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犬歯の噛み合わせが悪い状態とは?八重歯になる原因と治療方法を解説

 公開日:2026/04/15
犬歯の噛み合わせが悪い状態とは?八重歯になる原因と治療方法を解説

犬歯は、食べ物を噛み切るだけでなく、噛み合わせのバランスを保つうえでも重要な役割を持つ歯です。しかし、犬歯が正しい位置に生えなかったり、歯並びが乱れたりすると、いわゆる“八重歯”と呼ばれる状態になることがあります。見た目の問題だけでなく、むし歯や歯周病のリスクが高まるなど、口腔環境に影響を及ぼす場合もあります。

本記事では犬歯の噛み合わせについて以下の点を中心に紹介します。

  • 犬歯の正常な噛み合わせとは
  • 犬歯の役割
  • 犬歯の噛み合わせ(八重歯)の治療方法

犬歯の噛み合わせについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

小田 義仁

監修歯科医師
小田 義仁(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
小田歯科・矯正歯科
院長 小田 義仁
岡山大学歯学部 卒業
広島大学歯学部歯科矯正学教室
歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院
所属協会・資格
日本矯正歯科学会 認定医
日本顎関節学会
日本口蓋裂学会
安佐歯科医師会 学校保健部所属
広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員
岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長
岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事
アカシア歯科医会学術理事

犬歯の正常な噛み合わせとは?

犬歯の正常な噛み合わせとは?
犬歯が正しい位置に生えていることで、上下の歯がスムーズに噛み合い、歯や顎への負担を分散させる働きがあります。ここでは、犬歯の正常な位置や噛み合わせの特徴や、犬歯と八重歯の違いを解説します。

正常な犬歯の位置

犬歯は、前歯から数えて3番目に位置する歯で、上下左右に1本ずつ、合計4本あります。歯の根が長く丈夫な歯であり、噛み合わせのバランスを保つうえで重要な役割を担っています。正常な犬歯の位置とは、上下の歯がバランスよく噛み合い、顎の動きを安定させる位置にある状態を指します。

正常な犬歯の位置や噛み合わせには、以下のような特徴があります。

上の犬歯が下の犬歯より半歯分ほど後ろに位置している
上顎の犬歯が下顎の犬歯よりやや後方にあり、自然に噛み合う状態が理想とされています。

顎を横に動かしたときに犬歯が噛み合わせを導く
奥歯を噛んだ状態で顎を左右に動かすと、犬歯が噛み合わせの動きを導く“犬歯誘導”という働きがみられます。

前歯の位置関係が整っている
上の前歯が下の前歯より2~3mm程度前にあり、同じくらいの深さで覆いかぶさっている状態が理想とされています。

上記のようなバランスが保たれていることで、歯や顎への負担が分散され、安定した噛み合わせが維持されます。

犬歯と八重歯の違い

犬歯と八重歯は混同されることがありますが、意味は異なります。犬歯は歯の種類を表す名称で、前歯から数えて3番目に位置する歯を指します。上下左右に1本ずつあり、先端がやや尖った形をしているのが特徴です。食べ物を引き裂く役割を担うほか、歯の根が長く丈夫なため、顎を左右に動かした際に噛み合わせを導く働きがあり、奥歯への負担を分散させる重要な歯とされています。

一方で、八重歯は歯並びの状態を表す言葉です。本来並ぶ歯列から外れて歯が重なるように生えている状態を指し、正式には低位唇側転位歯(ていいしんそくてんいし)といわれています。犬歯は永久歯のなかでも遅れて生えてくるため、顎のスペースが不足している場合は、外側へ飛び出して生えることがあります。

犬歯の役割と重要性

犬歯の役割と重要性
犬歯は、食べ物を噛み切るだけでなく、噛み合わせのバランスを保つなど、お口の機能を支える重要な役割を持つ歯です。ここでは、犬歯が担っている主な役割を解説します。

①食べ物を噛み切る

犬歯は、食べ物を引き裂く役割を担う歯です。前歯で食べ物をかじった後、犬歯がその食材を引き裂くように噛み切り、奥歯で細かくすりつぶすという流れで咀嚼が行われます。

犬歯は先端がやや尖った形をしており、硬い食材や繊維質のある食べ物をとらえやすい構造です。また、歯の根が長く丈夫なため、強い力が加わっても安定して噛むことができます。

②噛み合わせを安定させる

犬歯は、歯並び全体の噛み合わせを安定させるうえで重要な役割を担っています。食事や会話の際には下顎がわずかに動きますが、犬歯が正しい位置で噛み合うことで、その動きがスムーズに導かれ、歯列全体のバランスが保たれやすくなります。

犬歯がしっかり機能することで、噛む力がしっかりと分散され、奥歯の過度な摩耗や顎関節への負担を軽減することにつながります。

③顎関節や奥歯への負担を軽減する

犬歯は、顎関節や奥歯への負担を軽減する役割も担っています。食事の際には顎を上下に動かすだけでなく、左右にも動かしながら食べ物を噛んでいます。このとき犬歯が先に接触し、顎の動きを導くことで奥歯どうしが強くこすれ合うのを防ぎやすくなります。奥歯は上下の力には強い一方で、横からの力には弱いため、犬歯が顎の動きを支えることで奥歯への過度な負担を抑えることにつながります。

また、犬歯は歯根が長く顎骨の中にしっかりと支えられているため、噛む力を分散させる働きもあります。

④審美性に影響する

犬歯は、噛み合わせの機能だけでなく、口元の見た目にも影響する歯です。前歯のすぐ隣に位置しているため、笑ったときや会話をしているときに見えやすく、歯並びや口元の印象を左右しやすい特徴があります。犬歯の位置や形が整っていると、歯列のバランスが整い、自然で調和のとれた口元につながります。

一方で、犬歯が歯列から外れて生えている場合には、八重歯として目立つことがあります。日本では個性としてとらえられることもありますが、歯並びの乱れとして歯列矯正治療の対象になることもあります。

犬歯が八重歯になりやすい主な原因

犬歯が八重歯になりやすい主な原因
ここでは、犬歯が八重歯になりやすい主な原因を解説します。

永久歯へ生え変わる時期のスペース不足

犬歯は永久歯の中でも遅い時期に生えてくる歯です。まず前歯や小臼歯などが先に生えそろい、その後に犬歯が歯列へ加わります。しかし、その時点で顎の中に十分なスペースが残っていない場合、犬歯が本来の位置に入りきらず、外側へ押し出されるように生えることがあります。

歯が並ぶスペースが不足していると、後から生えてくる犬歯は歯列の中に収まらず、前後の歯に押される形で外側にずれてしまうことがあります。その結果、歯並びから飛び出した状態になり、八重歯として目立つ場合があります。

また、乳歯が抜ける時期が遅かったり、むし歯などによって歯の並びが乱れたりすることも、犬歯が正しい位置に生えにくくなる要因の一つとされています。

顎と歯のサイズの不調和

歯並びは、顎の大きさと歯の大きさのバランスによって左右されます。顎が小さい場合や、歯が大きい場合には、歯が並ぶためのスペースが不足しやすくなります。このように顎の大きさに対して歯が並びきらない状態になると、歯どうしが押し合うことで歯列が乱れ、八重歯が目立ってしまいます。

遺伝などの先天的要因

八重歯の形成には、遺伝などの先天的な要因が関係するとされています。顎の大きさや歯の大きさは遺伝の影響を受けることがあり、もともと顎が小さい場合には歯が並ぶスペースが不足しやすくなります。その結果、犬歯が本来の位置に生えることができず、歯列の外側にずれて八重歯の状態になることがあります。

また、生まれつき歯の本数が多い過剰歯がある場合も、歯が並ぶスペースが狭くなり、犬歯が正しい位置に生えにくくなることがあります。さらに、乳歯が抜けずに残っている状態は、後から生えてくる永久歯の犬歯が歯列の中に入りきらず、外側へ押し出されるように生えることもあります。

犬歯が八重歯になることで起こる問題

犬歯が八重歯になることで起こる問題
犬歯が歯列から外れて八重歯になると、見た目だけでなくお口の機能や健康にも影響が出る可能性があります。ここでは、犬歯が八重歯になった場合に起こりやすい問題を解説します。

噛み合わせのバランスが崩れる

犬歯が八重歯になると、上下の歯が本来の位置で噛み合いにくくなり、歯列全体の噛み合わせにズレが生じることがあります。歯並びは上下の歯がバランスよく接触することで安定しますが、犬歯が歯列から外れていると、一部の歯に噛む力が集中したり、反対にうまく噛み合わない部分が生じたりすることがあります。

このような状態では、噛むときの動きがスムーズに行われにくくなり、顎を動かしたときに違和感を覚えることもあります。噛み合わせのバランスが乱れることで、お口全体の機能に影響が出る可能性があります。

ほかの歯への負担につながる

犬歯が八重歯になると、本来犬歯が担う役割を十分に果たせなくなり、ほかの歯に余分な負担がかかることがあります。犬歯は食べ物を噛み切る働きや噛み合わせを導く役割を持っていますが、歯列から外れた位置にあると、その機能が十分に発揮されにくくなります。その結果、本来犬歯が受け持つはずの力を前歯や奥歯が補うことになり、一部の歯に負担が集中しやすくなります。

このような状態が長く続くと、一部の歯がすり減りやすくなったり、噛むときに違和感を覚えたりすることがあります。また、噛む力が偏ることで歯や顎のバランスが崩れ、結果としてほかの歯の寿命に影響する可能性もあります。

むし歯や歯周病リスクが高まる

犬歯が八重歯になると、歯と歯が重なったり歯列から外れて生えたりするため、歯と歯の重なった部分や隙間に歯ブラシが当たりにくくなります。その結果、食べかすや歯垢(プラーク)が残りやすくなり、お口の中の細菌が増えやすい状態になります。

このように清掃がいき届きにくい状態が続くと、むし歯や歯周病が発生しやすくなる可能性があります。重なっている部分の裏側などは歯ブラシが当たりにくく、歯石がたまりやすくなることもあります。

口内炎や口臭のリスクが高まる

犬歯が八重歯になると、歯が歯列の外側に飛び出しているため、頬の内側や唇、舌などの粘膜に当たりやすくなることがあります。その結果、同じ場所が繰り返し刺激され、口内炎ができやすくなることがあります。会話や食事の際に唇や頬を動かすたびに歯が当たることで、小さな傷ができやすくなる場合もあります。

また、歯並びが乱れているとお口が閉じにくくなり、無意識のうちに口呼吸になりやすいこともあります。口呼吸が続くとお口の中が乾燥しやすくなり、唾液の働きが十分に発揮されにくくなります。唾液には細菌の増殖を抑える役割がありますが、乾燥によってその働きが弱まると、口臭が発生しやすくなる可能性があります。

犬歯の噛み合わせ(八重歯)の治療方法

犬歯の噛み合わせ(八重歯)の治療方法
犬歯が八重歯になっている場合でも、矯正(歯科)治療によって、歯並びや噛み合わせの改善を目指すことができます。ここでは、犬歯の噛み合わせを整える主な治療方法を解説します。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を取り付け、そこにワイヤーを通して力をかけることで歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。ワイヤーの力を調整しながら歯の位置や向きを整えていくため、八重歯を含めた歯並び全体の改善を目指すことができます。

ワイヤー矯正は、歯の移動量が大きい場合や歯の向きを細かく調整する必要があるときにも対応しやすく、さまざまな症例に適用されています。装置を歯の表側に取り付ける方法のほか、歯の裏側に装置をつける方法などもあり、見た目への配慮を考えた選択肢もあります。ただし、装置が目立ちやすい場合や、治療期間が長くなることがある点は事前に理解しておきましょう。

マウスピース型矯正

マウスピース型矯正は、透明なマウスピース型の装置を装着して歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。歯並びの状態に合わせて製作したマウスピースを段階的に交換することで、理想的な歯並びへと導いていきます。装置が透明で目立ちにくく、取り外しができるため、食事や歯磨きの際に外せます。

また、ワイヤー矯正と比べて装置による違和感が少ないとされており、通院回数も少なく済むことがあります。ただし、1日20時間以上の装着が必要になるなど自己管理が重要となり、歯並びの状態によっては適応が難しい場合もあります。

参照:『増えてきた「マウスピース矯正」』(なにわ歯科衛生専門学校ホームページ)

抜歯が必要となるケース

犬歯が八重歯になっている場合でも、必ずしも抜歯が必要になるわけではありません。犬歯は噛み合わせの安定に関わる重要な歯であるため、矯正治療ではできるだけ犬歯を残しながら歯並びを整える方針が取られることが多いとされています。

ただし、歯が並ぶスペースが不足している場合などは、歯列全体のバランスを考えて抜歯が必要になることがあります。例えば、歯の大きさに対して顎が小さい場合や、非抜歯では歯並びの改善が難しい場合などです。

抜歯が必要なケースは、八重歯となっている犬歯ではなく、第一小臼歯(だいいちしょうきゅうし)などを抜いてスペースを確保し、その空間を利用して歯を正しい位置へ移動させます。

抜歯の有無は見た目だけで判断するのではなく、顎の大きさや歯のサイズ、噛み合わせの状態などを精密検査で確認したうえで決定します。

治療期間と費用の目安

犬歯の八重歯を歯列矯正で整える場合、治療期間や費用は歯並びの状態や歯列矯正の範囲によって異なります。軽度で前歯など限られた範囲のみを動かす部分矯正であれば、治療期間は2ヶ月~1年程度が目安とされています。一方で、歯列全体を整える全体矯正が必要な場合は、3年程度かかることもあります。

費用は、歯列矯正の方法や整える範囲によって幅がありますが、成人矯正は80万~100万円程度、小児矯正や部分的な歯列矯正は40万~50万円程度が目安とされています。ワイヤー矯正、マウスピース型矯正裏側矯正舌側矯正)など、使用する装置によっても費用は変わります。

参照:『矯正歯科』(東京女子医科大学病院 ホームページ)

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで犬歯の噛み合わせについてお伝えしてきました。犬歯の噛み合わせについての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 犬歯の正常な噛み合わせとは、上下の歯がバランスよく噛み合い、顎の動きを安定して導く位置関係が保たれている状態を指す。このバランスが整っていることで、噛む力が分散され、歯や顎への負担を抑えながら安定した噛み合わせが維持される
  • 犬歯の役割は、食べ物を噛み切るだけでなく、噛み合わせを安定させながら歯列全体のバランスを保つことにある。また、顎関節や奥歯への負担を軽減するとともに、口元の見た目にも影響する重要な歯といえる
  • 犬歯の噛み合わせ(八重歯)の治療では、歯並びや噛み合わせの状態に合わせて矯正方法や治療計画を選択することが大切。ワイヤー矯正やマウスピース型矯正などを用い、必要に応じて抜歯を含めた治療によって歯列全体のバランスを整えていく

犬歯の噛み合わせは、歯並びだけでなく、噛む機能や顎への負担にも関わる重要な役割を持っています。八重歯が気になる場合は、歯並びの状態や噛み合わせを確認し、正しい治療方法を検討することが重要といえます。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師

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