【漫画付き】虫歯の放置で顔の腫れが生じる理由
むし歯を軽く考えて放置する人がいるものの、そのうち、口腔内の問題ですまなくなるかもしれません。歯茎や顔が腫れたり、日常生活に支障をきたしたりするような全身疾患へと発展する可能性もあります。顔が腫れるまでに至ったときの状態やその治療法について、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
小林 孝兒 歯科医師(西荻窪デンタルクリニック 院長)
目次 -INDEX-
虫歯の放置で顔の腫れが生じるまでの経過
放置しておくと、だんだん痛みがなくなってきます。ここで治ったと勘違いをしてはいけません。できるだけ早く歯医者に通う必要があります。ひどくなると、顔が腫れ、最悪のケースでは死を招く危険性さえもあるのです。
進行度はC0からC4
虫歯とは菌によって歯が溶かされた状態のことをいい、その進行度によってC0からC4までの5段階であらわします。
C0とは脱灰(だっかい)という初期段階です。初期の脱灰であれば、再石灰化(さいせっかいか)、つまり唾液の作用によって歯が元の状態に戻ることがわかっています。食事後に歯磨きを行い、再石灰化を促すことが大切です。
C1は、エナメル質という歯の一番外側の層に進行した状態です。ほとんどが無症状で、医師の指導の下、自然回復を図れる場合があります。
C2になると、エナメル質を通り越して象牙質にまで及んでいます。まだ神経にまで達していないので、強い痛みを感じることは少ないですが、進行が深くなり神経に近づくほど、冷たいものにしみたり、痛みを感じたりすることになります。
C3になると、歯髄にまで到達しています。歯髄とはいわゆる歯の神経で、何をしなくても強い痛みを感じたり、温かいものでもしみたりするようになります。
多くの人は、この段階で感じる痛みにより気がつき、歯医者に行きます。しかし、仕事が忙しいことや歯医者への怖さなどの理由から、治療せずに放置をする人がいます。そうすると、ある段階から痛みを感じなくなってきます。
それがC4です。神経が壊死して、痛みを感じなくなってしまうのです。なかには治ったと勘違いをする人がいますが、実のところはかなり進行しているのです。
C4の状態を放っておくと顔が腫れることも
C4の状態をさらに放置すると、歯の根元に膿がたまっていきます。歯は顎の骨に直接埋まっているので、菌が顎の骨にまで進んでしまう可能性も少なくありません。通常、骨が炎症を起こすことは少ないのですが、顎の骨に関していえば、歯の影響を受けやすいのです。
膿が少ないうちは、症状も小さくてすみますが、膿がたまっていくにつれて、激しい痛みがでたり、歯茎や顔が腫れたりすることになります。膿が出てきて、膿の味に気がつくケースも少なくありません。
さらに進行すると命に関わることも
それでもなお放置した場合、顎の血管から菌が血液に入り込む可能性があります。血液に菌が入ると、敗血症を起こしたり、あるいは血液にのって心臓や脳、肺など重要な内臓に菌が及んだりと、命を落としかねない大変危険な状態を招きます。たかがむし歯とあなどっていると、とんでもない事態に及ぶことがあるので、くれぐれも注意しましょう。
顔が腫れること以外にもでてくる症状
発生部位によっては痛みや発熱、歯茎や顔が腫れること以外にも異なった症状を伴う場合があります。
例えば、上の奥歯にできた状態を放置していると、その近くに位置する副鼻腔へ感染する可能性があるのです。また、副鼻腔の炎症がひどくなると、その内圧が高まることで周囲の神経を圧迫してしまいます。その結果、顔が腫れること以外にも頭痛がしたり、目の周辺の痛みを訴えたりすることになります。
顔の腫れが生じるほどに進行したときの治療
進行すると、顔が腫れたり、あるいは腫れに伴うさまざまな症状を引き起こしたりします。進行を食い止めるには早い段階で歯医者に行き、治療を開始することが一番です。しかし、事情によって歯医者に行く時間がないという人も少なくありません。そのようなケースでは、さらに進行してしまうことも大いに考えられます。むし歯の重篤化に対しては、どのような治療が行われるのでしょうか。
まずは炎症を抑える
まずは、炎症を抑えるために抗菌剤・抗生物質を処方することが多いようです。そして、たまった膿を外に出すことで、急性の症状を落ち着かせます。歯茎に切開を入れて膿を出すことも考えられますが、むしろそれでは不十分で、抜歯を余儀なくされる可能性もあります。
急性の症状が治まったら、菌に侵された歯の部分を取り除いて、歯の根元の状態を確認します。歯の根っこを残せるかどうかを確認して治療方法を決めるのが一般的です。
歯の根っこが残せる場合
歯の根の内部に穴が空いていない状態なら、神経を抜いてきれいに掃除すれば、歯を残すことが可能です。
C4レベル以上に達すると末期の状態になり、神経の状態や歯の根っこの病巣を確認しなければいけません。場合によっては、外科的手術が必要になるでしょう。歯をきれいな状態にするまでのステップがより増えるということです。
歯の根元までダメージがある場合
ダメージがより深く、根っこを残せないケースでは、やむなく抜歯ということになります。抜歯の後は、部位や治療費などを加味しながら、部分入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの治療を検討しましょう。
虫歯以外に顔が腫れる原因
顔が腫れたからといって、必ずしも虫歯が原因であるとは限りません。それ以外で顔が腫れるとしたら、どのような原因があるでしょう。
耳下腺炎
耳下腺とは耳の下にある唾液を分泌する器官です。そこが炎症を起こすことで耳の下から顎にかけて腫れることがあります。子供に起こった場合でよく知られているのが「流行性耳下腺炎」、いわゆる「おたふく風邪」です。高熱を伴ったり、つばを飲み込むときに痛みがでたりするのが特徴です
リンパ節炎やリンパ腫
リンパ節が炎症を起こすと、一般的には痛みや発熱を伴います。その場合、多くは抗菌剤による治療で回復します。痛みがないケースでリンパ節に腫脹が認められた場合は、腫瘍の可能性もあります。悪性リンパ腫やがんの転移などの可能性も否定できないので、早めに受診することが理想です。
顎関節症
口を大きく開けるとカクカクと音がしたり、顎が痛むといったりした症状が起きるのが顎関節症です。顎関節が炎症を起こしてしまうと、顎が腫れあがることがあります。内服やリハビリなどによって治療をするのが一般的です。
上顎洞がん
上顎洞とは上顎のうえ、鼻の奥にある空洞のことをいい、4つある副鼻腔の1つにあたります。そこに生じるがんが上顎洞がんです。慢性副鼻腔炎を合併している人に多く認められ、顔に腫れがあらわれるほか、腫瘍の進行する部位によって症状が異なります。
顔が腫れるまでになるとかなり進んでいる可能性大
歯に痛みがでたり、冷たいものがしみたりすると、むし歯を疑って受診をする人が多いと思います。その際、忙しさなどを理由に放置してはいけません。痛みを我慢していると、あるときに痛みがなくなります。それは決して治ったわけではなく、神経が壊死してしまったのです。
そのまま放っておくと、膿がたまって歯茎や顔の腫れにつながります。歯を保存することが難しいどころか、菌が血液を介して全身へまわり、命を落とす可能性もあります。できるだけ早めの治療を心がけましょう。
監修ドクター:小林 孝兒 歯科医師 西荻窪デンタルクリニック 院長
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