歯周病の治療ってどんなことをするの?
歯周病の治療は、大きくわけるとモチベーション、歯肉の炎症に対する処置、咬合性外傷に対する処置にわかれます。
これらのどれひとつとして欠くことは出来ません。治療の経過によって一度の治療ですむものもあれば、何回か繰り返し行わなければならないこともあります。
歯周病の治療についてまとめてみました。
この記事の監修ドクター:
村尾 宗太 歯科医師 ムラオ歯科クリニック 院長
目次 -INDEX-
歯周病治療におけるモチベーションってなに?
歯周病を治すにはモチベーションが一番重要
モチベーションとは、動機付けのことです。
日常の生活習慣や食習慣など日々の行動を変え、変えた状態を維持するための動機を与えることを意味します。
モチベーションは、歯周病に限らず、病気を治す上でとても大切なことです。
歯周病におけるモチベーションは、歯周病治療の基本であるプラークコントロールを確実に行うための第一歩とされています。
歯周病の治療にはプラークコントロールがポイント
詳しくは後述しますが、プラークコントロールが十分に行えていないと、歯周病治療の効果は期待できません。
歯周病の特徴は、経過がとても長いという点です。いわゆる慢性疾患です。経過が長い故に、治療の期間もまた長くなってしまいます。
プラークコントロールや、長期にわたる治療を確実に実施するためには、患者さんの協力が不可欠です。
歯科医師の努力だけでは、歯周病治療の成功は望めません。
したがって、患者さんの歯周病治療に対するモチベーションは、非常に重要な歯周病治療のステップなのです。
歯肉の炎症に対する処置① プラークコントロール
そもそもプラークとは
プラークとは、歯の表面に付いた白いカスのようなもののことです。爪などで歯の表面をこすると容易にとれます。
このプラークの正体は、さまざまな細菌の集合体です。
歯周病を引き起こす原因は歯周病菌にありますが、この歯周病菌が巣くっているのが歯の表面に付いたプラークなのです。
プラークコントロールができていないと…
プラークコントロールとは、プラークをコントロール(制御)することです。歯周病治療の中で最も重要なこととされています。
プラークコントロールが十分出来ていなければ、どれほど歯周病治療を行っても効果が劣ってしまいます。
すなわち、プラークコントロールが歯周病治療の成否に影響するといっても過言ではありません。
プラークコントロールの行い方
プラークコントロールには、患者さんが自宅で日々行うセルフケアと、定期的に歯科医院で行うプロフェッショナルケアがあります。
どちらも大切ですが、日々の食事でプラークが付きやすくなるので、毎日の歯みがき、つまりセルフケアがとても重要となってきます。
セルフケアを十分行うためには歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯と歯の間までていねいに磨かなければなりません。
その上で、日常の歯みがきではとりにくいところのプラークを歯科医院で取り除きます。歯科医院では、個々人の状態に応じた適切なセルフケアの方法の指導も行います。
こうして、プラークコントロールを確実に行うようにします。
歯肉の炎症に対する処置②スケーリングとルートプレーニング
スケーリングとルートプレーニングは、歯周病治療の中でプラークコントロールと共に非常に重要な処置です。
- 「スケーリング」 … 歯の表面に付いた歯石を取り除くこと
- 「ルートプレーニング」 … 歯根の表面をつるつるに磨き上げること
ルートプレーニングも歯石を取離の属という点では変わりがありません。歯根は歯肉の内部にあって直視しづらいところです。
つまり、歯石をきれいに取り除くことができたかどうかの評価が難しいのです。
歯根の表面をつるつるした状態にまで磨き上げることが出来れば、歯石は残っていません。
また、歯周病になった歯の汚染されたセメント質を取り除くことにもなり、汚染セメント質が歯肉に害を及ぼさないようにできます。
プラークが付きにくい環境を作り出すことが大切
ルートプレーニングが歯根の表面をつるつるした状態にするというのは、以下のような意味があるのです。
歯石は、歯の表面に付いたプラークが固まったものです。その表面は非常にでこぼこしており、プラークが更につきやすくなっています。
歯石を取り除く目的、つまりスケーリングとルートプレーニングの目的は、プラークが付きにくい環境を作り出し、患者さん自身の手によりプラークコントロールをしやすくすることにあるのです。
歯肉の炎症に対する処置③ プラークリテンションファクターの改善
プラークリテンションファクターとは
プラークリテンションファクターとは、歯周病を悪化させるプラークをつきやすくさせる口の中に存在する要因のことです。
その代表的なものとして歯石が挙げられますが、他にもさまざまなものがあります。
歯磨きでは対応できないほどの深い歯周ポケットや、歯磨きがしにくいような形の歯肉や歯並びが含まれます。
食生活などの日常の生活習慣も関係する
また、食生活などの日常の生活習慣も関係します。
歯の被せものや詰めものの形が不適切だったり、古くなって表面がザラザラしてきたりするのと、プラークが付きやすくなってしまいます。
歯肉がやせて歯根が出てくることで、被せものや詰めものに段差が生じることも、原因となります。歯頚部に生じたむし歯も同様です。
歯みがきをしやすいような形態に歯肉を整形したり、歯の被せものや詰めものを作り変えたり、直したりすることで、プラークリテンションファクターを改善させます。
被せものやむし歯の治療などは、一見すると歯周病治療と関係がなさそうですが、これも歯周病にとって重要な治療です。
歯肉の炎症に対する処置④保存不可能な歯の抜歯
歯周病の治療は、歯を残すために行われます。しかし、重症な歯周病になった歯は、抜歯しなければなりません。
重度の歯周病になると、歯がとてもグラグラしてきます。歯がぐらつくと、歯磨きがしにくくなり、プラークコントロールが困難になります。
すると、その部位の歯周病の状態が悪化するだけでなく、その周囲の歯にも悪影響を及ぼす様になります。
すなわち、他の歯を守るために、重度の歯周病になった歯は抜歯しなければならないのです。
咬合性外傷に対する処置ってなに?
咬合性外傷とは、不適切な噛み合わせが原因となって、歯周組織が傷ついてしまう状態のことです。
咬合性外傷は歯周病を生じさせる因子ではありませんが、歯周病を悪化させる要素なので、咬合性外傷の処置は大切です。
特に歯周病が進行していくと、歯が動いてくることが大半なので、噛み合わせが変化していきます。
それに伴い咬合性外傷を起こしやすくなるので、その治療は重要です。
咬合調整
咬合調整とは、歯を削って咬み合わせたときの歯の当たりを均等にする治療法です。
咬合調整をすることにより、歯周組織を不適切な噛み合わせによる傷害から守ります。
咬合調整だけでは十分な効果が得られない場合や、歯周病により歯周組織が弱ってしまい正常な噛み合わせの力でも咬合性外傷を引き起こしかねない場合は、歯冠形態修正が行われます。
歯冠形態修正では、歯冠を大きく削り、咬み合わせの力が歯にかかりにくいようにして歯を守ります。
暫間固定
暫間固定とは、歯がグラグラしている場合に、その歯とその周囲の歯を連結する治療法です。
グラグラしている歯に過度に噛み合わせの力がかかるのを防ぎ、噛み合わせの力を分散させることで、咬合性外傷を防ぎ、歯周組織を守ります。
咬合調整だけでは咬合性外傷の解消が難しい場合に行われます。
歯ぎしりの治療
歯ぎしりは、お口の中に食べ物が入っていない時に無意識のうちに行われます。
とても強い噛み合わせの力が上下の歯に加わりますので、咬合性外傷の原因になり得ます。
そのために歯周病で弱っている歯に歯ぎしりが加わると、歯周病の進行が加速され、重症化してしまう場合があります。
歯ぎしりには精神的なストレスの関与が指摘されており、歯ぎしりの治療にもストレスの除去が必要とされています。
しかし、実際には治療が難しいのが現実です。
そこで、マウスピースを装着することで、歯ぎしりにより歯にかかってくる力を分散し、咬合性外傷を防ぎます。
歯周病にプラークコントロールを!
歯周病は、歯周組織とよばれる歯を支える組織の病気で、歯周病菌が原因となって起こります。
歯周病治療のポイントは、歯周病菌をおさえるプラークコントロールにあります。
プラークコントロールは、自宅による「セルフケア」と歯科医による「プロフェッショナルケア」にわけられます。
自宅でのケアを行いながらも、定期的に歯科で、プラークを取り除いてもらい、二人三脚で確実なプラークコントロールを実施します。
歯周病治療は歯を残すのが最大の目的なのですが、残すことで却って他の歯にとってよくない影響を及ぼしかねない歯は、抜歯します。
また、噛み合わせが歯周病を悪化させることもあります。
そんなときは、歯を削って噛み合わせや歯の当たりを調整したり、隣の歯を利用して動いている歯を固定したりします。
このように歯周病の治療では、プラークコントロールを中心に、歯石の除去だけでなく噛み合わせの調整まで含めた治療を行います。
歯周病が進んでしまうと、治療を受けても完全に元通りになることはありません。
好きなものが食べられなくなるという身近な問題から、最悪の場合は糖尿病などの全身疾患にかかり命に関わることもあり得ます。
歯周病治療で何より大切なのは、この記事にもある通り、定期的に検査を受けて早期発見・早期治療を心掛けることです。
また、歯科で指導されたことを自宅でしっかり実践することも大切です。
当然ですが、やっている患者さんとやっていない患者さんでは、次に診察したときの状態に違いが出ます。
歯周病が進めば進むほど、体への負担だけでなく、時間の負担もお金の負担も増えてしまいます。
定期的に歯科医院に通って、健康なお口を保つようにしましょう。
監修ドクター:村尾 宗太 歯科医師 ムラオ歯科クリニック 院長
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