根管治療の間隔は3週間ごと?治療の理想的な間隔とは
歯の根の中を治すための治療である「根管治療」。
この根管治療は症例や医師の経験などによっても異なってきますが、殆どの場合は複数回の治療が必要となります。
では、治療ごとの間隔はどの程度空けても大丈夫なのでしょうか?
今回は、根管治療とその治療の間隔についてMedical DOC編集部がお届けします。
堀内 章 (プラナス歯科府中クリニック 院長)
目次 -INDEX-
根管治療とは
「根管治療」という名前を聞いたことがなくても、歯科医で
「これは神経を抜かないとダメですね~」
と言われたことがある方は結構いるのではないでしょうか?
この「神経を抜く」という施術が、根管治療にあたります。実際には、神経や血管が詰まった「歯髄」を抜く治療方法を指して「根管治療」と呼ばれています。
根管治療とは、傷んでしまった歯髄を抜いてから根管内を綺麗に清掃した後に細菌が入り込まないよう薬を詰めてフタをし、その後最後に被せ物をして終了というプロセスで行われます。
こう書くと簡単な様に思えるかもしれませんが、実際は根管の形は複雑で人それぞれに違うので、歯髄を抜くのも大変です。傷んだ歯髄を少しでも残してしまうと、治療が終わっても痛みがなくならないことがあるので丁寧に治療しなくてはいけません。
また、歯髄を抜いた後は根管内をできるだけ綺麗に清掃する必要があります。痛みや腫れが起こらないようにするために、複雑に入り組んだ根管内を丁寧に清掃するのはとても難しい作業なのです。また、その歯を長期にわたって残し、機能させることができるかどうかがこの処置の精度にかかっています。
根管治療の流れ
ここからは、根管治療がどのような流れで行われるかについて詳しく説明します。
①口の中を検査する
まずは口腔内を目視で確認した後、レントゲンやCTを使った画像診断で根管内の状態を正確に把握します。
②抜髄
麻酔をして専用の器具で表面を削った後、歯髄を抜いていきます。
一般的に「神経を抜く」と言われている施術ですね。
③根管内の清掃・消毒
歯髄を取り除いたら、根管内の汚れを綺麗に取り除きます。この時、汚れが残ってしまうと治療後に細菌が増えてしまう可能性があるので、丁寧に清掃しなくてはいけません。
その後、薬で洗浄、消毒をします。
④根管内に貼薬剤を詰めて数日置く
炎症が強い場合や、画像診断で細菌に感染している可能性が高いと医師が判断した場合は貼薬を行います。根管内の細菌を取り除くために、貼薬剤として水酸化カルシウムを入れてから仮封剤でフタをしてしばらく置きます。
なお、根管内が細菌に感染していないと医師が判断した場合はこの治療は行われず、③の次に⑤の治療に進みます。
⑤詰め物をする
根管内が綺麗になったら、空洞になってしまった根管内にガッタパーチャというゴムのような材料を詰めていきます。
⑥土台を作る
詰め物をした根管の上に金属やプラスチックで土台を作ります。この土台は、根管内に細菌が入らないようにしたり歯を補強したりする役割があります。
⑦被せ物をする
土台の上に、「クラウン」と呼ばれる人工の歯をかぶせます。このクラウンは、通常の虫歯治療でも行われていますね。
ちなみに、根管治療自体は1回で終了するケースでも、クラウンは型を取って作り、噛みあわせなども調整しないといけないので後日来院しなくてはいけません。
ただしセラミック歯を使う場合、歯科医院によっては1日で作ることができるので、即日クラウンでの被せ物もできてしまうケースもあります。
根管治療に必要な回
根管治療に必要な回数は、患者さんの症状や医師の判断により違ってきます。
根管が細菌に感染してしまっている可能性が高い場合や再治療のケースでは、複数回にわたる治療が必要となります。
根管治療は感染に対する処置です。回数が増えると感染を再び引き起こしてしまうリスクが高くなるため、回数がかかっても3回程度で終了します。
根管治療が1回の来院で可能なケース
根管治療が必要な歯が1本だけで、根管内が細菌に感染していない可能性が高いと医師が判断した場合、根管治療を1回で終わらせることも可能です。
ただし、被せ物をするために後日の来院は必要です。
ちなみに、同じ症例であっても1回で治療を終了するか、2回に分けるかは医師の判断によって変わってきます。
根管内が細菌に感染している可能性を重要視して貼薬が必要だと考える医師の場合は2回の治療がおこなわれ、経験上感染の危険性がないと医師が判断した場合には患者さんの負担を減らすために1回で治療を終了することもあります。
根管治療に複数回の来院が必要なケース
根管治療に複数回の来院が必要なケースは、
・初めての根管治療でも複数回の来院が必要なケース
・再治療のケース
上記の2つに大きく分けられます。
基本的に再治療や根の先にレントゲンで病巣があることが確認できた場合です。
初めての根管治療でも複数回の来院が必要なケース
初めての根管治療であっても、医師が「根管内に細菌が感染している」と診断したら少なくとも2回の治療が必要になります。歯髄を抜いた根管内に貼薬剤の水酸化カルシウムを詰めて、しばらくの期間置かなくてはいけないからです。
また、歯髄を取り除かなくてはいけない歯が何本もある場合も、複数回の治療が必要です。
根管内は複雑な形状をしているので、内部を清掃するのは大変です。そのため、根管治療する歯が1本ではない場合は、時間がかかってしまうので1回の治療では終わらないのです。
再治療のケース
初めての根管治療は成功することが多いと言われていますが、それでも成功率は約9割です。なぜなら根管内は複雑な形状をしているので、完全に綺麗に清掃して根管の先まで全て貼薬剤を浸透させることは難しいからです。
ラバーダムや歯科用CTを使うことで成功率は確実にアップしますが、それでも100%にはできません。残念ながら再び根管内が細菌に感染してしまい、再治療が必要となってしまうケースがあるのです。
再治療の場合、被せ物や根管内のガッタパーチャを取り除く必要があります。特にガッタパーチャが根管内に残ってしまうと再感染の可能性が高くなってしまうので、丁寧に取り除かなくてはいけません。
そのため初めての治療と比べて時間がかかるし、回数も多くなってしまう傾向があるのです。
再治療の場合は、大体2~3回の来院が必要となります。
根管治療の理想的な間隔
根管治療が複数回に渡ってしまう場合、それぞれの治療の間隔はどのくらいの感覚を空けるのが理想的なのでしょうか?
また、どのくらいの間隔までなら空けても大丈夫なのでしょうか?
以下に、根管治療の理想的な間隔について解説いたします。
貼薬剤を詰めたら、次の治療までは1週間は空ける
根管治療では根管内の歯髄をしっかりと除去し、綺麗に清掃をした後に貼薬剤として水酸化カルシウムを詰める治療を行います。
この水酸化カルシウムには強い抗菌作用があり、根管内の細菌を取り除いてくれる効果があるのですが、抗菌作用が発揮されるまでには1週間ほどの期間が必要です。
そのため、貼薬剤を詰めてから次の治療を行うまでの期間は少なくとも1週間は空けなくてはいけないのです。
妥協点は2~4週間
理想の治療間隔が1週間であるとは言え、患者さん側にも仕事の都合などもあるのできっちり1週間後に次の治療を受けることができるとは限りません。その場合、どの程度までなら間隔が空いても大丈夫なのでしょうか?
これには、
・貼薬剤を詰めた後にフタをする仮封剤がどの程度持つのか
・貼薬剤の効果はどの程度持続するのか
という2つの要素が関わってきます。
まず仮封剤の持ちについてですが、仮封剤には唾液や細菌が根管内に浸透しないようにするフタの役割があります。
この仮封剤には様々な種類がありますが、水分に触れると固まる性質がある水硬性セメントの場合、唾液の浸透を遅らせる期間の限界が2週間程度となります。
一方、貼薬剤の抗菌効果が持続する限界は4週間程度となります。
これらのことから、1週間で次の治療を行うことができない場合の妥協点は2~4週間程度だと言えるでしょう。
もちろん間隔は短ければ短い方が良いので、できれば2週間以内には次の治療を行うことができるように予約を入れるのがベストです。
まとめ
いかがでしたか?
根管治療の成功率を上げるためには、貼薬剤を詰めた後の次の治療を1~2週間以内に行うことが大切です。
根管内が細菌に感染してしまい、再治療になってしまうとその成功率はさらに下がってしまいます。
できる限り1回の治療で成功するように、患者さん自身も治療の間隔について気にかけるようにしてくださいね。
監修ドクター:堀内 章 歯科医師 プラナス歯科府中クリニック 院長
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