保険の入れ歯・クラスプ
歯が部分的に欠損した部分を補う方法として、部分入れ歯を一番に思い浮かべる人は多いかもしれません。
部分入れ歯には様々な種類がありますが、欠損した部分の両側の歯にバネを引っかけて装着するタイプの部分入れ歯が一般的です。
このタイプの部分入れ歯を装着する場合、ブリッジ同様に歯を削る必要があるのですが、ブリッジのように大きく削るようなことはありません。
しかし、部分入れ歯はブリッジのように支点となる歯に人工歯を被せるわけではなく、両側の歯にばねを引っかけるだけなので安定感が得られないことが欠点です。
その他にも、食べ物のカスが詰まってしまったりバネが見えてしまったりすることもあります。
とはいえ、部分入れ歯には金属のバネを使用していないタイプもあります。金属のバネを使用していないタイプでは、歯茎のような見た目のプラスチック土台を装着します。
このタイプであれば、金属が見える心配もありません。ただし、どのようなタイプが適しているかどうかは、歯科医師の診断を受ける必要があります。
詳しい検査を受け、ご自身に適した部分入れ歯を選びましょう。

総入れ歯

総入れ歯・下顎右側
入れ歯とは、その名の通り、歯を全て失ってしまったときに装着する入れ歯のことです。
入れ歯は歯茎のような見た目の土台(義歯床)人工歯から成ります。この人工の土台を元々の歯茎にすっぽりと被せるようにして装着します。
インプラントのように人工歯根を顎の骨に埋入するような手術が必要ないため、比較的取り入れやすい方法といえるでしょう。
その一方、総入れ歯は歯茎に被せているだけなので、外れてしまったり上手く食べ物を噛めなかったりすることもあります。
しかし、総入れ歯部分入れ歯同様に、様々な種類があります。ご自身に合ったものを作製することで、負担やストレスが軽減できるでしょう。

入れ歯の材料による違い

入れ歯・下顎・ノンメタルクラスプの金属床
入れ歯には様々な種類があることは説明しましたが、具体的にはどのような材料のものがあるのでしょうか。ここでは、入れ歯材料による違いを解説します。

レジン製

まず、ご紹介するのは「レジン製」入れ歯についてです。
レジンとは、プラスチックのことで、ピンク色の歯茎のような義歯床を一度は目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
レジン製の入れ歯は保険適用なので、比較的安い価格で作製できます。
しかし、強度の問題で厚くする必要があるため、装着した際の違和感やしゃべりにくさを感じることも多いです。
また、レジンは熱伝導には優れていないため、食事の際に食べ物の温度を感じにくいという難点もあります。

レジン+金属製

「レジン+金属製」とは、見える部分にはレジンを使用し、見えない部分に金属を使用した入れ歯のことです。
見えない部分とは具体的に、義歯床の上部と下部のことです。この部分を金属製にすることによって、レジンよりも薄いつくりにできます。
また、金属は熱伝導に優れているため、食事をした際の食べ物の温度を感じやすいというメリットがあります。
レジン製よりも薄くてしゃべりやすく装着感が良いタイプといえるでしょう。こちらのタイプは保険適用外となります。
さらに、金属アレルギーのある人は使用できません。費用は自費となるため、予算に合わせて検討する必要があるでしょう。

レジン+シリコン製

「レジン+シリコン製」入れ歯とは、レジン製のシリコンの歯茎に当たる部分にのみ、シリコンを使用した入れ歯のことです。
入れ歯を装着した際、入れ歯が歯茎に当たる部分に痛みを感じる人は多いです。
そこで、歯茎に当たる部分のみに柔らかいシリコンを使用し、装着感をアップさせたのがレジン+シリコン製の入れ歯です。
入れ歯の大部分はレジン製ではありますが、シリコンをプラスしたタイプでは、保険の適用外となります。
しかし、レジン製よりも優しい付け心地なので、痛みに敏感な人やレジン製の入れ歯で痛みに悩まされたことがある人にはおすすめです。

入れ歯の形による違い

入れ歯・ノンクラスプ・金属床・シリコン裏装
入れ歯は大きく分けて、総入れ歯部分入れ歯に分けられることは前に述べました。しかし、入れ歯にはさらに形による違いもあります。
ここでは、入れ歯による違いについて解説します。

バネなし

部分入れ歯では、両側にバネがついたタイプが一般的ということは先に説明しました。しかし、部分入れ歯にはバネのないタイプ部分入れ歯もあります。
では、どのように義歯を支えるのか気になるところですが、義歯床を大きめにとることで義歯の部分を支えます。
形状としては、総入れ歯を部分的に装着したようなイメージです。金属のバネが付いていないため、見た目が自然で金属アレルギーの人でも問題なく装着できます。
このタイプの入れ歯は保険適用外です。

磁石入り

磁石入りの入れ歯とは、義歯床の裏側と入れ歯を支える根本部分に磁石を付けて、磁力により入れ歯をフィットさせるタイプです。
磁石を付けることにより、入れ歯が動いたり外れたりするのを防げるというメリットがあります。
磁石を付けた部分は外から見えることはないので、見た目の部分でも比較的満足感を得やすい形状といえるでしょう。
こちらも保険の適用外です。費用は歯科医院によって異なりますので、事前に確認するようにしてください。

インプラント併用

インプラント併用とは、人工歯根をいくつか埋め込み、その上に総入れ歯を装着する方法です。
通常、インプラント治療では1本の人工歯根につき、1つの人工歯を装着します。
しかし、インプラント併用の入れ歯の場合は人工歯根自体の数も少なく、上に被せる人工歯は全ての歯が一体化したつくりになっています。
人工歯根との装着部分には義歯床もついているので、見た目や噛み合わせに違和感が少ないのが特徴です。
一般的な総入れ歯のように外れることはないため、安心して装着できるでしょう。しかしこの場合、人工歯根を埋め込むための手術を行う必要があります。
顎の骨に負荷がかかることや感染症のリスクについては、十分に理解しておくことが大切です。
また、インプラント治療で人工歯根を埋め込む場合、人工歯根が骨と結合するまでに時間がかかります。
入れ歯を作製し、装着するだけのタイプに比べて、治療期間が長くなるのが難点といえるでしょう。

入れ歯の種類を選ぶ時のポイント

歯科衛生士と患者
では、入れ歯の種類を選ぶ時にはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。続いては、入れ歯の種類を選ぶ時のポイントをご紹介します。

歯・歯茎の状態を確認する

入れ歯には、残っている歯を利用して人工歯を装着するタイプの入れ歯もあります。
また、部分的な欠損なのか、全ての歯を失っているのかによっても適した入れ歯は異なります。
そのため、まずは歯の状態を確認する必要があるでしょう。
例えば、欠損した両側の部分を利用して人工歯を支える部分入れ歯の場合、両側の歯が弱っている状態では装着できません。
歯茎の状態もしっかりとチェックして、残っている歯や歯茎に負担をかけない方法を選択することが重要です。
入れ歯は、装着部分に食べカスや菌が蓄積しやすいため、適切なケア方法を身につけることも心がけましょう。

保険適用できるかを確認する

入れ歯には様々な材料や形状がありますが、全てが保険適用できるわけではありません。
保険適用外となる場合には、その分費用が高くつく場合があります。自費診療の場合、費用は医院によって大きく異なります。
予算に合わせて入れ歯の種類を検討する必要があるでしょう。しかしながら、安さだけを重視して歯科医院を選ぶことは避けたほうが良いです。
入れ歯のフィット感がよくなければ、日常生活でストレスを感じることも多くなってしまいます。
話す喜びや噛みしめる喜びを最大限に感じ取るためにも、治療実績が豊富な歯科医院を選びましょう。
また、事前にしっかりカウンセリングを受け、疑問や悩みを解決しておくことも重要です。

入れ歯の費用の目安

計算機 節約イメージ
入れ歯を作製する際に気になるポイントの1つとして、費用が挙げられるのではないでしょうか。
レジン製の入れ歯の場合には、保険適用となることは先に説明しました。
具体的には、部分入れ歯では5,000円〜1万5,000円程度、総入れ歯では1万円〜1万5,000円程度で作製できます。
一方、保険適用外のレジン+金属製では、部分入れ歯でも数万円程かかります。総入れ歯の場合は、25万円以上することもあるでしょう。
もう1つ先にご紹介したレジン+シリコン製の入れ歯については、大部分がレジンということもあり、10万円程度から作製できる場合もあります。
さらに、形状による費用の違いについても確認しましょう。
バネなしタイプは5万円〜15万円程度、磁石入りタイプは装置1つにつき数万円から10万円程度で装着可能です。
インプラントの場合には人工歯根を埋め込む必要があるため、100万円以上かかることもあります。
入れ歯と一言でいっても、種類によって費用が大きく異なります。ご自身の口の状態を詳しく検査した上で、予算に合った入れ歯を検討してみてはいかがでしょうか。

歯科医に相談して自分に合った入れ歯を選ぼう

治療する歯科医師
入れ歯の種類は、非常に豊富です。
安さにこだわるのであれば保険適用となるレジン製を選ぶのがおすすめですが、材料や形状は入れ歯の付け心地にも影響します。
また、どのような入れ歯が適しているかは、欠損した歯の部位や本数によっても異なります。
しゃべりにくい・噛みにくい・外れやすいといったトラブルを防ぐためにも、まずは歯科医に相談することが大切です。
歯や歯茎を詳しく検査し、説明に納得した上で、自分に合った入れ歯を選ぶようにしましょう。

編集部まとめ

タイトル:歯ブラシ タフトブラシ ポイントブラシ 鏡 セット フロス 極細毛 大量に ぎっしり 詰まった ポイント 鏡 歯科
今回は、入れ歯の種類・材料による違い・形による違い・入れ歯を選ぶ時のポイント・費用などについて詳しく解説しました。

最も一般的な入れ歯としてレジン製の入れ歯が挙げられますが、レジン製の入れ歯は比較的安く作製できる一方、トラブルが多いのが特徴です。

話しにくく感じたり噛みにくく感じてしまうこともあります。このような状況が続けば、日常的にストレスを抱えることになるかもしれません。

近年では、失った歯を補うために様々な方法が選択できます。毎日をいきいきと過ごすためにも、付け心地の良い入れ歯を検討してみてください。

この記事の監修歯科医師